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婚約は破棄されましたが、私は静かに身を引いただけです  作者: リリア・ノワール
第2部 並んだまま遠くへ

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第38話 場のかたち

国際調整顧問を断ったあと、

各国代表による自主会合が始まった。


中央主催ではない。

私の名も冠されない。


ただ、

「庭形式」とだけ呼ばれる。


最初の会合は、

隣国の小さな港町で開かれた。


私は招かれ、

同席する。


壇上はない。

円形の椅子。


中心は空ける。


私はその外側に座る。


足音が増える。

言葉が交わる。

通訳が入り、

議論はゆっくり進む。


「制度と文化の差をどう吸収するか」


「速度の違いをどう認めるか」


私は答えない。


問いが重なり、

やがて各国代表が自分の言葉で整理し始める。


私はただ、

聞いている。


夕方、決定が出る。


各国は一律導入をやめ、

「段階的文化適応」という枠を設ける。


文書に私の名はない。


それでよい。


夜、宿舎の庭に立つ。


足音が一つ。

そして、もう一つ。


「世界は落ち着きますか」


彼が問う。


「少しずつ」


私は答える。


余白は制度ではない。


だが、

場は広がる。


翌月、第二回会合が開かれる。


今度は山間の小国。


合理の強い国と、

伝統の強い国が向き合う。


緊張はある。


だが、

対立にはならない。


場があるからだ。


私は中心にいない。


発言も少ない。


けれど、

沈黙が続きすぎると、

ひとつだけ言葉を置く。


「急がなくても、決定は可能です」


それだけ。


夜、帰路の馬車の中。


「あなたは制度になりませんでしたね」


彼が言う。


「はい」


私は微笑む。


「制度は重くなります」


「場は、軽い」


翌朝、屋敷の庭に戻る。


足音が重なる。


世界はまだ揺れている。


合理も、

余白も。


けれど、

揺れは暴走していない。


整いすぎない。

崩れすぎない。


私は中心に立たない。


顧問にもならない。


象徴にもならない。


ただ、

場に立つ。


並びは変わらない。


世界が広がっても、

位置は揺れない。


整わないまま、

動き続ける。


それが、

今の私の立ち方だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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