召還されまくる少年
僕は佐藤健、少しオタクで小太りの虐められっ子で16歳の高校2年生だ。
そして現在の僕はハッキリと言うと召喚のプロだ。
最初の召喚は1ヶ月前の1学期最後の登校を終え自宅に帰る途中だった。
足元に突然魔法陣が現れ僕は異世界に召喚された。
その時は質素な装いの威厳の有る初老の男性と同じく質素な装いの若い女性が僕を召喚したらしいが僕は混乱の真っ最中だった。
すると若い女性が話し掛けてくる。
「すみませんが落ち着いて私達の話を聞いて下さい」
「え、ああ、ええと、うん、落ち着きましょう」
「それでは私達はこの国の王と王女ですが貴方を召喚したのはこの世界を魔族の物にしようとしている魔王を倒して貰いたいからです」
「僕が魔王を倒すですか」
「ええ、この召喚には勇者の素質がある者を召喚する物です」
「それは人違いだと思いますが」
「いえ、今の能力では無く素質を持つ者を召喚しますから
「取り敢えずは拒否権が無いのは。分かりましたが、終わった後は僕は元の世界に戻れますか」
「それは終わってみないと分かりません」
「何を言っても無駄なようなので分かりました」
「それでは質素ですが今渡せる最大限の物を渡します」
そう言うと鋼の剣と革鎧、そして銀貨1000枚を手渡してくる。
それを受け取り僕は魔王退治の旅に出た。
最初は弱いモンスター退治にも苦労したがレベルを上げて行くと本当に勇者らしく能力は上がり多彩な魔法を覚えていく。
そうなると何時ものゲームの様にレベル上げとアイテム集めに走ってしまった。
そして召喚されてから半年でレベルは1000を越え装備も整った。
旅の間には集めた装備やアイテムを寄越せと襲い掛かってくる貴族が何人も居たが最初は兵士を無効化して諦めるかと思ったが諦めないので最後は全ての貴族を返り討ちにした。
遂に魔王城に攻め込むとまずは魔王四天王を倒し番犬替わりの暗黒竜の群れを倒して魔王との戦いになる。
レベルを上げすぎているので苦労せず魔王を倒すと魔神が現れた。
流石に苦労したが何とか倒すと魔王城をくまなく調べても帰還の手懸りは無かった。
諦めて半年程賢者から魔法を習い、錬金術を覚えていると、突然目の前に絶世の美女が現れた。
「貴方が佐藤健君ですね」
「はい、そうですが貴方は誰ですか」
「私は日本の神である天照大神ですが、貴方を日本に戻すため探していました」
「え、日本に帰れるんですか」
「はい、召喚ルートが複雑過ぎて1年掛かりましたが日本に帰します」
「1年で背も5cm程伸びてますが大丈夫ですかね」
「貴方は忘れている様ですが貴方は両親が海外に転勤しているので一人暮らしでそれに夏休みが有るのでどうにか成ります」
「ああ、そう言えばそうでした」
「貴方にはこれから苦労を掛けますからレベルはそのままで、位置探査の為私の加護を与えます」
「苦労って何ですか」
天照大神は返事もせず僕を元の世界に戻した。
其処は記憶の彼方に在る召喚された場所であり何故か服装は現在の体格に有った制服だった。
自宅に帰り日付けを確認すると確かに召喚された日であり明日から夏休みだ。
体を確認すると召喚中に鍛えた体であり、ステータスは魔王と魔神を倒した為かなり上がって居た。
近所の廃工場で魔法を試してみると初級魔法は問題なく発動出来たし肉体も異世界と違いは無かった。
安心して宿題をしていると足元にまた魔法陣が現れ僕はまた召喚された。
今度の召喚者は全員煌びやかな衣装を纏い中年は全てだらしなく太っていた。
その中の一番太った人が話し掛けてくる。
「異世界の勇者よ、我が国は今魔族から戦争を仕掛けられている。人類の為手伝ってほしい」
如何にも怪しいので僕は無詠唱で本当の事しか話せなくなる魔法を使い、もう一度聞いてみる。
「よく聞こえ無かったのでもう一度お願いします」
「豊かな魔族の国を攻めて我が国の物にしたいので不意打ちで攻めるのを手伝え」
言うつもりの無い本当の事を言ってしまい驚いている。
やはり思った通り人間が悪いようなので罪悪感無く進められる。
僕は魔剣を取り出すと召喚の間にいる人達を確認する。
すると一番偉そうなのが、回りの兵士と魔法使いに命令する。
「今回の召喚は失敗だ、抵抗するなら殺してしまえ」
僕は今回はダメな召喚だと思い魔法を放つ。
「サンダーレイ・ガトリングシフト」
そして魔法により全ての人を殺すとまず魔法陣を破壊する。
そして階段を上がり高級な服を着ている者と向かってくる者を殺していく。
そして城から出ると見た事のある美女が待っていた。
「ご苦労様です」
「天照大神様、苦労ってまた召喚されるって事ですか」
「はい、力の無い人だと逆らうのも無理なので力のある貴方が召喚される様に手を打ちました」
「まあ今回の様に悪質なら滅ぼせばいいんですね」
「はい、私の見守る人の為貴方が思う様にして下さい」
そう言われて元の世界に戻して貰った。
それから毎日の様に召喚されるが、全て侵略戦争の為の召喚なので召喚した者や関係者は確実に殺して魔法陣も破壊しておいた。
そうしてもうすぐ夏休みが終わる頃には召喚は去れなくなったので制服や私服に下着など今の鍛えられた体に合った物に買い換えた。
残った日を穏やかに過ごしていると明日から二学期なので虐めて来る者に仕返しをしようと作戦を考えている。
そして夏休みが終了したので新しい制服に着替えて学校に登校する。
制服は薄着な為、痩せて整っている顔に鍛えられた体を見て通りすがりの女子生徒が僕に見とれているが気にせず教室に向かう。
そして自分の席に座って教師が来るのを待っているとこの学校の番長の弟の佐々木修二が絡んで来る。
「そこは佐藤健の席だろうが、お前はだれなんだよ」
「僕は佐藤健に決まってるだろう、そんな事も分からないのか低能が」
すると修二は殴り掛かってくるが腰の入ってないパンチは全て交わしていく。
するとようやく腰の入ったパンチが来たので額に3倍返しのバリアを張って額で受ける。
すると指の骨が折れた上に一部は解放骨折してのたうち回る。
すると教師がやって来たが修二の怪我を見て授業を自習にして修二を病院へ運んで行った。
すると金の力で威張っている清が番長に報告に向かったのを確認したがその場は無視しておいた。
すると昼休みに番長とその手下と清が修二の件で喧嘩を売ってきたので全員に以前の世界では簡単には解除出来るので冗談にしか成らなかった不能になる呪いをかけた上でピンポイントで本気の殺意を浴びせた。
すると全員恐怖で漏らした上で失神した。
その為午後から授業を受けたら放課後に帰宅しようと正門に向かうと番長やイジメッコは他校の不良迄集めて多数で待ち構えていた。
僕は手間が省けると大人しく着いていったが通行人やお店の従業員は見て見ぬ振りだった。
町の郊外に有る廃倉庫に連れ込むと不良たちは唯一の出入り口に鍵を掛ける。
そして倉庫の中央に集まる。
「てめえだけは許せないので嬲り殺しの上で山に埋めてやる」
僕は無詠唱で全員を身動き出来なくする。
「身体が動かねえ、てめえ何しやがった」
僕は穏やかに答える
「意識を保ったまま焼け死ぬのはどんな気分かな」
そう言うと倉庫に山積みされた可燃物に魔法で火を放つ。
魔法で火は辺り一面に一気に燃え広がる。
「生きたまま焼け死ぬのを楽しんでね」
そう言うと泣き叫ぶ不良達を無視して自宅に転移した。
翌日に成ると朝のニュースでも話題に成っていた。
学校に登校すると火事の件で騒がしかったが担任に職員室に呼び出された。
「昨日不良達に連れていかれたそうだが何か知っているか」
「隙を見て逃げ出したので知りません」
そう言うと教室へ戻った。
数日後、学校にやって来た警察にも質問されたが隙を見て逃げ出したと話した。
その後は平和に学校生活を送った。