16瓶目 命命と骨龍
命命が天使に拐われたみたい。
しかもドラゴンのお嫁さんにされちゃうんだとか。
怖いわねぇ…
「さてと、お昼にしようか。」
命命が立ち上がると空から白い羽の生えた何かが急降下し、命命を抱き上げて連れ去ってしまった。
「命命!!」
ケインが慌てて羽を広げて空に飛び上がるとそこに命命の姿はもうなかった。
「どういうことだ…天使?が命命を拐うなんて…」
命命は空に浮かぶ島、ドラゴンの島にいた。
「どういうつもりだ…」
命命は誘拐犯に問い詰めていた。
「ご、ごめんね…僕はアベル。アダムとイヴの息子だよ…僕のあ兄のケインと一緒に居たから…それに、僕のお手紙読んでくれたでしょ?」
ケインの弟のアベル。彼はケインに殺された人間で天使のはずだ。
「好きだと抜かしていた気色悪い手紙か?あれ燃やしたぞ。」
命命は冷たく言った。
「そっか…僕、君と仲良くしたいな…って思ってお手紙書いたの…」
スラッとした高身長には似合わない子供のような口調でそう言った。
「仲良くしたいなら誘拐してもいいのか?」
命命は問いかけた。
「ううん、ダメ。ごめんなさい…反省してます…」
アベルはしょんぼりした。
「帰りたい…杖がない…」
命命は帰る手段がなかった。
「僕…命命にあげたいものがあるんだよ…」
アベルは服の袖から金色の林檎を取り出した。
「それは…禁断の果実…?!」
命命は目を輝かせた。
「これあげるから...ちょっとこっちきて…?」
アベルは手招きし、命命はアベルに着いていってしまった。
「この汚い金の矢!間違いない!アベルだ!」
ケインは怒り、ドラゴンの島に急ごうとした。
「僕も行きます!」
リリアンは命命の杖を片手にそう言った。
「仕方ない…命命嬢の命に関わる気がするので吾輩もあと…この魚も。」
スカルJr.はカインに有無を言わさず空間魔法で格納した。
そしてドラゴンの島へ
「ああ、嬉しい…ついにこの美しいアタシもお婿さんになれるのネェ…」
骨龍のオスらしきものが待ち構えていた。
「良かったね!」
アベルは命命を骨龍の花嫁にしようとしていた。
「待て待て!私は嫁になる気はない!」
命命は抵抗した。
「命命お願い、彼の夢を叶えてあげて欲しい。」
アベルは説明し始めた。
この骨龍はこの島で一番美しいドラゴンだったが、パートナーにしたいメスの理想が高すぎて結婚できないまま死んでしまったらしい。そしてそのメスの条件にぴったり当てはまってるのが命命なのだ。
「ふざけんな!茶番に私を使うな!」
命命は激怒した。
「なんとかこの通りだよ!禁断の果実の種も骨龍のクリスタルもあげるから!」
アベルは命命のご機嫌を取り始めた。
「茶番が終わったら家に帰せよ?」
命命はしぶしぶ承諾した。
「可愛いわァ…お名前は?アタシはエキドナよ。」
無駄に紳士的なエキドナ。
「命命。」
冷たく答えた。
「あらぁ…変わったお名前ネェ…でも可愛いわァ♡」
命命にメロメロのようだ。