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婚約は破棄されましたが、私は静かに身を引いただけです  作者: リリア・ノワール
第3部 余白が形を持つ前に

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第23話 選び続けるということ

夜は、まだ終わっていなかった。


静けさの中に、

昨日の言葉が残っている。


――優先されなかった命。


私は庭に立つ。


椅子は円形。

中心は空席。


だが、


そこに置かれるものが、

変わっている。


「……残す、と言いましたね」


イリアの声。


振り返る。


彼女は、昨日よりも内側にいる。


迷いはある。


だが、


逃げていない。


「ええ」


私は答える。


短く。


それ以上は要らない。


「どうやって」


彼女は問う。


昨日と同じ問い。


だが、


意味が違う。


理解しようとしている。


私は少しだけ考える。


そして、


言う。


「選び続けることです」


彼女は眉を寄せる。


分からない。


当然だ。


「一度ではなく」


私は続ける。


「そのあとも」


沈黙。


彼女は考える。


理論ではなく、


感覚で。


「……昨日の選択を」


彼女は言う。


「そのままにしない」


私は頷く。


「はい」


それが、


残すということ。


昼、小さな調整が入る。


新しい案件。


規模は小さい。


だが、


同じ構造。


円形。

空席。


議論が始まる。


速い。


迷いが少ない。


だが、


途中で止まる。


一人が言う。


「この案で問題ありません」


別の声。


「待ってください」


イリアだ。


彼女は止める。


だが、


以前と違う。


彼女は言う。


「この選択で残るものを確認します」


問いの形が変わる。


単なる反対ではない。


確認。


場が止まる。


だが、


崩れない。


答えが出る。


「一部の対応が後回しになります」


「次回対応が必要です」


それを、


そのままにしない。


「では」


イリアが続ける。


「次の対応を決めましょう」


議論が続く。


一度決めたあとで、


もう一度決める。


流れが変わる。


深さが増す。


私はそれを見る。


何も言わない。


だが、


確かに変わっている。


会合が終わる。


遅くはない。


だが、


軽くもない。


外に出ると、


イリアが言う。


「選び続けるというのは」


彼女は言葉を探す。


「終わらないということですね」


私は頷く。


「はい」


彼女は少しだけ笑う。


苦い笑い。


「楽ではありません」


「ええ」


私は答える。


夕方、レオンが再び現れる。


足音は変わらない。


迷いがない。


彼は庭に入り、


すぐに言う。


「変えましたね」


挨拶はない。


必要ない。


「ええ」


私は答える。


彼は周囲を見る。


円形。

空席。


そして、


人の動き。


「二段階判断ですか」


彼は言う。


「非効率ですね」


正しい。


だが、


それだけではない。


「残すためです」


私は言う。


彼は一瞬だけ沈黙する。


「結果はどうなりますか」


「少し遅くなります」


私は答える。


彼は頷く。


「では、危機では使えません」


その通りだ。


私は否定しない。


「はい」


彼は私を見る。


「それでも採用しますか」


私は少しだけ考える。


そして、


答える。


「場によります」


彼の目が、わずかに細くなる。


初めての反応。


「使い分けるのですか」


「はい」


私は答える。


「選び続けるために」


沈黙。


風が通る。


葉が揺れる。


彼は言う。


「一貫性がありません」


正しい。


だが、


それが問題ではない。


「必要ありません」


私は言う。


「一つである必要はないので」


彼は何も言わない。


否定しない。


だが、


納得もしていない。


それでいい。


夜、庭に立つ。


足音が一つ。

そして、もう一つ。


「難しくなりましたね」


彼が言う。


「ええ」


私は答える。


「ですが」


言葉を続ける。


「少しだけ、見えました」


彼は何も言わない。


ただ、


隣にいる。


それで十分だ。


私は空席を見る。


そこには何もない。


だが、


そこに向かう道は、


一つではない。


選び続ける。


それが、


今の形だ。


だが、


その先に、


何があるのか。


まだ、


分からない。


そして、


それを試す場が、


次に来る。


夜風が止む。


静寂が落ちる。


その中で、


次の問いが浮かぶ。


もし、


選び続ける余裕がないとき。


そのとき、


私はどうするのか。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


「選び続ける」という一段深いテーマに入りました。

ここからは“余裕がない状況”での選択が試されます。


続きが気になる方は、ぜひブックマークと評価をいただけると嬉しいです。

次話もお楽しみに。

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