決意する"ヒロイン"
「そんなことがあって…」
ロイドさんは私の話を最後までしっかり聞いてくれた。といっても、話すことは結構少なかったけど。
「クルミちゃんはこれからどうするの?」
「冒険者、として活動できたらなって考えてます。」
ただ私は八歳だから、本登録はできなくて仮って形になってしまう。仮登録は、街中の雑用みたいな仕事が基本らしい。毎日の生活ぐらいなら出来るって言うレベル。
持ってきたお金もある程度はあるし、大きくなるまでそれで過ごしながら、少しずつ実践していければなって思っている。
「ねぇ、クルミちゃん。俺についてくる気、ある??」
「…?えっと、?」
私が話終えた時、ロイドさんからそう言われた。ただ、突然すぎて首をかしげてしまう。
「あぁ、つまり俺と仕事しないかなってこと。これからの予定があるなら別だけど、ないっぽいし」
まだ知り合ってほとんどたっていないのに、このお誘い。まぁ、私がこれまでの話をしちゃったからかもだと思う。軽そうな見た目だけど、優しい人なんだなぁ。悪い人ではないって、なんでかわからないけど断言できるから、このお誘いは単純に嬉しい。
ただ、それより、私には気になっていることがあった。
「ロイドさんってなんの仕事してる人ですか??」
まだ、ロイドさんのことはあまり聞いていなかったから、何をしている人なのかわかっていなかった。
「あれっ、いってなかったっけ?冒険者だよ~!」
一瞬キョトンとした顔をしたロイドさんだけど、すぐに笑顔で答えてくれた。
なるほど。改めて、ロイドさんの服装を確かめてみると、確かに剣を持ってるし、服装もそれっぽい。気にしていなかったから、わからなかった。
「だから、一緒にどうかなって思ったんだけど…」
「ありがとうございます。お誘いは嬉しいんですけど、私がついていっても足手まといにしかならないと思います。」
つい昨日まで家事をこなすだけだった日々だったんだから、当然、戦うことなんて出来はしない。
ちなみに、この世界には魔術があり、魔獣と呼ばれる生物もいる。基本的に魔術を使うようになった獣のことを指す。魔獣は人類に危害を加えるため、冒険者の重要な役割だ。ザ、ファンタジーって感じがする。
話が逸れたけど、そんな魔獣たちに立ち向かうなんて、今の私には出来るわけなくて。
「第一、まだ私本登録できないですし」
「えっ…!!」
本登録は十歳から。そうなると街外依頼が受けられるようになる。そこからが、本格的な活動になって、仮登録ではそれが出来ない。
「クルミちゃん…何歳??」
「えっと、八歳です」
「嘘っ!もっと上かと思ってた!」
「もっとって、いくつぐらいですか??」
「えっと、、、一三ぐらい、かな?」
わりと大人びている方だとは思うけど(前世もうちょっと上だし)、それでも、五も上にみられるとは思ってなかった。なんでだろう??…口調、かなぁ?
「まぁ、でも!八歳なら仮登録できるし、ついてこれるよね!」
「えっ、でも…本登録じゃないと街外依頼が受けられないんじゃないんですか??」
「あっ、クルミちゃんは知らないか。仮登録でも、本登録者となら受けることが出来るんだよ」
その情報は、近所の人たちには教えて貰えなかった。たぶん、単純に知らなかっただけだと思うけど…
「でも、私戦ったりとかは全く出来ないですよ?剣や弓なんて使えないし、魔術なんて私には無理ですし…」
話していて、ちょっと悲しくなってくる。せっかくファンタジー世界に転生したのに、全く意味がない。しかも、これで冒険者になろうなんて無理かも…
「えっでも、クルミちゃん、魔力量スッゴク多いよね?それに、これは俺の直感なんだけど…クルミちゃんは絶対強くなるよ」
私の知らない事実を、当たり前のように話すから、ビックリして少しの間固まってしまう。
ーーーでも、
「ほんと、ですか…?」
「もちろん!俺は嘘つかないからっ!そうじゃなきゃ、誘わないよ~!」
ーーーもし本当だったら
「よろしくお願いしますっ!!ロイドさんっ!!」
「うん、よろしく、クルミちゃん!」
ーーー頑張りたいな