15瓶目 静かな日常
ケインと薬草畑の手入れをしている命命。
「ケイン、これで良い?」
女郎蜘蛛の目を植える場所を造っていた。
「ダメだ。これじゃ雑草に栄養を取られる。」
ケインはチマチマと雑草の根を取り除いた。
「えー…もう畑燃やそうよ…」
命命は面倒くさがっている。
「ダメだダメだ。お前は他の薬草を焼くだろう!」
命命は昨日焼き畑と言って火をつけ、別の畑に生えていた薬草もろとも焼いてしまった。
「えー…ケイン細かいんだもん…」
その時空から何かが飛んできた。
ドスッ!!
命命の顔スレスレで矢が飛んできて、矢が地面に突き刺さっていた。
「…こ、殺されるっっ!!」
何故か叫んだのはケインだった。
「それ私の台詞…」
そう言いながら矢を拾った。
「金の矢…天使か?」
命命はくくりつけられていた手紙を開いた。
『命命…好きだ。迎えに行く A 』
と汚い字で書かれていた。
「命命!そんな得体の知れん男お兄ちゃんは許さないぞ!!」
ケインは怒っていた。
「るっさいな…会わないよ。こんなの。」
恋文を燃やした。その破片を畑に落とし、雑草の根を焼いた。
「おお、燃えた。」
ケインは驚いていた。
「まあね。紙使えば加減くらいできる。」
命命は得意気に言った。
(命命、お兄さんと仲良くできて良かったね。)
リリアンは雑草取りと薬草の間引きをしながら見守っていた。
「僕は納得行かない。なんであんな奴…」
カインは相変わらずだった。
「まあまあ…カインさんだって素敵な池を造っていただいたでしょう?」
スカルJr.はカインをなだめていた。
「元々の池と繋がってるけどね。君だって…それは命命の服だろう?」
スカルJr.の着ている服は命命がリリンの為に買ったものだった。
「命命嬢がとても大切にしていた服で…これを吾輩にくださいました。なんと慈悲深い女性なのでしょうか…」
カインは少々引いていた。
「彼女は譲らない。僕が先に見つけたんだ。」
スカルJr.を睨み付けながらカインはそう言った。
「良いですよ。吾輩が勝つので。本日からライバルですね。カインさん。」
にこやかにライバル宣言をした。
「アイツら何やってんだ?」
ケインと命命は不思議そうにしていた。
こんな静かな時間が永遠に続けば良いのに。
それが私の密かな願いだ。