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古代文学

風呂から、医務室に戻ってきた。

テオはまだ眠ったままだ。

僕はいつもテオに守られてばかりだ。

僕がお兄ちゃんなのに、こんな状態でいいのかと、不安になってしまう。

これ以上、テオに傷ついてほしくはない。

僕自身が強くならなければいけない。


少しすると、医務室にセンリさんとコクエンさんが入ってきた。

センリさんの車椅子を押しながら、コクエンさんがセンリさんに話しかける。



「センリ様、リュウセイ様がお戻りになりましたよ。」

「リュウセイ、戻っていたのか。」

「父さん…。」



センリさんの右足はもうなかった。

この数時間で、一体何が起こったのだろうか。



「足…。」

「あぁ、大丈夫だ。ちょっとこっちにおいで。」



センリさんは、リュウセイをそばに寄せると、耳打ちで何かを話した。

センリさんの話しているのは聞こえたが、僕の知らない言語だった。

リュウセイはコクコクと頷くと、僕の隣に戻ってきた。

僕の頭には?のマークが浮かんだが、リュウセイは何もなかったように立っている。

センリさんは、それを見届けたかのように医務室から出ていってしまった。



「何の話したの?」

「何も、今の兄さんの様態を教えてくれただけだよ。」

「そうなんだ。」



僕は、このとき思った。

今、センリさんが話していた言葉は、きっとダイヤの体に刻まれている文字だ。

僕は思い切って、リュウセイに言ってみた。



「リュウセイ、さっきの言葉何?」

「どういうこと?」

「実は、聞こえてた。でも、僕の知らない言語だったから、聞き取ることはできなかった。」

「そうなんだ。」

「さっきの言葉、教えて。話の内容じゃなくて、言語そのものを知りたい。」



リュウセイは、少し考えるような素振りをみせる。



「この言語は、かなり難しくて…。」

「でも知りたい!」

「ぅ゙ぅ…、わかったよ。ちょっとこっち来て!」



リュウセイに手を引かれ、城の中をずんずん進んで行く。

たどり着いたのは、青い大きな扉。

部屋の中には、大きなプールと洋室の家具。

壁一面の大きな窓からは、月が見えた。




「綺麗。」

「はい、そこ座って。」



リュウセイはポンとクッションを投げ、その前に机をおいた。

僕は、そのクッションの上に座る。

机を挟んで、僕の向かいにリュウセイが座った。

リュウセイは、分厚い本を何冊か持っていた。



「さっきの言語はこれだよ。」

「トヤヘリノ古代文字?」

「そう、今はこんな名前だけど、ホントはトヤヘリノ以外の地域でも昔に使われていたんだ。

今ある言語の殆どは、トヤヘリノ古代文字から派生されてる。」

「そうなんだ。」



僕は、分厚い本のうちの一冊を開けた。

その中には、文字がびっしりと詰まっていた。



「なにこれ…。」

「だから、難しいって言ったじゃん。」

「でも、これがわかれば…、何か分かるかも。」

「なにか、知りたいことがあるの?」

「ダイヤのこと。」

「ダイヤ…。あぁ、さっきのお医者さんか。」

「僕の養父なんだけど、知らないことが多すぎるんだ。

ダイヤ自身に聞くと、いつも悲しそうな顔をされてしまう…。

でも、今日ヒントを見つけたんだ。ダイヤの体には、この文字が刻まれていた。

この文字が分かれば、ダイヤのことが何か分かるかも。」

「体にトヤヘリノ古代文字…。興味深いな。」



リュウセイは、何か心当たりがあるのか、うーんと考えている。

僕は、本をペラペラとめくっていく。

この本は、秘龍の国の歴史について書かれているようだ。



「三人の魔法使い?」

「三人の魔法使いは、有名な話だよ。

ミランダ・ルヴィ、シルファー・ブラック、ルカ・フローティア、の三人の魔法使いが昔いたんだ。

その中でも、シルファー・ブラックは、この国の英雄。

この人がいなかったら、この国はもう無かったと思う。」

「そんなすごい人がいたんだね。この国で、シルファー・ブラックは何をしたの?」

「邪神、ベルリアル・タフィーから、この国を守った。」

「ベルリアル…。」



今日も昔もこの国を襲っている邪神。

この国には、何があるのだろうか。

ジンが言っていた、この城に隠されている”すごいもの”が狙いなのだろうか。

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