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孤独な魔女と混血の秘薬  作者: 諸伏優
蜘蛛の都
11/50

11瓶目 治癒と慈悲

「お前が持ち込んだ薬のせいで!ドラゴンもここの人たちも皆困ってんだ!」

マモンを思い切り殴り飛ばした。

「お前が悪いんだ!俺のモノになっていれば!」

命命に殴りかかろうとしたとき

「う゛ーー!!バウバウッ!!」

地獄狼のスカルJr.がマモンに飛びかかっていった。

小さな仔犬は白銀の大きな狼へと成長していた。

「ぎゃぁぁっ!なんだこのクソ犬!」

その時、スカルJr.は光に包まれた。


足の先が黒く色づき、骨を身に纏い、青く鋭い目つき、逞しくて頼りがいのある姿に進化した。


「本当に地獄狼…か?」

進化する地獄狼なんて聞いたことが無い。

「地獄狼じゃねぇぞ!こいつ!」

マモンの腕を噛み千切ろうとしているスカルJr.。

命命は取引を持ちかけた。

「蜘蛛の都から出ていけ。もう二度と私の真似をするな。そうすれば助けてやる。私がいいと言うまで離すなよジュニア!」

スカルJr.は噛みついたまま構えている。

「わかった!わかった出ていく!」

命命はスカルJr.に合図し、マモンの腕を離させた。

「とっとと出てけ!!」

命命と地獄狼を恐れ、マモンは逃げ出した。

命命はスカルJr.に駆け寄り抱きしめた。

「やるじゃねぇか仔犬!」

スカルJr.を褒めると不気味に辺りに青白い炎が現れ始めた。

「バウッ!」

尻尾をパタパタと振るのは仔犬の時と変わらない。

「GoodBoy!」


みあもーるに戻るとエルフ達が頼んでいた魔法薬や道具を持って来て、隔離されている人達の手当てをしていた。

「魔女様!」

エルフの娘が駆け寄ってきた。

「どうした?」

娘は不安そうに

「ドラゴン用の薬剤を用意するための薬草が足りません…」

忘れてた…レヴィはドラゴンの血を引いている。

魔法薬も濃いものを用意しないと気休めにもならない。

「命命!」

リリアンが戻ってきた。こいつの事忘れてた。

その手には女郎蜘蛛の目ことリュウノタマカザリが握られていた。

赤い果実だけでなく桃色や青、七色の果実をつけていた。

「よくやった!リリアン!私の弟子だ!」

褒めてやるとリリアンはすごく喜んでいた。

「やったぁぁ!」


赤い果実を潰し、その汁を天使の羽ともともとあった魔法薬を混ぜ、煮詰めて塊にし、レヴィに飲ませた。

翌朝、レヴィは命命を部屋に呼んだ。

「命命、僕の父と君は恋仲だったんだよな?それなのに僕の父と母は…」

申し訳なさそうに話すレヴィに

「いいんだ。私が悪かったんだ。」

優しく慰める命命。

「命命、母と呼んでも構わないか?」

命命は固まった。

すると

「私はお前を育ててもいないんだレヴィ、お前に母と呼ばれる資格はないんだよ。ごめん、レヴィ。」

命命は去った。


「だから言っただろうが、あの女はそれを言ったら傷つくのはお前だってさ。」

煙管を吸いながらそういうヨゾラ。

「ヨゾラ、病人に障るといけないから煙管を吸うんじゃない。」

夫の土蜘蛛がヨゾラを止める。

「うるさいねぇ昔は吸ってただろうがジャック!」

こつんと夫の土蜘蛛の頭を叩いた。

(いて)っ!あ、名前久しぶりに呼んでくれたね。愛してるよヨゾラ。」

優しく愛を囁く夫の土蜘蛛。

「私ら、元は人間だったんだ。あの女はそんな私らの為に町を1つくれたんだ。」

レヴィに説明する。

「ヨゾラ姐さんは命命とどんな関係だ?」

ヨゾラは悲しげに答えた。

「恋人未満…って所かな。あの女には誰も触れることはできないからさ。」

その目には杖にまたがり、弟子と共に空を飛ぶ魔女の命命の姿が映っていた。


命命、あんたもイイ男と一緒になんな。

そして幸せになってね。

ヨゾラとジャックのように元は人間の奴も魔法界には稀に存在します。

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