07 異世界の女神6 聖女 の、ニコイチ帽子(天才)
レルム(19) 頑丈が過ぎる護衛官。早朝に冷水シャワーを浴びる人。鼻歌まじり。真冬でもへっちゃら。
アンナ(18) 転生者。前世は媒体問わず恋愛物語をたっぷり嗜む。戦略系乙女ゲームでは、弟ポジの健気で無口な美少年が可愛くデレる姿にキャッキャしていたら、攻略したとたん唐突なスパダリ化エンド。「違う。そうじゃない。こっちに守らせろ」。(一般的には高評価)
ヒュプシュ(17)転移前の世界でひどい目に遭った。古代の人なので現代語わかんない。皆ともっと会話したくて自動翻訳の魔法を使っている。
※全員、転移前の出身地は同じ。でも時代がそれぞれ違うので、古語、現代語が混ざって会話しています。基本言語は全員がわかる古語のほう。
ヴィルヘルミナは修道女だ。つまり被支配階級の出である。
しかし濃い茶色の髪は王家の色、所作は高位貴族のそれ。明らかに訳ありの彼女は、転移の際に、魔力を失っているという。だから魔法が使えない。女神の中で、ただひとりの只人だ。
彼女は自分について語らない。表情も無。そもそもあまり喋らない。修道女らしく、日々のルーティンを遵守することにはこだわるが、他は基本的に受け身。従順。
そんなヴィルヘルミナは女神の民から「凪の女神」と呼称されている。
けはいが薄い。言動もゆっくり。生者というより物品に近い空気感。いるのかあるのかよくわからないほど「何もない」。
根は聡明なようで、個人の感想と前置きしつつ鋭い指摘をすることがある。本人としては、その前置きは建前でなく本音のようだ。求められたから応えただけ。自分から意志表示しない。何も主張しない。意思すら、まるで無いかのごとく読めない。
怠惰を思わせるほど諦観を極めたその姿は、しかし転移前の世界で生き延びるために必要なことだった。
王家の望まれぬ庶子だったために、生まれた直後に出家した。
ただの修道女として一生を終えるはずが、その絶世の美貌と妖艶さが災いした。
関わった男たちがのきなみ欲に目を曇らせたのだ。
本人の意思も都合もそっちのけ、勝手に騒ぎ、勝手に争い、数多の犠牲を出した結果、彼女は断罪された。
「ヴィルヘルミナは傾国の悪女」。
悪とされた弱者を裁くのは権力者の特権だ。彼女を手に入れたのは国一番の権力者。つまり実父。責任を負わない側の彼は、安易に贖罪を命じた。
「父親のため、敵を惑わし破滅させる人形であれ。できないなら死ね」。
我を殺すことが、彼女の生存戦略だったのだ。
そんな彼女も、神域投影で周囲と馴染むにつれ、少しずつ自分らしさを取り戻していった。
転移後に発現した特殊魔法は「治癒」。不可能とされた奇跡の御業だ。その慈悲深さを含めて、彼女は名実共に異世界の聖女となった。
皆が知る「修道女ヴィルヘルミナ」は、アンナ教の信心深い教徒(というか発起人)であり、日々祈祷の修練に励む清廉な淑女だ。
そして、見た目にそぐわぬ大食漢。
歌が苦手で、素の笑い声は個性的。
25メートル走9.76秒。体長15センチ~40センチの女神の民と競り負ける。
パウンドケーキを一本まるっと平らげても消化は一瞬。
謎のピンク色で感情表現。己の美貌も色香にも今だに自覚がない。
最近はアレインに懐いていて、怠惰な猫のような謎の行動でじゃれついている。
自分らしさを取り戻しつつある今もなお、彼女は謎多き美女なのである。
◆
ソファにふんぞり返るカイザルと、対面したソファにチョコンと座るリンが、同時に好戦的な笑みを浮かべた。
レルムはアウローラを見て、アウローラは淑女の微笑みを浮かべる。
スペルモルはゆっくりと唇に親指を当てた。
アンナの口の中で独り言がはじまり、ヴィルヘルミナがいつもどおりクッキーを齧るサクサク音と合わさって個性的なBGMと化す。
サクサクぶつぶつサクサクサクが響き渡り、それぞれが思案するなか、ぽかん顔のヒュプシュが愛らしく首を傾げた。
「3ヶ月…後? 産まれる前? もう産まれてる?」
アレインもつられてコテンと首を傾げた。サクサクサクにあわせて、リズム良くなおる。
「…正期産…産褥期。そうであった。ヒュプシュ嬢。どうか安心してほしい。君らはいつでも安全だ。
今の僕にできる努力をしよう。できる限り正確に詳細を伝える。
まずカイザル殿がいかに稀有な例外であるかの説明を」
「おいちゃん。そっちは論文でいい」
「…うむ? しかし糸口になりえる重要な…、…。確かに。
と、すると…今は何をどこまでどう伝えるべきか。僕としては協力を求めるのだから、皆に誠実でありたいのだが」
サクサク
「まずはヒュプシュの首の角度を戻そう。起きたまま寝違えそうだぞ…器用だな…?」
サクサク
ヒュプシュは「はいきぶつ…つくもごみ…しりとり??」と呟きながら顔が真横に傾いていた。
とっさにアンナが手の平で支えたため、やわらかほっぺたがうにゅんと潰れた。目撃したアンナがメロった。
ヒュプシュのほっぺたがかすかに動く。
揉まれている。
アンナの顔がデレデレに緩んでいるところを見れば、間違いなくほっぺたは揉まれている。
ヒュプシュは気にしない。きょとん顔のまま揉まれ続け、まんまるおめめをサクサクサクに合わせて、ぱちぱちぱちと瞬きしながらスペルモルを見た。
目が合った少年は、つられて気が抜けた。
「…情報の共有は重要だ。いざという時に身を守れる。
ヒュプシュ。念のため知っておいてくれるか」
サクサク
「呪いとは、歪んだ執着を伴う害意。災いが生じることを願う念を指す。
特定の手順を踏んで行使すると呪詛となり、増幅回路を形成して様々な害を及ぼす。物品に込めれば危険な呪物と化す」
サクサク
ヒュプシュの首の角度が深まった。アンナがそっと持ち上げ、耳打ちした。
「怒りや恨みじゃないよ。痛い目をみろって考えが呪い。
あと丑の刻参り、あの手の怖いオマジナイが、やり方によっては本当に効くみたい。使った藁人形を呪物って言うんだって」
「!」
アレインの説明で頭は傾き、アンナの囁きで直る。幾度か繰り返し、ヒュプシュはこう理解した。
「つくもごみバッチィ! 呪物よくない! 危ないのイクナイ! 倒すよ!」
「おお…? らしくなく好戦的…そっか、中てられてるのか。赤ちゃんいたら冷水浴びれないもんねぇ」
アンナが宥めるが、ヒュプシュの興奮は高まっていく。
「つまり、呪物は他の呪いの器にもなる。過去の研究者たちの検証によると、複数の呪いを保持した呪物は効」
「おいちゃん。待って。刺激が強すぎた」
「怖い! 離れたい! でもあっちが来るんでしょ! どうせ、また逃げられない! 怒れちゃうよぉ…!」
それきり、ヒュプシュは黙り込んだ。我慢を選んだ。
アンナは青ざめ、アウローラを頼った。
アウローラは「画面」を発動させる。
苦しむヒュプシュから心的外傷を遠ざけ、悪感情を取り除くと、ヒュプシュは、はふ、と安堵の息をついた。そのままアンナの腕の中でぐったりしている。
「…これじゃまるで遅延型の攻撃魔法だ。知ることすら危険なのか。
ヒュプシュ、悪かった。今だけ現代語の翻訳を外せ。聞かなくていい。お前は俺らに守られてろ。
アレイン」
「…うむ!
モドキと称したのは、錯覚戦術を用いるからだ。明らかに自発性をもっている。より効果的な呪詛を選んだように見えた。
ただの呪物ならば、これはありえない」
サクサク
「いずれ虚無に還す。その前段階として弱体化の維持が最優先となる。
僅かでも気分に変調あれば必ず禊を行い、精神の健全性を保つ必要がある。
特にレルム卿は主戦力である。
この秋冬に過酷なことだが、朝夕の水垢離を習慣づけてもらいたい」
レルムは頷き、挙手した。
「アレイン閣下。討伐について。
敵は凪と聖剣による物理的攻撃で弱体化が可能と聞いております。
呪物の場合、祓という特殊技術で解呪を試みると耳にしたことがあります。
モドキに対して祓は有効打になりますか?
その場合、おれに出来る技はありますか?」
アレインは戸惑った。
「…どうだろうか? 祓とは祈願。人の技術ではなく、神頼みのことである。
この世界の女神は君らなので、カイザル殿とアウローラに退魔を願うという意味に…、いや。
…もしくは」
ふと言葉を切り、アレインは上を見た。
サクサクが響く中、何となく皆も上を見たが特に何もない。吹き抜けだ。
サクサクのリズムにあわせてアレインはなおり、レルムに頷いてみせた。
「うむ。アウローラの師匠なら何か分かるだろう。会えれば、だが。
レルム卿。これは憶測でしかないが、君の聖剣には可能性がある。おいちゃんは、特定の条件下において退魔が叶うのではと睨んでいる。
ただ今は検証する時間が惜しい。
敵の弱体化も重要な作戦のひとつ。君は討伐において要のひとりである。
退魔にこだわらず、共に皆を守ろう。期待している」
レルムは敬礼で応えた。
サクサク音は絶え間ない。
アンナがぼそりと呟いた。
「…時間稼ぎ。つまり、先にやることが他にあるんだ?
退魔と討伐って同じ意味じゃん、何で使い分けたん?って不思議だったんだけど…ほぉん。
ねぇ、おいちゃん。「退魔」ってのは「つくもごみを虚無に還す」ことを言ってんだよね? んで、今それが出来るのはカイザルさんだけ。可能性があるのはレルムさんとアウローラ。
足止めでいいなら結界はどう?」
アンナが指さした先には、空中に浮かぶ巨大な水さし。今は空っぽだが、さきほどまでカイザルが水垢離をしていた。
「森をぐるりと一周、魔法で人口滝をつくる。
やっぱ浄化装置っつーたら滝じゃん?
魔法結界はお約束。変身ヒロインの結界で世界を守っちゃる」
スペルモルは必死に考える。
相変わらずサクサク聞こえてくるが、集中する少年の耳には届かない。
(結界…叶うなら安全が確保される。一部を、あえて突破口に見せかければ…誘導も。
でも、ムリだ。だって)
サクサク
アレインは残念そうにアンナに言った。
「結論として、魔法による結界は採用できない。
通常の呪物が相手ならば試してみたい…汚染は禊により浄化できるが、通常、解呪は祓しか手がない。魔法で呪物の封印が叶うとすれば素晴らしい。
この森だけならば設置も可能。じっけんしたい。たのしそう。
しかし、モドキには効かないのだ…カイザル殿は、水垢離の最中に宿主と化した。浄化を忌避しないなら、敵は突破してしまう。意味がない。
凪で障壁を築くことを考えたが、維持の労力を考えると現実的ではない。
よって、結界構築は最終手段となる」
サクサク
「残念」
アンナは肩をすくめた。
「敵は特異な存在である。正体が本当に呪いの一種なのであれば、従来の弱点を克服した変異体と言える。
特異といえば…呪いの魔核もだが。
呪物でありながら、自ら望んで浄化を受ける。弱体化はするが…、…無事。さらに退魔まで成し遂げた。
大変に興味深い。落ち着いたら、ぜひ研究させていただきたい」
サクサク
「好きにしろ。しかし「落ち着いたら」…か。
アレイン。やはり戦略があるな? 言ってみろ」
歴戦の王の圧がこもった視線を受けて、戦闘未経験者は怯んだ。
「あ、ある。我がレディの「画面」により、必要な情報は揃っているから。
故に、この戦いには勝算がある」
「それで?」
「点制圧。異界からなら深淵に対し物理的に干渉できる。
弱体化の維持、並行して重要拠点を無力化、今はまだ開発中だが、とある魔道具による退魔。
僕はこの3つをもって討伐を完了させ、異界を平定したい。
カイザル殿、貴殿は切り札だ。抑止力になりうるかの検証も兼ね、主に防衛を担ってもらいたい」
サクサク
「…へぇ? このオレを温存するか。それで? チマチマ顔見せの逐次投入に応えろと?」
「…! 飾りではない。出し惜しみでもない。本拠地を疎かにしたくないのだ。貴殿には、どうか我らの帰る国を守って頂きたい」
「…てめぇは大人しくおうちにいろ、と?」
カイザルが殺気を発した。器用にアレインにのみ向けられ、ピリリと金属の肌を焼く。
「…モドキは。変異体。人ではない。が。人に…似ている。僕は。…分かる。人は、変わる。なにより人に…よる。だから。…近づけるわけには。…二度と」
声は震えたが、アレインは必死に訴えた。
「二度と人質をとらせない…! 最大の護りは、常に宝の傍に置く。その為なら、いくらでも手段を講じよう」
「…いいだろう。おせっかいはやめる。好きに使え」
威圧が緩み、アレインはあからさまに安堵のため息をもらした。
「感謝する。
これより戦術および作戦の説明に入る、が、大前提として僕には実戦経験がない。机上の空論では困る。どうか監修してもらえまいか」
サクサク
「任せろ。レディ・アウローラ、地図はあるか?」
アウローラは頷いた。「画面」を使い映写膜に投射した。
サクサク
「上部は世界地図です。縮尺は右下に表記。複数の大陸と小島が形成されました」
アウローラが指を揺らすと、地図がいっきに色づいた。
「白抜きは海や川です。
緑が神域投影。周辺の薄い青は、次元の破片が寄せ集まって出来た大地。
外側に点在する赤が異界、黒い歪な楕円は深淵です。
左下、緑枠は、神域投影の一般地図。
領有権を色分けしました。女神側の領土は緑。薄い桃は女神の民の居住地域。
白抜きは今のところ共有領域です。
右下、赤枠は、異界の地形図。重なって同時に存在する、もうひとつの世界です。
黒で斜線を引いた地域は、現在は裏側にあるため、「画面」で入れ替えることで直接の行き来が可能です」
サクサク
「ほぉん…ワープ地点。森ん中にもあるね。果てにもある。
退魔の魔道具って重量どんなもんだろ。範囲指定できるならまんま入れ替えたら物資運搬の必要もないんちゃう」
アンナがぼそりと呟く。
ダンディふたりが、ちらりとアンナを見た。
サクサクサクサクをBGMに、引き続き軍議は展開した。
リアル戦場を知る4名+有識者2名により議論は進み、ヒュプシュは寝た。
アンナも寝ようとしたが「お前はこっち側だろ」とスペルモルが確保した。
「戦記は好物だし、人狼ゲーム得意だけど、リアル戦術についていけるワケなくない?」
困惑アンナが弱弱しい奇声を発したものの、アウローラが解説すれば、的確な合いの手を挟んでくる。
本人が否定しようが、非戦闘員だろうが、アンナは「こっち側」なのである。
「いいだろう。想定外はオレが片付ける。やれ」
軍師の一声で、今後の動きは決まった。
スペルモルはアウローラと打ち合わせを続ける。
アンナはヒュプシュに飛びつき、精神回復に努める。
レルムは、サクサクの発信源に声をかけた。
「ヴィルヘルミナ嬢。館が手薄になる時間が発生します。安全は確保しますが、念のための連絡手段として…」
クッキーを齧るサクサクサクが止んだ。
無表情のヴィルヘルミナが、クッキーを唇からそっと離す。艶やかな口元がゆっくりと動き出す。
「どーーーーーーーーーーーーーーでもいい。
そういうの、本当いい。死ぬ時は死ぬ。それまでアタシは美味しいものモグッて、アレインたんと遊ぶの。
キャッキャするカワイイやイチャッてるともだちを眺めながら、ずっと同じ日を繰り返すの。
傷病人に祈るのが仕事。
赤ちゃん取り上げるのが仕事。
他はアタシの仕事じゃない。どうなろうが関係ないもん」
時が止まった。
一同が唖然とヴィルヘルミナを見る。
彼女は無表情のまま、欠けたクッキーをまたサクサクサクとやりはじめた。
いつもより早いペースで平らげると、両手で2枚目、3枚目を掴んだ。グモグモ咀嚼しながら、喋りだす。
「物騒イヤ! 転移前の世界で、もう、お腹、いっぱいなの…んぐ、ダイキライなの! あむ。ゲロ話ばっか詰め込まれて、はぐはぐ、…んぐっ。…ぷは、ゲリまみれはゴメンなの!」
動揺したスペルモルが声を荒げた。
「え、ゲ…は?
…おい、おいおいおいアンナ!?
お前…っ、ヴィルヘルミナにまで妙なキャラクターを仕込みやがっ…!?」
アンナは首を振りたくって否定した。
本気で「あたしじゃない」を訴える彼女に、皆が(そういや禊してない)と気付いた時、ふいにレルムの耳がピンと立った。
「…。何が起きている?」
レルムは動いた。
様子のおかしいヴィルヘルミナとカイザルを除き、全員を次々に抱えて、玄関へ移動させた。そのまま流れるように背にかばい、部屋が連なる奥の廊下を見据える。
護衛官の動きに、誰もが緊張し、様子をうかがっていると、数秒後、廊下奥からカコカコ木靴の音が聞こえてきた。
現在、場には9人全員が揃っている。それ以外に女神はいない。
ヒュプシュがびっくり眼で呟いた。
「…んぇ? 足音…誰?」
「すぐわかるだろう。こちらに来るようだからな」
ソファにふんぞり返ったままのカイザルが答えた。
いるはずのない10人目が、近づいてきている。
いっきに緊張が高まる。
そんな緊迫した空気のなか、様子のおかしいヴィルヘルミナが鋭く叫んだ。
「厄介な話イヤ!
凝った設定に興味ない!
悪も敵も存在しない、もっと単純で善良で頭カラッポでほっこりできるキレイで楽しい童話をちょうだい!」
身も蓋もない主張で現実世界のとある文字書きの心を抉ったヴィルヘルミナは、次の瞬間、らしくない機敏な動作でビシッと廊下を指さした。
「どうせ今回もお前のせい! 出てくるな! 部屋に戻れ!」
カコ、と木靴の音が止んだ。
「…ふたり!?」
廊下から現れたのはヴィルヘルミナだった。
息を切らし、真っ青に青ざめた彼女は、もうひとりの自分を呆然と見つめ続けた。
アレイン(精神年齢28)「前提として感情だけなら罪ではない。社会的動物であるからして悪感情は必然である。だが呪物は違う。作成も利用も僕の時代の母国では犯罪行為にあたる。呪いを行使した者も罪人である。いかなる事情があろうと、例え解呪が果たされたとしても、酌量減軽は」「呪いは呪物を呪えない。呪い同士は干渉しない。その条件を逆手にとり、あえて己に軽微な呪いをかけて防御となりうるかを検証した学者がいたが、結果、半径100メートル内にいた人間をまきこみ原形を保っ」「何か」の巣窟と化している異界は、恐らく過去において破滅へ分岐した世界線のひとつである。この仮説についての種本は、並行世界と時空干渉についての」(以下略)
禊…水浴。昼寝がてら、冷水シャワー、水遊びでもオケ。異世界だもの。
祓…上位存在に祈願すること。神域投影内の最上位存在は女神。その女神たちが困っている場合、はたして祈って願う先とは…?
穢れ…気枯れ。または、心が溶け出すことで生じた虚(ウロ。空っぽ)に呪いが生じた状態を指す。
異界では可視化する。満ちると、涙のように噴き出すことがある。そうなると虚無に片脚ツッコんでいる状態。イクナイ。
呪詛…「何か」はこれで攻撃してくる。
神域投影…因果の法則が密かに設定されている異世界。女神の望みをいそいそ叶えがちな魔道具。よくわかんない場合は沈黙。
本体の石板は、ヒュプシュが「なんでも いっぱい はいる まほう の おへや」に隠し持っている。
皆から口酸っぱく「それ君の魂だからね? 丁寧に扱って。失くさないように。欠けないよう気を付けて。汚したらアウローラに洗ってもらって(以下略)」と言われるたび、毎回「わかったー!」と良い笑顔で答えている。
「わかったー!」と言いながら女神から「まほう の おへや」に適当にぶちこまれるため、色んな物の下敷きになっていることが多い。今のところ割れていない。




