13瓶目 悪魔の国の領主
ケインとカインはバチバチだ。
「とにかく、リリアンのところに連れていけ。」
命命はケインにそう言った。
「いいよ。連れてってあげる。そしたら俺とデートしてくれる?」
命命はケインに雷を落とした。
「魔女って冗談通じないわけ?」
ケインはつまらなそうに言った。
「お前の冗談だけ通じない。」
カインはそう言った。
喧嘩になりそうなので空間魔法でカインを格納し、杖にまたがった。
「あの人魚連れてくのかよ!」
ケインは不機嫌になった。
「役に立つと思ってね。」
二人は空高く飛び上がった!
命命の住むオンボロ屋敷は魔法界と人間界の境界線にあって、悪魔の国はそのまま真っ直ぐ北に進めば早くて3日、移動魔法を使えば1日で着く距離だ。
「ほら、ワープホールだ。飛び込め。」
ケインが作り出したワープホールは一瞬で悪魔の国に到着させることが出来るようだ。
「お前の魔力凄いな。」
ケインはワープホールの先で手を差し出し、微笑んだ。
「君の魔力はまだ未熟だからね。」
ケインの言動はまるで兄のようだ。まあ、私には兄はいないけれどね。
「私は未熟なのか…」
悪魔の国は私の母親リリスが悪魔に手を貸して作り上げた国。犯罪を冒した人間を罰するための地獄と繋がっているんだとか…。
「ようこそ素敵なレディ。我らが悪魔の国へ。」
赤と黒で統一されていて、鋭く尖った建物。
周りから聞こえる断末魔。
「ずいぶん…賑やかな場所だね。」
独特な雰囲気に私は見合った言葉を出すことはできなかった。
「悪魔の国のリーダーに会わなくちゃだね。こっちおいで。」
ケインに手を引かれて、命命は悪魔の国のリーダーに会うことになった。
「この国のリーダーはね、物知りなんだ。そしたら君の父親のこと聞いてみよう。」
私はケインの母イヴが気になる。
黒くて大きな城についた。そこには黒髪で赤い瞳、高身長でなかなか整った顔立ちのタキシードを着た悪魔がいた。
「ルシファー様!こちらが噂の魔女の命命です。」
ルシファーは大昔、『明けの明星』、『光を掲げる者』などの称号を持ち、数々の天使の中でも唯一神の玉座の右側に侍ることが許された者だ。
大天使長熾天使ルシフェル、12枚の輝く翼、6本の腕、何より他の天使を寄せ付けないその強大な霊力がその証明になる。後に4大セラフとなるミカエル、ウリエル、ガブリエル、ラファエル等の師でもあったそうだ。
「始めまして命命です。」
命命は深く頭を下げた。何故なら彼が命命の尊敬する人物だからだ。
「命命、命命か…。よろしく、私はルシファー。今は悪魔の国の領主をしている。」
ルシファーは何か言いたげな顔をした。
「うちので…」
言いかけた所でケインに邪魔された。
「命命の父親のこと!何か知ってませんか?教えてください!」
ルシファーはにこやかにケインを見た。
「今、命命が何か言いかけただろう?遮るな。」
どこか恐ろしく感じた。
「それで命命。なんと言おうとしたんだい?」
正直に要求を言わなければ殺される…
「私の弟子がここの悪魔に連れていかれたみたいで…何か知ってませんか?」
ルシファーは答えた。
「あぁ、あの人の子のことか。男だか女だかわからん奴…どこにいったかな…うーん。ベルゼブブ、レヴィアタンかベルフェゴール、アスモデウスもしくはサタンが連れてったな。」
ベルゼブブとレヴィアタンなら友人だから簡単に…
ベルフェゴールは薬と引き換えにすれば…
アスモデウスは面倒臭いから関わりたくない…
サタンに至ってはもうごめんだ。
「あの子はまだ何も知らないから…私が助けないといけないので…」
命命がそう言うとルシファーは手を差し出した
「私と取引しないか?私の養子になれば君の弟子を見つけてこよう。どうかな?」
養子になるか自力で見つけるか…
「私の弟子は私が助けます、取引はしません!」
命命は断った。
「ははは、断れば後悔することになるぞ命命…」