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ぼっちの俺が死神からもらった催眠能力でやりたい放題!! ……してないのにモテるようになった  作者: 太伴公達
第3章 図書室、メガネ、そしてサッカー部
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第7話 ご名答

「まさか吉野さんって俺を睨んでたんじゃなくて、()()()()()()()()()()()のか?」


 俺はリリィに尋ねる。


「ご名答~」


 のん気な声を上げつつ、リリィは以前三途の川で俺に見せてきたタブレットを取り出した。


「コレは彼女の個人情報だからキミには見せられないけど、データベースによると彼女の視力、左右どっちも0.05を割ってるね」


「そんなに悪いのか」


 家庭環境もあってゲームが家になかったから、幸い、俺は裸眼で両目とも1.0で視力については問題ない。


「ゲームをしにいく友達もいなかったしね」


 リリィの辛辣なツッコミが入る。


「うるせぇよ。心の中を読むな」



 たしかに目が悪いって人が俺の周りにいなかったから、視力の悪い人の視界というものがまったく想像つかなかったのはある。



「生活に支障がない程度の視力があれば『操作』はかかるよ。でもこの視力だと、メガネやコンタクトがなきゃ分厚い曇りガラス越しに物を見ている感覚だからね」



 なるほど。

 さすがに曇りガラス越しに目が合ったとは言えないからなぁ。


 じゃあ、視力が極端に悪い人や盲目の人には『操作』が掛からないのか。

 そして音が聞こえない人、難聴の人やノイズキャンセリングのイヤホンなんかしてる人にも『操作』は掛からないってことだな。

 覚えておかなきゃ。



「まあ、リリィに『操作』の通知が行ってない段階で気づいておくべきだったな」


 リリィとのホットラインである俺の猫のフィギュアは、俺が『操作』を使ったときリリィに通知を届けるようになっていると聞いている。

 つまり、俺が呼び出すまでリリィが俺の怒ってる理由を知らなかったのは、()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()からだ。



「やれやれ。ホントに微妙な能力だな、『操作』って」


「微妙っていうな!」


 俺のボヤキにリリィのツッコミが飛ぶ。


「だって吉野さんにメガネかコンタクトをさせない限り、彼女に『操作』を掛けられないってことじゃないか」


 かといってメガネを掛けるよう『操作』する事もできないのだから八方塞がりだ。


 しかしリリィはケロリとして、


「え? 普段はメガネしてるよ、この子」


ハッキリと言う。


「は? なんでリリィにそんなことがわかるんだ?」


「ほらこれ」


 さっき、俺に見せられないといったはずのタブレットを向けるリリィ。

 言われるまま俺がタブレットをのぞくと、画面いっぱいにバストアップからのアングルでメガネをかけた吉野さんの顔があった。

 まるで証明写真だ。


「……へぇ。眼鏡をかけるとこんな顔なんだ」


 吉野さんが掛けているメガネは細いフレームの丸型メガネだった。

 彼女の顔は輪郭が細くてシャープなラインをしていたので、メガネなしで目を細めていると少し表情がキツい雰囲気だった。

 しかしタブレットで見るメガネ姿の吉野さんは、丸型のメガネが輪郭の鋭さを和らげているし、目も大きく見えて全く印象が違う。


「スワイプすればメガネなしの顔も出るよ」


 リリィに言われてタブレットの画面を横にスワイプすると、図書室で会ったメガネなしの吉野さんの顔が現れた。


「ああ。俺が今日、図書室で見たのはこの顔だ」


 言いながらもう一回スワイプすると、今度は中学のときの吉野さんの顔が現れた。

 ズンズンとスワイプしていくと、赤ちゃんの吉野さんの顔まで出てくる。

 笑顔が可愛い赤ちゃんだ。


「歴代の顔がデータに残ってるんだよ」


「へぇ、面白い機能だな」


 俺は笑う。


「キミが高校入学前の春休みに床屋で散髪に失敗した髪型の写真も残ってるよ。ぼっちで誰にも会わなかったから人には見られなかったみたいだけど」


「……面白くねぇ機能だな」


 俺はゲンナリする。

 ロクでもないデータを残さないでくれ。

 美幸にも理由をつけて会わないようにしてたぐらいなのに。



「それじゃあ、なんで図書室で吉野さんはメガネをかけてないんだ?」


 俺は当然の疑問を口にする。

 普段はメガネを掛けているのにメガネを外して図書委員の仕事をするのは何故だ。

 せっかくの図書室なのに、そんな視力では本も読めないではないか。


「その理由とかはタブレットには書いてないのか?」


 俺がリリィに尋ねる。


「データに残ってるのは身体的特徴や過去の履歴とかだから、そういうのは書いてないよ」


 リリィは答えて、あごに指を当てて考える。


「そうだねー。女の子が髪型変えたり、身につけているものや服装を変えたりするのってまずは気分転換が一番だろうね」



 まあ、それは俺でもわかる。

 俺も中学の頃の髪型から高校生っぽい髪型にしようとしたからな。

 失敗したけど。



「でも、この子は日中メガネを掛けていて、図書室にいるときだけメガネを外したんだよね? だったら、図書室の誰かにメガネを掛けていない自分を見てもらいたいんじゃないかな」


 リリィの言葉に俺は驚く。



「図書室の誰か……って、まさか俺か!?」



 な、なんで俺のためにそんなことを……?




 しかし、リリィが顔を真っ赤にして怒鳴る。


「普段、この子がメガネを掛けてることも知らないキミに、何でこの子がメガネを掛けてない顔を見せたくなるのよ!!」


 リリイの当然なツッコミが飛んだ。

 たしかにそうだ。


「キミ、最近なんか勘違いしてない!? ちょっと先月、モデルの子に告白されたからって調子に乗ってるんじゃないわよ!」


「ごめんなさいごめんなさいそんなつもりじゃなかったんですけど」


 俺は平謝りに謝る。



 たしかにリリィの言う通りだ。

 吉野さんと俺は何の接点もないのにちょっと自意識過剰だった。

 恥ずかしい。


 でも、リリィもそんなに怒らなくても……。



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