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おもしろき あの世で異端者  作者: 大地 チイダ
現実
5/22

それでも・・・。

 「兄さん?5人組のお客様です。それも全員いかつい顔をしていらっしゃいますが・・・、どうしましょう?」

 ふうむ・・・と言いながら俺はそっけなく言う。

 「お前の方が何十倍も綺麗だよ」

 「え!?・・・や、やめてください!そ、そんな、そっけなく言うなんて・・・本心なのですか」

 「冗談でこんなこと言うか。しょうがない、綾音。お前は下がっていろ・・・、コウのところにいっておいで」

 「え?えっと・・・」

 「いや・・・。もう開けるよ」


 覗き穴から見えて、そして今目の前にいる5人組。ご対面と行こうか。

 ドアの引手を半分まで開けると、後は向こうが勝手に引っぱていってくれた。ドアのノズルを持ちっぱなしだったので、そのまま外に上半身が放り出される。

 「お・・・、とっと・・・」

 「やっとでてきたか?」

 「軽音部の・・・大山か?それにみんなも・・・」

  部長の、大山和彦。ボーカル・ギター担当の、かっこいいやつだ。

 正義感が強くて、特に女の子には優しい。男の鏡みたいなやつだ。

 俺に、どんな言葉をかけてくるだろう?

 そして、もっと顔を合わせたくない後ろの4人。

 不安・・・?この俺が・・?

 「はじめて・・・だな。お前らが家に来るなんて」

 「そういえばそうだ。どうせなら、もっと来てさ・・・。お前とギターについて語り合いたかったな」

 (何を・・・狙っている?)俺は瞬時にそう思った。でも、顔にはださず笑った。

 「修希も・・・一緒に」今となっては、俺の大事な相棒の名をつぶやいた。

 大山はどうだろう。視線が下がっていき、でもなにか懐かしむような目で自嘲気味に笑っていた。

 「大山君・・・今日はそんな話をしに来たんじゃないでしょ。ほらっ、・・・誤りなよっ!!大山君にっ」

 ベースの古高沙織・・・。ハキハキと物事をしゃべり、こなすという、生まれつき・・・?の才能を持っている彼女。基本、誰にでも優しかったということを、俺は覚えていた。

 こんな俺に、修希と帰り出す前から何かと気にかけてくれた女の子。テストの話とか、学校に関わる世間話・・・とか。その話の中で、俺は軽音部に誘われた。

 それなのに、俺は彼女にこんなことを言わせてしまってる。悪いことしたら謝るだって?遠い昔、母さんにそう怒られたっけか。

 

 それでも、納得いかなかったら俺の意思を突き通す・・・。これが俺のずっと昔からの答え。


 「大山・・・。確かに先日お前の妹を突き飛ばした。済まなく思う。しかしだ・・・、俺がなんの理由もなく殴ったとか・・・そう、思ってる?」

 

 「蒼井君?」これは古高さん。

 「何言ってんの?骨とか折れてたら、あんたが全部責任負いなさいよ!あん・・いやお前のせいで有希子たちが男性恐怖症とかなったらマジで許さないから」

 ・・・ドラムの秋森さん。優しかったのにな。俺には無関心だったけど。でもやっと彼女の心からの声を聞いたような気がした。

 「もっと他のやり方があったでしょう?」

 ピアノ担当の涼川さん。俺のイメージとしては、お金持ちの、敵には厳しいお嬢様といったところか。秋森さんと同じく、今日初めて正面から顔をみて話したような気がする。

 俺は言う。 

 「うるさいっ。俺に話をさせろ!!」と。

 大山以外の4人はビクッとなった。大山も笑みを薄め、俺の方をじっと見つめてくる。

 古高さんに発言される前に、俺は俺の考えをみんなに伝える。

 「その大山の妹も居た集団が、一人の女の子を囲んで嫌がらせをしていた!カバンとか取られたり、半分面白がって、いろんな傷つく言葉を投げかけていたよ・・・。無関係の俺が震え上がってしまう程の・・・ね。そしてさ、一人の女の子が、その娘の髪を掴んだのを確かに見た俺は、同じくその髪をつかもうとした女の子の髪を掴んで、放り投げた」

 

 修希がもうひとりの女の子を、ブランコ前で手当していた頃だ。


 「やったのは俺さ。大山、結果的にお前の妹も傷つけてしまったことは謝るさ。でも・・・、また同じような光景を俺が目にしたら、言葉でわかってもらえなければ、方法は変えないぞ?」

 

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