42瓶目 命命の生んだ美女
クレオパトラの魂を奪い去った命命はその魂に呪いをかけた。
「女の輪廻」と「魔性」
咲いては枯れ、咲いては枯れを繰り返す。
そして魔性として生きなければいけない。
綺麗で醜い最高級の呪いをかけた。
クレオパトラから楊貴妃、楊貴妃から小野小町、小野小町から常盤御前、常盤御前から白拍子の亀菊、白拍子の亀菊から地獄太夫、地獄太夫から吉野太夫、吉野太夫から夕霧太夫、夕霧太夫から高尾太夫と転生を繰り返させた。
予想外の転生をさせて楽しんだこともあった。
夜叉姫花魁を作り出し、遊廓から逃がしたこともあった。
そして…史上最悪の女を人間界の未来に産み出した。美しい殺し屋の娘。
その女はなぜか今は魔法界にいる。
そしてまた命命に恋をした。何故か死ぬことはなかった。
命命は魔法界の時空が歪んでいると証明した。
もしかしたら、命命が産み出したこの女は死んでしまったのかもしれない。
そう思うと命命は女を愛せなかった。
せめてもの埋め合わせとして女を産み出した時代から10年前の時代にクレオパトラの恋人の魂を持った男を転生させた。
そして男はどうなるのか見守っているとすぐ魔法界に来た。
どうやら互いにもう一度恋をしたらしい。
静かに命命は立ち去り、二人を繋いだ。
遊びで魂を奪い、呪いをかけ振り回す悪女。
それが命命なのだ。
命命は辛くなかったのだろうか…
自分を愛してしまった人が次々と死んでしまう。
それを何千も見てきたんだろうな…