ある日の地獄相談室でのできごと
この物語は肩の力を抜いて読める脱力小説です。様々な小説を見た後に、疲れたから見るかというような感覚で見てもらえると嬉しいです。
男らしい声が大きな部屋に響く
「魔王様。この前のご指導ありがとうございました。」
「いやいやいいんだよ。礼なんて」
次は艶やかな声
「魔王様。この資料はどうしたら...?」
「ん?ああそれなら君の上司に聞いたらわかると思うよ」
その次はぼそぼそとした声で
「...この前の...これ...終わった」
「ん。サンキュ。これからもよろしく!」
ここは地獄相談室。その名の通り地獄の主である魔王に何かを相談する場所である。
地獄と言っても人類が想像するような場所とは全く異なる。本当の地獄の主な仕事は地上で悪いことをしてしまった人が反省するための場所。だから天国と同じくらい平和なのである。
「やっと今日の相談終わりかな」
その後、魔王はある一点をみつめたまま動かなかったが、しばらく経ってから口を開いた。
「ねえ...なんか最近おかしくないかい?ラピス」
魔王はついさっきまでのゆったりとした表情から一変し、真剣な表情で彼の秘書兼護衛であるラピスに聞いた。
「ん?なにがですの~?」
「最近さここに来てしまう人達の理由が一つだけすごく多いんだよ」
「その理由ってなんですの?」
「ほらこれ」
魔王は資料の地獄に来た理由が書かれている場所を指さしながら冷ややかな声でこう言った。
「いじめ...だってさ」
「いじめですの?」
「ああ。疑問に持つ気持ちはわかる。俺たちは誰かをいじめようとするが無いからな」
「はい...そうですね...私たちにはそれぞれの力があり、その力を互いに認め合いながら生きているのでそのような感情は全く...」
「そうなんだよ。だからといってこの様なことを魔王として見逃してはならないと思う。」
「ですね...あっ!まさか魔王様!?」
彼女に嫌な予感が浮かんだ。なぜかわからないが、女性のこういった予感は大体当たる。それは今回だけ例外ということはなく。
「ああ。俺地上に行ってみようと思う。」
「ええええええええ!?」
魔王は呆れように「そんなに驚くことでもないだろう?」と首を傾げた。
「いやそんなことありませんよ!魔王様がいなくなったら、この地獄はどうするのですか!?」
「もう俺がいなくても大丈夫だろ。そろそろ世代交代もしていきたいと思っていたことだし」
「大丈夫じゃありません~!魔王様にはまだいてもらわくてはいけないのです!」
「どうしてだ?今はではもうこの地獄は安定しているじゃないか」
ラピスは顔を赤らめながら俯き、ぽしょりとこう言った
「...やっとあと一年で結婚できる歳になるのに...」
「ん?何かいったか?」
「いえ...じゃあ行ってもいい代わりに一つ約束してください!」
「ん?なんだ?」
「絶対に地上の人を好きにならないでくださいね!」
私はこの作品が第一作目になります。誤字脱字の指摘やアドレスがもらえるとより良い作品が作れると思いますので、よろしくお願いします。