表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

気付かず気付かれ

作者: 一人天パ

for your life

僕らは誰にも関わらない。

モニターの向こうにいる美少女は僕の嫁、なんてことを言ってるのが僕たちニートの大半だと思ってる奴もいるかもしれないが、僕たちだって何も好きで引きこもってるわけじゃない。

僕たちは皆、子供の頃夢見た世界が現実というまるで別次元の世界のような夢も何もない世界に嫌気が差しているか、はたまた人間関係が新天地で理想とは違う結果に終わることに絶望して家にこもっている。

僕、舞三は大学に進学するも一回生の後期から休学届を出して毎日起きてはパソコンに向かいたまに外に出たと思えば図書館で本を借りるかジュースやお菓子を買いに行くかという学校に行っていたことなんてもう覚えていないかのような生活をしている。

学校に行かない理由はただひとつ、めんどくさいからである。朝早く起きる?まじめに講義を受ける?やってらんねぇよ。一回ぐらいサボってもいいだろとか考えてサボってると段々講義に出なくなり、終いには学校まで行かなくなった。親には勿論言われたさ。学費を払ってくれてるのも、養ってくれてるのも親だ。でも、俺は、こんな人間だ。説得されたくらいじゃ行きやしない。終いには親が折れて何も言わなくなってしまった。

そんな俺の毎日はパソコンとのにらめっこが大半を占めてるな。某掲示板のチェックは既に日課みたいなもんだし、動画サイトでだらだら動画を見るのは時間つぶしの定番だ。ゲームなんて十八番芸と言っちゃおかしいが、興味のあるものにはのめり込んでいる。最終兵器はお昼寝だ。布団の中は家の外のどんな空間よりも居心地がいい。勿論家の中でも居心地の良さはトップクラスだ。

 今日も昨日遅くまで、いや、正確には今日の朝早くまで起きていた。家のインターホンが鳴るが当然そんなものでは起きやしない。朝の仕事に追われる母が出る。インターホンの主は古いつきあいの友達だ。だが、そんなこと知る由もなく寝ている。だが、そんなことはその友達テルも知っていることだった。むしろそいつは俺を起こしに来たのだ。全く迷惑極まりない。テルが家に来たので俺は強制的に起こされる。母も普段は起こさないのだが、友だちが来ているのでは起こさないわけにも行かないだろう。だが、起こされた俺は寝起きが悪い。前日もとい早朝までやっていたのに眠い中起こされて機嫌が悪くて当然である。だが、そんなこともわかった上で友達は俺を大学の講義に連れて行こうとしているのだ。普段なら誘われても行く気は無いのだが、あまりにしつこく食い下がってくるので、仕方なくついて行くことにした。

だけど、行ってみて思った。行くべきじゃなかったと・・・。

「なんでこんな講義に連れてきたん?」

俺は聞いた。するとテルはこう答えた。

「現代の人々が引きこもりやニートをどう思っているのか生の声をきかせてやりたかったんだ」

「なんでだ?……こんなことをする必要ないだろ?……朝早く起こしてどうしてもっていうからついて来てみればなんだ……人を不快にさせたかったん?」

俺はご立腹だ。普段ならこんなことどうでもいい。聞き流せるのだが、今朝の事が事だけに余計腹が立ったのだ。テルもそのことをわかっているようだった。しかし、わかっている上で話しているといいこう続けた。

「癪なんだよ……この先生の講義は毎回こんなかんじなんだ……それを聞く度にお前のことを思い出すんだ……お前とは高々五年の付き合いしかないが、それでもお前のことは友達だと思ってるしとても大切だ……だから、お前のことは信用している……以前、お前は俺が誘うとちゃんと学校に来てくれたな……雨の日は来てくれなかったけどな……これからも一生お前とは仲良くしたいし楽しくやっていきたい……だからお前をこれから大学に誘うことにした……俺とは学校は違うけどな、でも俺だって友達はいないしたのしくなんてない……だけどこれからの俺の人生を良い物にするために今努力してる……お前は俺より頭がいいんだぞ?なら、それを活かさないのはもったいないぞ」

口ではテキトーにあしらっておいたが正直コイツの気持ちは少し嬉しかった。だけどそんなふうに心配してはもらったが、結局オレは学校になど行かなかった。それどころか、大学を退学めた……。

あれが、もう何年も前の話だと思うと少し懐かしくなる。居酒屋で、テルとばったり会いそんな話をした事を酒のアテにしている。結局は地元のスーパーでパートをしている。だが、こんな人生も結局はあの時に大学をやめたから味わえているのだと思うとなんとも不思議な気分になる。今飲んでいる酒の味はあの時大学に行っていれば違っていたのだろうか?分からない。しかし、今飲んでいるこの酒は居酒屋の安いビールだがあの時の道とは違う味だろう。今思えば、結局は人生に間違っている道など無いのだ。確かに失ったものがあるのは事実だが、その対価として得たものは決してお金では買えないものなのだ。失う事を恥じてはいけない。人生は常にGive and Take、何かを得て失うことの繰り返しだ。自分の人生なんだから堂々と失って堂々と生きていこう。失うことを恐れない。得るものに希望があるから、人は生きていけるのだ。コレは知性のある生物である人間特有のお話です。

see you

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ