魔術の特訓(2)
「ルミ…ルミはどうやって魔術を使ってるんだ??」
「んー??」
試した魔術、全部を使えるのが楽しくて、危険度の低そうなものを中心に夢中に試していた。夢中になりすぎて、お兄ちゃんのことを半分忘れていた。不思議そうな、若干の呆れを含んだ顔をしたお兄ちゃんに聞かれて、考えてみる。
「どうやって…?えっと、魔力を集めてぎゅーってして、イメージして、イメージをしたらそれを魔力に伝えて…」
「もういい、普通じゃないことはわかった」
さっきよりも、呆れが強くなったお兄ちゃんが諦めたようにそういった。普通って、あれだよね。ここではどうかわからないけど、厨二病の塊みたいな長めのやつ、だよね??
「さっきいってた、詠唱ってやつ??」
「そうだな。ちょっとやってみるか【ファイア】」
ーーぼんっ!真っ赤な火手のひらを上にしたお兄ちゃんのての上にあらわれる。私のやり方と、火の感じに違いは見当たらない。それよりも、思ってたよりも、詠唱短かった。もっと、こう、長いのを想像してた。
「今のが、一般的にいわれてる無詠唱だな。ルミみたいに一言も発しないのはもう伝説だ」
火を消したお兄ちゃんが私に説明してくれた。やっぱり、あれは無詠唱だったんだね。
私としては、ファイアって言って、発動しなかったときが恥ずかしいから、そのままできないかなって考えただけだったんだよなぁ。
「【火の精霊よ 我が声に応えよ 我に力を与えたまえ ファイア】」
ーーぽんっ!今度は、さっきよりも小さな火がついた。一回り…ぐらいかな?ほんの気持ち小さくなった感じ。さっきよりも長い詠唱でさっきよりも小さい火だと、少し変な感じする。
「今のが詠唱だな。属性によって少し文は変わるけど、大体は一緒だな」
「…なんか、大変そうだね」
「まぁ、時間がかかるから魔術師は後衛が基本だな。無詠唱ができるやつは前衛でもいけるけどな」
「で、ルミみたいなのは完全無詠唱。今の時代で使えるやつはいないな」
「んー、そんなに難しくないんだけどな」
「ルミにとってはそうでも、他のやつにはできないからさ。面倒事を避けるためにもカモフラージュした方がいいと思うんだよね」
長い詠唱をわざわざ言うよりは、今の方法の方がらくだなぁ。それに、ちょっと口に出すのは恥ずかしいから、できればそのままがいいな。ただ、お兄ちゃんが言うからそうしようと思う。
「さっきのファイアの他には??」
「そうだな…ウォーターとか、ウィンドとか、、、まぁ、簡単なのだとこんなんだな」
「私も覚えたほうがいいの??」
「それっぽい感じだったら、多分どんなのでも大丈夫だ。カモフラージュなんだし」
やっぱり、お兄ちゃんはちょっと軽いと思う。わりと大事なことな気がするんだけど…。言い出したのはお兄ちゃんだし??大丈夫、なんだろうけど…。
「わかった。気を付ける」
「それがいいよ。もう、魔術は大丈夫そうだな。じょあ、次は剣だな。…、、ちょっと待ってろ」
そういって、お兄ちゃんは森のなかに入っていった。残された私だけど…とりあえず座ってお兄ちゃんが消えた森を眺める。
んー、お兄ちゃんの気配とかってわからないのかな??ステータスに気配察知ってあったはずだけど、スキルっていまいち使い方がわからない。
「魔力…かなぁ」
魔力には個人で違いがあるってお兄ちゃんがいってたから、探れないのかな。
一度深呼吸して、試してみる。まだ短い間だけど、となりに感じていたのを、自分を中心に魔力を広げていくように。
「ん、んー?…あっ!」
みつけた。間違いないと思う。正確な情報ではないけど、なんとなく、どこら辺にいるのかがわかる。今は結構近場にいるから、離れちゃうとどうなるのかはわからないけど、この距離だとそれくらいかな。
他には何かわからないかな??人がいるかはわからないけど…。さっきはお兄ちゃんの魔力に集中してたから、今度はそれ以外を感じてみようと思う。
さっきみたいに、自分の魔力を同心円上に広げていく。すると、小さい反応がぽつぽつと見つかった。多分、森に住む小動物かな。ちょっと、魔力とは違う気がする。なんていうか、ほんとに気配って感じ??
少しの間私は、気配察知で遊んでみた。
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