恋
これで何度目だろうか。
詰まり、行き場を見失ったかのように体内を圧迫する何かが。細かく砕けながら、ぎゅるりと、気体が昇る。肋骨が痛む。
足の付け根がきりきりと悲鳴をあげ始め、やがて地面に全て委ねる。狼狽えるように。
告白したのだ。長く、想っていた人に。
嫌われたのではない。それに告白というものを、決して初めてした訳ではない。
『あなたはおいくつですか』
ああ、結婚はちょっとキツいな。
『今、何を見たのですか』
ああ、私とは違いますね。
怖かった。
感情は、砕き、砕かれ、取り繕い、忘れ行くのだ。多く、知らぬことのみを望もうと、いつしか情動の両端を巻き付けるような、そのような。
ああ、誤魔化したい。どうにもならぬことだが。この固定された何かを、術を。明日とは、何なのか。
狼狽える。痛むのだ。
何かを失ったのか、或いは詰め込まれたのか。
何故なのか。
『好き』などと二文字すら、如何にも言えなかったのに。