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初めての本当の友達

私の名前は阿部美緒アベミオという。周りを見ると、友達ごっこをしてる者がたくさんいる。なんでごっこだって?だって、友達を裏切って裏切られた子は、他の子を裏切る。裏切りのループ。人間ってそんな生き物だ。だから私は人を信じない。



今日も私は一人で静かに教室に入る。私は誰とも口をきいたことがない。

「来たよ。冷血人間。」

「冷血人間の目を見ると石になるんだって。」

ふぅーん。また新しい噂出来たんだ。まっ、気にしないけどね。

授業はとってもつまらない。特に保健の授業。『心の傷』か。一応私は成績優秀。数学なんて簡単すぎて、つまらない。でも、それが返って私を不気味にしてるみたい。

「冷血人間が頭いいのは、ゾンビに教わっているからなんだって。」

「私は魔法をかけてるって聞いたよ。」

バカみたい。ゾンビとか魔法とか、信じるわけ?



私がいつもどうり休み時間本を読んでいると、誰かが近づいて来た。私は少しびっくりした。だって、『冷血人間に近寄ると氷になる』って噂があるから。

「初めまして!僕、加藤直人カトウナオトっていうんだ。今日転校してきたんだ!」

「初めまして!私、加藤直美カトウナオミっていうんだ!直人の双子の妹よ。」

私は当然、無視。

「どうして一人なの?」

妹の方が聞いてきた。

「僕たち君と友達になりたいんだ!名前は?」

……

「その本なんていうの?」

「……ああ!もう、うるさいな!諦めてくれない!?」

その時教室が静まり返った。

しまった!……人とは口をきかないようにしてたのに…

「やっと口をきいてくれた!」

兄の方が言った。

こんなに注目されるの苦手なのに!

「もう、話しかけないで!」

私はそれっきり話さなかった。

この双子兄妹、最低!イライラして声を出しちゃったじゃない!

でも、その双子兄妹は毎回毎回、休み時間に私の机に来る。そして私に話しかけてくる。もちろん無視したけど…家のこととか、お互いのこと、この街のこととかたくさん話題がどんどん出てくる。私は疑問が湧いた。だから、二人を昼休み屋上に誘った。当然、話したわけじゃなく、ノートに『昼休み屋上に来て。』と一言書いて伝えた。その場で言うのもよかったんだが、もう注目されたくなかった。



二人は屋上に来た。私は疑問をぶつけた。

「どうして私にかまうの!?私の噂知らないの!?」

「知ってるよ。」

「じゃあ、どうして…?」

私はわけがわからなかった。

「君は悪いところどこもないじゃないか。」

「むしろ、とっても心優しい子じゃない!」

「私が…優しい…?」

「私達知ってるのよ。いつも移動教室の時先に行って、お花の水の入れ替えや、カーテン閉めをやっていること!」

「みんなはすぐに教室に戻るのに、しっかりと窓閉めとカーテン閉めをやっていること。」

「私達はまだまだたくさん知ってるんだから!」

「僕たちはそんな素敵な君と友達になりたいんだ!心から誓える本当の友達に。」

「本当の…友達…」

私はここまで見てくれている人なんて初めて見た。友達…

私は二人を信じてみようかなと思った。

「でも、私といると除け者にされるかも…」

「それでも、君と友達になれるんだったら、どんなに辛いことも一緒に乗り越えれるさ!」

「教室に戻ろう!一緒にご飯食べよう!」

初めての本当の友達…初めての友達とのご飯…

「うん!」

私はこれ以上、二人を信じない理由が見つからなかった。私は嬉しさで心がいっぱいだった。

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