表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/33

21話 ものすごい修羅場の予感です

 お買い物からの帰り道、フラフラ歩いているDr.ヒラガの姿を前方に発見しました。

 コンビニの袋を持っていますね。たぶん中身はセメダイーンとかそういうのだと思います。


 あっ、大変!

 近所の交番の前で、お巡りさんに呼び止められてます。袋の中を見せろと言われているようです。

 職質です。近所に住んでるのに!!

 

 顔も住所も知られてて、なお職質されるドクター。

 正直面白いので、ずっと観察していたいくらいです。だけど芋づる式に我が家の危険物が発見されて、逮捕に至ってしまったら困るのです。


 ネコ型ホムンクルス──今は訳あってニンゲン(女児)型ホムンクルスになってしまったこのボク、優秀な助手のエレキテルが助けてあげましょう。


 必殺! 社会的信頼度のバフ投入!!



「パパーー!!」

「エレキテ……はっ!?!?」



 すごい顔しましたね。

 なにこれ、ちょう楽しい。



 ***



「も~いつまで怒ってるんですか、ドクター!」


 実際、すぐに解放されたじゃあないですか。

 あからさまに『妻子がいるなら怪しいニートじゃなさそうだ』みたいな顔してましたよ、お巡りさん。

 これできっと、町内要注意人物のブラックリストから外れましたね!


 だからもう公園のブランコで拗ねるのやめてください。『妻子がいるにも関わらず怪しいニート』に降格してしまいます。

 取り戻しかけた信頼がまた失われますよ!


「ところでドクター、コンビニでなにを買ってきたんですか?」

「セメダイーンだ」


 やっぱり。

 なにかよけいな発明でもしてるんでしょうか。


「エレキテルのあたらしい肉体を錬成している際、副産物で不治といわれる難病の治療薬ができてしまったのだ。あとはセメダイーンを混ぜれば完成する」


 すごいじゃないですか!!

 破壊行為にしか興味がなかったドクターの発明で、まさか人様の役に立つ日が来るなんて!

 原料はセメダイーンですけど……。

 

「一応作って、完成したら燃やそう」

「なぜ!? 人助けになりますし、ノーベル賞ものの発明じゃないですか!?」

「ノーベル賞なぞいらん。私が目指しているのはいつでもダーウィン賞だ」


 ああ、愚かな死に方をした人に贈られる、海外のブラックユーモア的な賞ですね……って、あれは自ら目指すものじゃありません!



「話は聞かせてもらったわ」



 ……ん?

 だれですか、このひと。


 ボクたち3人の背後にいきなり現れたのは、白衣を着てハイヒールを履いた女性でした。

 年齢はドクターと同世代くらいでしょうか。染めた明るい茶色の髪にパーマもかかっていて、わかりやすいイイ女風のひとです。


(アララギ)……」


 と、ドクターがそのひとを見て呟きました。

 どうやらお知り合いのようです。


「久しぶりね、平賀(ヒラガ)博士。いいえ、源介(ゲンスケ)さん」


 ええええ!

 ドクターの名前、ゲンスケっていうんですか!?

 下の名前とかあったんですか!? 


 うわ~、全然知りませんでした……。

 Dr.ヒラガはDr.ヒラガだと思ってた!


 アララギさんと呼ばれた女性は、ボクとヒナギクさんを交互に眺めると、冷たい口調で言いました。



「まさかあなたに妻子がいるなんて……。信じられないわ。少しはまともになったのかしら。かつて研究所を追われたマッドサイエンティストなのに」



 こちらに視線をちらちら送りながら、わざと悪口を『妻子』に聞かせているようです。

 でも──現在進行系でまともじゃない危険人物の現役なので、その発言じゃボクたちはなにひとつダメージを受けないのです。なんかすみません。


「趣味の悪さは変わってないのね。この割烹着、ずっと前にあなたの家で、わたしに着てくれって頼んだやつじゃない。あのときはドン引きだったわ」


 あっ、やべっ。

 このひと、あれだ。


 ドクターがその昔、うちに呼んで割烹着を着せようとしたひとだ。

 話を聞いた感じ、元カノってほどじゃなさそうでしたけど……ドクターと少なからずいい雰囲気になった女の人ってことですよね。

 完全に、『妻』に対してケンカ売ってきてますね……。


 まあヒナギクさんのことですから、ヤキモチとかもないでしょうし、至極冷静だと思いますが──



「………………」



 えっなにあの表情。

 めちゃくちゃ嫉妬してるーー!?


 アンドロイドなのに顔真っ赤ですよ!? 高性能な人工スキンですね!

 ちょっと歯食いしばってますし!


 まさか、ヒナギクさんがこんな反応するなんて……!?

 ドクターはまったく気づかずに白衣の女の人のほうばっかり気を取られてるし。


 ここはいちばん落ち着いているボクが、ひと肌脱がなければ……!!


 こんな嫌味をわざわざ言ってくるなんて、この女の人はドクターが現在幸せなのが気に入らないはずなのです。


 ならば、ニンゲン(女児)型に変身を遂げたボクがやることはひとつ!



「パ、パパーーーーー! パパ好きーーーー」

「うぐっ! 急になんだ、エレキテル!」



 どうだ、幸せ家族アピール!!

 

 予想どおり、敵はドクターに抱きついたボクをかなり悔しそうな顔で睨んでいます。

 よし、作戦成功!


 初戦は無事勝利しましたが……


 ヒナギクさんはなぜか、スタンガンのアタッチメントを腕に装着し始めました。


 なんだか、ものすごい修羅場がはじまる予感がするのです……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ