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不透明

古代文字の基本的な文法や単語、歴史などを勉強している内に日が昇ってきた。

ダイヤを待っている間だけと思っていたが、戻ってこなかった。

僕の向かいに座っていたリュウセイは、いつの間にか眠ってしまっているようだ。

リュウセイを起こさないように、医務室に向かおうと立ち上がる。

部屋を出てすぐに、ソラさんと会った。



「おはよう、ニーニャ。ダイヤはまだ帰ってきていないんだ。」

「わかりました。」

「…、本当にごめんね。君やテオを傷つけて、ダイヤとの時間も奪ってしまって。」

「…では、ソラさん。代わりと言ってはなんですが、ダイヤのことなにか教えてくれませんか。」

「ダイヤのこと?」

「はい、何でも構いません。彼は、僕には何も教えてくれないんです。」

「ん〜。正直、僕もダイヤのことあんまり知らないんだよね。」



ソラは少し考えた。



「そうだね、僕が分かるのは神に近い魔法使いだってこと。」

「神…。」

「いつか、君には教えてくれるんじゃないかな。

ダイヤは、君が思っている以上に、君のこと大好きだし大切に思っているよ。」




ソラさんの笑った顔が、朝日に照らされて輝いている。



「ありがとうございます。」

「全然。」

「テオの様子を見てきます。」

「うん。いってらっしゃい。」



僕は、ソラさんに頭を下げてから、医務室の方へ向かった。












医務室に着くと、レンシンが起き上がっていた。



「レンシン。」

「…。」



顔全体を包帯で覆われているレンシンは話せないようだ。

センリさんを呼んできたほうがいいかと思い、医務室から出ようとした。

けれどその時、レンシンが僕に向かって手招きをする。

僕はレンシンの方に近づき、近くにあった椅子に腰掛ける。

レンシンは、震える手で僕の手に何かをねじ込ませた。

手を開いて見ると、一枚の紙が手の中にあった。

レンシンは、小さなノートに何か文字を書いている。



『ピンチの時に使って 何かの役に立つはず』

「わかった。ありがとう。」



僕がそう言うと、レンシンはベッドに横になった。

戦いはまだ続くということなのだろうか。


視線を感じて、後ろを向くと、テオが僕の方を見ていた。



「大丈夫?」

「大丈夫や。」



テオは腹に巻かれた包帯をクルクルと取っていく。

銃弾は、テオの体を貫通していたはずだが、彼の腹には傷どころか、傷跡もなかった。

回復力の速さに驚いたが、こういうものなのだろうか。

ダイヤの魔法とか?

それに、昨日カクーダの人が僕よりテオを狙った理由が気になる。



「ダイヤは?」

「ジンを探しに行ったまま、帰ってきてないよ。」

「探しに行こ。」

「危ないよ。城で待っとこう。」

「どれだけ強い魔法使いでも、神には勝てへん。」

「どういうこと。」

「ダイヤじゃあいつには勝てん。

やから、連れ戻す。手遅れになる前に。」



テオは、ベッドから立ち上がった。

そのまま、医務室から出ようとする。

僕は腕を広げて、テオを引き止める。



「待ってよ! どうして何も教えてくれないの。ダイヤもテオも隠し事ばっかりじゃん。」

「…。」

「何してるの?」



僕の後ろにいたのはリュウセイだった。



「誰?」

「リュウセイ、僕らを海から引き上げてくれたんだよ。」

「そうやったんや。ありがとう。おかげで助かったわ。」

「うん。…で、君普通に立ってるけど、大丈夫なの?」

「大丈夫や、気にせんで。」



テオは、僕の腕をくぐって医務室を出た。

それと、ほぼ同時にどこかで爆発したような音が響く。



「なんや!?」

「あっちの島の方だ。」

「立入禁止の島なのに…。」

「ジンがいるのかも。」



テオは、走って城を出ていった。



「テオ!」



その後を追いかけると、ちょうどソラさんも城を出ようとしていたみたいだった。



「ソラさん。」

「何かが動き始めている。君たちはここにいなさい。」

「ダイヤが危ない、放っておかれへんやろ。」



テオが城を飛び出し、それを追うようにソラさんが城から出ていく。

僕も二人の後を追おうと走り出した瞬間、リュウセイに腕を捕まれ、とめられた。



「僕も行く。」

「危ないから、やめとこう。俺の部屋で古代文字の勉強でも…。」

「弟が危ないことをしようとしているんだ。止めなくちゃ。」

「…。兄ってそういうものなのか。」



リュウセイの手が僕の腕を離れると、僕は走り出す。










二人を追って走り、たどり着いたのは立ち入り禁止の島につながる橋。

ソラさんの姿がうっすら見えたが、島の森の中に姿を消してしまったようだ。

僕は、レンシンから貰った紙を握りしめ、島に続く橋を渡り始めた。

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