12瓶目 最初の人類の子供
ねえご存じ?
一番最初の人間の子供ケインのその後。
悪魔になって命命の前に現れたらしいわよ。
あの子、命命に何するつもりかしらね。
蜘蛛の都から帰った命命と弟子のリリアン。
オンボロ屋敷に帰る途中のようです。
(どいつもこいつも馬鹿ばっかり!)
なにやら命命は怒っているようす。
乱暴に闇と月の雫の杖を着陸させ、弟子であるリリアンは尻餅をつきました。
「いてっ!」
命命はリリアンを閉め出しました。
「ちょっ!師匠?!このままだと僕食われちゃいますよ!!」
ドンドンと扉を叩きますが命命には聞こえません。
(私には人を愛する力は残ってない…)
冷たく突き放したレヴィが心残りでした。
「え!ちょっ開けて!ぎゃぁぁぁっ!」
リリアンは何者かに連れ去られてしまいました。
「リリアン?しまった!外か!」
慌てて扉を開け外を見渡しましたがリリアンの姿はどこにもありません。
「妖魔か悪魔だな…私のせいだ…」
リリアンを拐った生き物の種族、拐われたのは自身のせいであることを瞬時に理解した。
「それはどうなんだろうな?」
命命の目の前に角の生えた男がいた。
悪魔だ…
「リリアンをどこにやった!お前の大事な×××引っこ抜いて薬の材料にしてやろうか!!」
命命なりの脅し文句だ。
「抜かれても生えてくる。」
悪魔には効かない。
「クソ!だから悪魔も嫌いなんだよ!」
悪魔は口を開いて
「君の父親…教えてやろうか?」
命命は驚いた。
「父親を探してるんだろう?自分がなんの混血なのか…知りたいんだろう?」
何故こいつは私の望みを知ってる?
「俺はケイン。アダムとイヴの息子さ。」
一番最初の人間の子供か。
しかもケインって…サラマーマンのカインと紛らわしいな。
「私人間は嫌いなんだ。だけど悪魔も嫌いだ!」
命命の発言にケインは笑った。
「大罪を冒した人間は死ねば悪魔になる。徳を積んだ人間は死ねば天使になる。魔女は死んだら何になるんだろうな…」
命命はこう返した。
「魔女は死ねば呪いとなり多くの生き物に災いを振り掛けるだろうな。」
ケインは驚いたような顔をした。
「俺と君…意外と相性が良いかもしれないね。」
命命の頬に触れようとした。
「気安く触れるな。」
ケインの手を叩いた。
「この俺の手を振り払ったのは君くらいだよ。」
美しく見えてしまうのも無理はない。
悪魔の国には女が少ない。多少醜くてもカンビオンを妻にするくらいだからな。
「特にこのターコイズとシルバーの髪!アメジストのような紫の瞳!まるで…」
ケインは突然言葉を失った。
「まるでなんだ?」
命命は問いかけた。
「まるで…俺の母上のようだ。」
ケインの母親イヴは銀髪ではなく、褐色肌でチョコレートのような瞳、金髪だと私の母親リリスから聞いている。なんで…銀髪で紫の瞳なんだ?
「お前の母親は銀髪ではなく金髪のはずだ。それに紫の瞳ではなくチョコレート色の瞳だろう?」
命命は突っ込んだ。
「いや…間違いなく銀髪だった。俺の母上の髪は。」
そういえば…ケインは誰かに似ているな。
誰だっただろう…
「僕の命命に何してる!!」
空を見上げるとカインが降ってきた。
こんな珍しいこともあるんだな。
カインはケインの上に落ちた。
「ぐはっ!」
ケインは倒れた。
カインは人魚語で
「悪魔め女の子を誑かすな!このっ!このやろっ!このっ!このっ!」
と言い、べちべちとケインを叩いている。
「カイン、やめとけ。酸欠で死ぬぞ。」
大きな水泡を作ってカインを中に入れた。
「命命大丈夫?酷いことされなかった?ところでこいつ誰?どこの悪魔?」
カインは命命の心配ばかり。
「ケイン。どこの悪魔だかはしらん。」
カインは水を気絶しているケインの顔面に浴びせた
「ぎゃぁぁっ!なんだこの人魚!!」
飛び起きたケインがカインに掴みかかった。
「カイン・サラマーマン。命命の付き人だ!」
私の周りには馬鹿な男しかいないのか?
勘弁して欲しい。