30瓶目 鬼の子守り 椿
茨木童子と酒呑童子は釣りをしていた。
「ユメマグロのソテーが食いたい…」
酒呑童子は竿を海面から引き上げた。
「うあっ!イワシだっ!」
茨木童子の方へイワシを投げた。
「?!」
イワシが茨木童子の顔に見事にヒットした。
「あ…」
酒呑童子はみるみる青ざめた。
「酒呑童子様…?随分良い覚悟がおありのようですね?」
茨木童子は怒っていた。
「あ、えっと…ごめんなさい…」
酒呑童子は正座していた。
「今日は牛と馬がいいですね…」
茨木童子はそう言った。
「牛…捕まえてきます…」
酒呑童子は牛を狩りに行った。
「子供たちの食べるものもお願いね~!」
完全に酒呑童子を尻に敷いている茨木童子。
「はぁ…流石にこれだけあれば良いだろ?」
酒呑童子は牛を捌いた。
「タンの部分は全部私のね。」
茨木童子は子供たちの食事を用意した。
「えぇ?流石に私にもおくれよ!」
酒呑童子は茨木童子にねだった。
「やらん。イワシの件で酒呑童子が嫁に沈められたなんて誰が聞きたい?」
茨木童子は根に持っていた。
「う…わかった。」
酒呑童子は素直に従った。
「よろしい。」
茨木童子は笑った。
「しかしお前は馬なんて食うのか?」
酒呑童子は疑問に思った。
「馬…わかるでしょ?」
茨木童子はそう言った。
「は?」
酒呑童子は固まった。
「さあ子供たち!ご飯だよ!」
リリアンとマリアを叩き起こした。
「おはよぉございます…」
リリアンは起きてすぐ顔を洗いに行った。
「この子はずっとこうなのかい?」
マリアはぐっすり眠っていた。
「あ、マリアは疲れてるのでそのままでお願いします。」
リリアンはマリアを寝かせて置くように頼んだ。
「…わかった。」
茨木童子はマリアの腹部に刻まれた奴隷の印を隠すように布団をかけた。
「朝ごはん何食うんだか知らなかったから適当だけど食べれる奴だけお食べ。」
酒呑童子は酒を飲んでいた。
「何してんのさ!ご飯だよ!」
茨木童子は酒呑童子から酒を取り上げた。
「わーってるって!朝から酒を…」
酒呑童子は茨木童子に叱られた。
「ごはん…」
マリアが起きてきた。
「あらおはよう。ご飯だよ。」
茨木童子はマリアを撫でた。
茨木童子はご飯を沢山リリアンとマリアにたべさせた。
「まだ沢山あるからね!たーんとお食べ!」
茨木童子はそう言った。
「おかわり!」
「おかわり!」
「おかわりくれ!」
まるで本当の家族のように食事を楽しんだ。
「酒呑童子様?まさかそのまま酒を飲む訳じゃないでしょうね?洗い物に夕食の準備、薪割りいろいろ忙しいんですよ?」
茨木童子は酒呑童子を睨み付けた。
「わーってる!」
酒呑童子は渋々洗い物をした。
「このまま…ウチの子になる?」
茨木童子はマリアに問いかけた。
「それでもいいよ。私は親がいないから。」
マリアはそう言った。
「命命が帰ってきたら聞いてみようね。」
2人は笑った。