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 昨日に引き続き今日の天気も晴れで、青く澄んだ空には雲さえもほとんど見当たらない。少し風が吹いている。その風が雲を押し流してしまったのだろう。窓際に立つと太陽の光が暖かく降り注ぎ、じんわりと暖めてくれた。


 あちらこちらの家の満開のアカシアのせいで、街並みはどことなく黄色に染められている。日光と風でキラキラと揺れているその姿は、垂れ下がった枝の下から見上げると、さぞかし幻想的な気分を味わえることだろう。


 満開を過ぎたアカシアの花はそれほど持ちが長くない。だんだんと茶色く汚らしくなり、満開時の壮大さと比べると残念な気分になることもあるが、人々はそれから、二月の終わりを悟る。


 午前中、ルニエはいつものようにやってきたエルに勉強を教えてもらった。彼女は部屋の花瓶に挿していたアルギランセマムを見て、とても綺麗だと褒めてくれた。心なしか昨日よりその花弁の色が、やや薄くなって見えるように思える。


 午後になり、ルニエはキュラソウの家に行くことにした。昨日はそもそも彼に想いを告げる決意をして行ったはずなのに、途中で帰ってくる形となってしまったからだ。カナリアに対していった口約束がキュラソウに伝わっているとは思いがたいが、このまま有耶無耶になってしまうのであれば、留守番をした意味すらもない。


 キュラソウを尋ねて行ったとき、どうせらなラ・コスタも一緒にいてくれたほうが、ある意味ややこしくて、ある意味簡単なのかもしれない、とルニエは思った。気付けば、今月に入ってまだ、ラ・コスタとは会っていなかった。


(そういえば、二人が一緒にいるところを見たことがないわ。話をしているみたいだから、仲は悪くないみたいだけれど……。ラ・コスタは先生のことを気難しい、先生はラ・コスタを寝てばかりいる)


 キュラソウが気難しいかはさて置き、ラ・コスタもそんなに寝てばかりなのだろうか、と考えつつも、突然彼の家を訪問したとき、彼が寝ていたのを思い出すルニエだった。


 身支度を整え、ルニエが出かけようとして部屋の扉を開けると、そこにはコルドン氏が腕組みをして立っている。


「先生の家に行くのか」


「いえ……散歩に」びくびくしながら答えた。


「嘘を吐くな! 昨日も本屋など行っていなかったんだろう。どうも見合いの話に乗り気でないと思ったら、こういうことだったんだな」彼はルニエの腕を掴み、部屋の中に押し込める。「反省するまで外出は許さん!」そう言って、外から鍵をかけてしまった。


 ルニエは言葉を失って呆然と絨毯の上に座り込んだまま、閉ざされてしまった扉を見つめる。許しを請うことも、扉を叩くことも忘れてひたすら扉を見つめ、糸が切れたように目から涙が溢れ始めると、機械的にマフラを外し、上着を脱ぎ、リボンを外し、ベッドへ駆け込んでシートに顔を埋めた。

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