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生首の彼女と一緒にお散歩デートしていたら、ある日突然怪異と戦う除霊師になっちゃった話  作者: サイトーアツシ
最終章「けっせんとけっちゃく」

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第二十三首『重ねる身体、重なる心』

ついに最後の戦いが始まった!

果たして勝つのは!?

 人工怪異(かいい):アルティメットはその体躯をくねらせながら、こちらに向かって突進してきた。


 俺は横にヒョイと跳ね、それを(かわ)す。


「つむぎは隠れてろ! ここは俺がやる!」


「わかった!」


 生首のついたバイクはスッと近くの岩陰に隠れた。それを確認した俺は、右手首に付いた数珠を空に掲げる。


除霊(じょれい)開始!」


 その掛け声と共に俺の体は白く輝きだし、ハイパー除霊師(じょれいし)の姿へと変わった。


「ギャウウウウウ!」


 アルティメットが大きく咆哮する。

 おそらくこの俺を威嚇しているのだろう。


「アカツキノカマ!」


 俺はアカツキノカマの鎌を両手で握りしめ、アルティメットの身体に飛びかかった。

 しかし、アルティメットはその長い身体を鞭のように振るい、俺の身体を周囲を飛び回るハエのごとく薙ぎ払った。


 俺はそのまま地面に身体を打ちつけられる。


「いてて……」


 すぐさま立ち上がり、アルティメットを見ると、なにやら大口を開けて何かの準備をしている。


「あれは……?」


 口の中をよく見ると、その喉奥は赫く光り、火の粉が舞っている。


「まずい!」


 その数秒後、アルティメットはこちらに向かってものすごい勢いで火炎を放射した。

 俺は即座に鎌のトリガーを一回を押し、火炎がきた方へ向ける。


「デスサイファイヤー!」


 その叫びと共に、鎌の先端から勢いよく火炎が放射された。

 火炎と火炎はぶつかり合い、俺とアルティメットのちょうど中間で爆発を起こした。


 俺はその爆風で体勢を崩し尻もちを付く。


「ギャァァァァァァゥ゙」


 アルティメットが俺を嘲笑うかのように咆哮をあげる。

 次の瞬間、アルティメットは突然、ツノをピカピカと光らせ、そこから電撃を放射した。

 電撃は俺の身体に直撃し、全身が痺れて立てなくなる。


「ダメだ……このままじゃ……負ける……」


心矢(しんや)ー!」


 遠くから、こちらへ向かってバケロンが飛んできた。


「お前! なんでこっちにきた! 危ないだろ! 逃げろ!」


「ごめんバケ……、でも! 一つだけ、勝つ方法があるバケ!」


「なんだと! なんだそれ!」


 このままでは、俺もつむぎもアイツの餌食だ。勝てる方法があるのなら、どんな方法でも試したい。


「それは……、いや……でも……」


「早く言え! 時間がない! 早くしないと次の攻撃が!」


 見ると、再びアルティメットが大口を開けている。先ほどよりももっと強力な火炎を放射しようとしているのだ。

 あんなのを喰らったらひとたまりもない。


心矢(しんや)とつむぎが! 合体することバケ!」


「……は?」


 意味が分からなかった。この状況で何を言っているんだ。


怪異(かいい)特質霊(とくしつれい)は似て非なるものでありながら、非常に近い存在でもあるバケ! まして心矢(しんや)、アルティメットとは違う。おそらく天然物の伝説怪異(かいい)。その力で特質霊(とくしつれい)を取り込めば、伝説を超えた伝説の存在になれるはずバケ!」


「そんなことして、大丈夫なのか? つむぎの命は?」


「つむぎの命や意識がそれでかき消されることは無いはずバケ……。ただ、一度合体したら最後、もう二度と元には……」


(そんな……)


 困った。このままでは、おそらく確実にアルティメットに負けてしまう。

 しかし、合体したらもう二度と元には戻れない。

 迷っている暇もない。アルティメットはこうしている間にも火炎を放つ準備をしているのだ。


(どうすればいい……どうすれば……)


そのときだった。


(心矢(しんや)……心矢(しんや)……)


(その声は……つむぎ!?)


 驚いた。俺の脳内につむぎの声が響いている。


(今、私は特質霊(とくしつれい)の力を使って、あなたに直接語りかけてる。それより心矢(しんや)。事情は聞こえた。私を取り込んで!)


(そんなのダメだ……そんなことしたら……)


 そんなことしたら、つむぎの自由はもう完全に奪われて、俺の身体の中で生き続けるだけになってしまう。


(私ね……、ずっと夢見てたことがあるんだ……)


(なんだ……?)


(あなたと出逢って、付き合うようになってから、ずっと思ってた。これから先の人生、ずっとあなたのそばに居たい。最後に死ぬそのときまで、あなたとずっと一緒にいたいんだって)


(そ、それって)


 俺の体温が高まり、鼓動が早くなるのを感じる。


(でも、私が死んで生首だけになって、あなたが怪異(かいい)だって判明して、もう無理だって、心の何処かで思ってた。もう結ばれることはできないかもって)


 たしかに、いくらなんでも生首と怪異(かいい)で結婚式を挙げてくれるチャペルも、生首と怪異(かいい)の結婚届け受理してくれる役所があるとも思えない。


(それが、あなたと融合すれば、本当の意味であなたと一つになれると分かった。あなた結ばれることができる。私はそれが何より嬉しいの)


 それを聞いて、俺の心も決まった。迷いは完全に消え去った。


(ああ、俺も、お前と結ばれたい! 一つになりたい!)


(お願い! きて! 心矢(しんや)!)


 俺は全身から真っ白な触手を伸ばし、バイクに付いたつむぎの頭に優しく巻き付けた。

 触手に包まれたつむぎの首が、エネルギー体となってそのまま触手から流れ込んでくる。


 つむぎの温もりが、俺の全身を血液のように駆け巡る。


(ああ、感じる……私は今、心矢(しんや)の中にいるんだ……。あったかくて、気持ちいい)


(ああ、俺も感じる。つむぎという存在が、俺の全身と溶け合って、一つになっていく)


(一緒に戦おう)


(ああっ、一緒に!)


「「我霊転生(がりょうてんせい)!!」」


 重なり合った二つの声が空に響いた。

 そして俺の、いや俺たちの身体は白く伸びて、やがてアルティメットそっくりな龍の形になった。


「白き龍と……黒き龍……」


 バケロンが俺たちを見てポツリと呟く。


 黒い方の龍、すなわちアルティメットが勢いよく火炎放射した。

 しかし、伝説を超えた伝説の怪異(かいい)となった俺たちの身体には少しも通用しない。


(行こう、心矢(しんや))


(ああ、つむぎ。これでとどめだ)


「「レジェンダリードラゴンブレス!!!」」


 俺は先ほどの火炎よりももっと勢いのすごい白い火炎を、アルティメットに対して吐きかけた。

 白い火炎はたちまちアルティメットの身体を包み、全身を焼き尽くす。

 そして、黒い龍はそのまま真っ黒な灰となって、地面に落ちた。


 ――こうして、俺たちの戦いは終わった。

次回最終回!

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