表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

宿屋【葉里の宿】(2)

部屋は広くて、外見通り清潔感のある内装だった。ソファーと机の置いてある部屋の奥には、室の良さそうなベッドが二つ並んでいる。

ここ、広いしきれいだし、なんか結構高そうな気がする。

少ない荷物を、ベッドの上に置いてソファーに座る。


「そうだ!ロイドさん、そういえば私、お金って!」

「ん~、あぁ大丈夫だよ。必要経費ってことで!」

「で、でも、私ちゃんと持ってますよ??」


門を通るとき、冒険者登録をするとき。そして、宿をとるとき。もう、3回もロイドさんが支払ってくれた。でも、ちゃんと持ってるのに、払ってもらうのは申し訳なくて…。

ロイドさんは、荷物をまとめながら、少し考えるように黙って、提案してくれた。


「じゃあ、こうしよっか。明日、必要なもの買いに行くつもりだから、その時は持ってるお金を使ったらいいよ。もちろん、足りなかったら出すけどね。」

「…分かりました。ありがとうございます」

「大丈夫、大丈夫」

ロイドさんは笑ってうなずいてくれた。すんなり、私の面倒を見てくれたり、しっかりした宿の常連さんだったりするから、ロイドさんってすごい冒険者なのかも。


「それで、これからだけど、」

これからのこと。私はまだ見習いだから1人で依頼を受けることができない。ロイドさんが受けた依頼の手伝いというかたちで、私も一緒に受けて、ランクをあげることができる。ちなみにランクは、F、E、D、C、B、A、Sの順番でSが一番高い。Sランクの冒険者はこの世界に今はいないらしい。ちょっと前まではいたらしいけど、引退して普通に働いてるって言ってた。


「俺はAランクだから、あんまり低い依頼は受けれないことになってるんだ。だから、高いランクの依頼を受けながら、ルミちゃんに冒険の技術を教えていこうと思ってるよ」

「えっと、ロイドさんってAランク何ですかっ?!」

「ん、そうだよ?言ってなかったっけ」

Sランクがいない今、Aランクが実質のトップ。そんなすごい人が私の保護者代わりって言うのは、何て言うかもったいない気がする。


「聞いてないですっ!!Aランクなんて…すごいですね!あ、でも、それなら私邪魔じゃないですか?完全に足手まといな気が…!私なしの方がやっぱり良いんじゃないんですかっ??」

たいしたことじゃない風に言うロイドさんに思わず詰め寄ってしまう。はじめは、すごいって思ったからだったけど、途中から、ずっと気になってたことが溢れてしまった。前から気になってたことだけど、ありがたいこと申し出だったから、あまり深く聞いてなかった。逆に、聞くのも失礼かなって思ったから。

でも、この際だから全部聞いてみようと思う。勢いだったけど、一緒に旅させてもらうなら、聞いておいた方が良いと思う。


「ロイドさんは何で私をつれていこうと思ったんですか?私はなにもできないですし、、、」

ちゃんと聞きたくて、ロイドさんから目をそらさないようにじっと見つめる。少し考え込むように首を捻ってから、私と目を会わせて話してくれた。


「確かに今のルミちゃんでは、できないことの方が多いよね。でもそれはまだ八歳だし、当たり前だよ。俺が八歳のころなんて、もっとやんちゃしてたし。だから、ルミちゃんだってこれからもっと成長してく。そして、いずれは俺を超えるぐらい強くなるって思ってる。会った時にも言ったけど、これは俺の勘。俺の勘は良く当たるよ。経験って感じかな」

ロイドさんはそこで一旦話を釘って、ぽんっと私の頭にてを置いた。


「だからこれは、いわゆる先行投資。足手まといとか思えないくらい、強くなるって確信してるから大丈夫。」

そういって、私を落ち着かせるようにそのまま頭を撫でてくれた。私が不安に思ってたこと、見抜かれてたかも。


「…ありがとうございます」

「別にこれぐらい全然良いよ」

私が笑顔でお礼を言うとロイドさんも笑顔で返してくれた。


######


「そういえば、ロイドさんっていくつなんですか??」

落ち着いてから、他愛もない話で盛上がってて、ふと気になった。二十代ぐらいかなって勝手に思ってるけど…。首をかしげて聞いてみる。


「俺?俺は18だよ」

「えっ!そうなんですかっ?もうちょっと上かと思ってました!」

「まぁ、こういう仕事は若い方がね」

「なるほど、そうですね~」

ということは年の差は十歳。なんだか微妙な年の差な気がする。ふと、さっきのフロントでの会話を思い出した。ちょっと離れてるかもだけど、ちょっとだけ……


「…ロイド、お兄ちゃん、、、??」

ちょっと呼んでみたくなって、呼んでみる。男の兄弟はいたことなくて、ずっと欲しかったから呼んでみたくなっちゃった。反応が気になって、そっと顔を伺ってみる。


「…ははっ!いいね!これからにも都合が良いし、、、それで行こうか。じゃあ改めて、よろしくな!ルミ!!」

「っうん!!お兄ちゃん!」


######


私はこの日、両親を捨てて兄弟を得た。どんなことが待ってるかわからないけど、歩きだした道を精一杯歩いて行こうと思う。


#読んでいただきありがとうございます#


やっと一日進みました…!時間進めるのって難しいですね(-_-;)現実の時間はあっという間なのに(笑)


気に入っていただけましたら

感想&ブクマしていただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ