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7話 引っ張りましたがようやく起動です

 さてさて、服も着せたことですし。ついにKJ001号を起こしますよ。

 Dr.ヒラガが左胸にあるスイッチを押すと、繋がったコードに電流のようなものが一気に流れました。


 広間に充満する煙。レトロSF映画感ありますね。

 もうもうと立ち込める中から現れたのは──



「Type-KJ001号、起動しました。初めまして、Dr.ヒラガ」



 ***



 明るいブロンドのロングヘアーに宝石みたいな青色の瞳。赤色の着物。そして割烹着。背中の翼以外はどう見ても本物のニンゲンと変わりません。


 こじらせアラサーの趣味を詰めただけあって、すごい美人さんなのです。

 まあボクはネコ型で可愛い系なので。ボクめっちゃ可愛いので。見た目のキャラ被りはなくて安心しました。発明まわりの助手にする予定もないみたいですし。


「おおお、完璧だ……。なんて美しいんだ」


 おお? イチャつく男女は気に入らないから爆破しようとするけど、絶対に自分がモテる方向には努力することなく案外興味もなさそうだったドクターに春の予感が?


「見ろ、主翼とジェットエンジンを! 無駄を削ぎ落としたシャープなラインが究極に美しい!!」


 や、そのへん、唯一ニンゲンじゃない部分なんですけど。

 ジェットエンジンを褒められて喜ぶ女性は少数派かと思いますので、もっと気の利く言い回しをお勉強したほうがよさそうですね。


「KJ001号、私のことはわかるか?」

「はい、Dr.ヒラガはわたくしのシステムの最高管理者です」


 無表情だし喋り方も堅いですが、ちゃんと会話できそうです。動作やAIに問題はないようですね。


「よし! ちゃんと機能しているようだな。ウッ……ウウウウ!!」



 ピ──────

 ────────……


 

 ここらへんのドクターの情けない敗北は、冒頭でお見せした通りなので省略させていただきます。

 一応再度解説しておきますと、いつもの破壊衝動でKJ001号を壊そうとしたドクターが返り討ちに合い、フルボッコにされました。

 といっても彼女は反撃してこなかったので、攻撃を全部跳ね返されただけですが。


「この私の技術をもってして、傷ひとつつけられないだと……!! なぜだ……!?」

「そもそもですよ、ドクターが壊せない兵器を造るのが目的だったんじゃなかったでしたっけ?」


 それなのに、積極的に壊そうとしてどうするんですか。


 あ、でも、ちょっと余計なことを言ったかもしれません。

 絶対に壊せないKJ001号を使って地球を破壊するという本来の目的を、ドクターが思い出したらどうしましょう。


「くそう、これしきで私が諦めると思うな! 壊せぬなら、壊してみせよう破壊兵器!!」



 なんかホトトギスみたいな語呂のワード出てきましたね。

 要は捨て台詞!



「徹夜したから今日は寝る! だが、明日からは家庭内戦争だ! 隙あらば壊そうとしてやるからな、首を洗って待っていろ!!」



 うん、本来の目的は思い出さなそうですね。KJ001号が壊れない限り、しばらく地球の安全は保たれそうです。頑張ってもらいましょう。


 昭和の父みたいにビシャッと襖を閉めてドクターが出て行ったあと、KJ001号は散らかった床を片づけ始めました。

 無表情なので何を考えているかわかりませんが、この人もわりとメンタル強そうです。


「ふああ、なんだか疲れましたね~」


 さあ、明日からどうなることでしょう。

 ボクはべつに徹夜してませんが、ネコなのでとりあえず寝ますね。ゴロゴロ。

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