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銃器使いの追放者  作者: 天樹一翔
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エリーの初陣Ⅳ

「うらぁ!」


 マンバの凄まじい豪剣にリストキー副所長は銃で攻撃を受け止めるばかりでいた。よ――よくあんなスピードの剣術を受け止める事ができるね。


「オラオラどうした! その程度か!?」


「うるせえ奴だな。どうなっているんだよその声量!」


 するとリストキー副所長は、剣を受け止めた瞬間に左拳でマンバの鳩尾に一撃を入れた。


「剣はウォーミングアップなんだろ!? 刀を抜けよ!」


 リストキー副所長はそう言って怯んでいるマンバの左頭に蹴りを入れて吹き飛ばした。その威力は笑える程の威力で、大聖堂の壁を破壊してそのままマンバは空中へ投げ出された。


「ど――どうなっているの。強すぎるでしょ。リストキー副所長やりましたね!」


「あんなモンで気絶するようなタマじゃねえよ。俺は追いかける!」


 リストキー副所長はそう言って自分で開けた大聖堂の壁を入り、マンバを追って外へと出た。


「ほう。やるじゃねえか。銃だけではないようだな」


 マンバはそう言って口元から流れていた血を左手で拭った。


「俺を誰だと思っているんだ」


「それは俺も同じことが言える。仕方ねえ。どうも剣だと勝てそうにないのは分かった。貴様を倒すのはやはりコイツ等じゃないとな」


 マンバはそう言って脇差を全て抜い――。


「ええええ!? 全部使うの!? どうやって持っているのアレ!?」


「流石に俺も吃驚だ。お前どんな握力しているんだよ」


「俺は親指が妙に長いからな。少し工夫すれば持てるんだ!」


「いや持てえねよ!」


 リストキー副所長はそう言って的確なツッコミを入れていた。私も「持てないよ!」とツッコミを入れたくらいだ。全ての指の間で脇差を一本ずつ掴んでいる。


「これが俺の八刀流だ」


「それ重くねえの?」


「――まあ慣れだな」


 何あの二人。凄い悠長に喋っているじゃん。市民達は大パニックなのに。


「 行くぞ! ガレス・リストキー!」


 一見、動き辛そうな八刀流もマンバにかかれば造作も無い事だった。八刀流とは言いつつも、一本の刀を扱っているかのように自在に操っている。リストキー副所長はマンバの猛攻に攻撃手段を見出せずにいた。


 けれどもリストキー副所長が凄いのが、あんなに手数が多いマンバの攻撃を全て紙一重で躱しているところだった。これはもう二人とも化物同然だわ。


「至近距離での戦いじゃ貴様には分が悪いだろ!?」


 マンバはそう言って得意気な笑みを浮かべていた。そして、心なしか剣速が徐々に上がっていた。しばらくすると、リストキー副所長の左頬やら右頬に切り傷を負う事になっていた。弾丸も通さなかったリストキー副所長が、マンバの攻撃を受けて怪我をしているのだ。それほどマンバも手練れという訳だ。


「頑張って下さいリストキー副所長!」


 私がそう声をかけると、私の顔を見るなりニッと笑みを浮かべた。


 そして次の瞬間にはマンバが大勢を崩して転がりかけていた。


「しまっ――」


 体勢を崩したマンバに、リストキー副所長は自身の愛銃で容赦無くマンバの背中に弾丸を撃ち込んだ。あまりにも動きが速過ぎて、マンバが何故体勢を崩したのか分からなかった。


「銃くらいで倒れるかよ!」


 マンバはそう言って踏みとどまり、リストキー副所長に牙を向いた。マンバの八刀流の突き攻撃は凄まじい威力で、銃でガードをしたにも関わらず、リストキー副所長は吹き飛ばされてしまい、ユーロ大聖堂の周辺にある青果屋さんのお店にそのまま突っ込んでしまった。


「馬鹿力め」


 「いちちち」と頭を押さえながら、お店から出てきたリストキー副所長。凄い勢いで壁に激突したのに、へっちゃらな顔をしている。


「流石だな。今の攻撃は不意を突いたと思ったのだが」


「軸足を見れば踏みとどまることは予測できたさ。ただ、流石に八刀流の突き攻撃がくると思っていなかったから、銃に配分する武氣(ぶき)の量はミスっていたけど」


「予想外だった訳だな――」


 マンバはそう言って笑みをこぼしたかと思えば、一気に不機嫌な表情になった。


「なんだ? 今いいところなのに」


 急に一人で話をしたかと思えば、スマートデバイスでどうやら通話をしているみたいだ。まあ、耳に無線イヤホンか何かを付けて話をしているみたいだけど。


「引き上げろ!? 今いいところなんだぞ」


「誰と戦っているって最近話題のガレス・リストキーだ」


 マンバはそう言った後、通話相手の話を聞いてからリストキー副所長を見ながら驚いていた。まるで亡霊か何かを見たような表情だった。そしてその後マンバは高笑いをしていた。


「そうか。そうだったのか。通りで強い訳だ。戦闘中でも武氣(ぶき)を全く感じなのも合点がいく」


「どうかしたか?」


 リストキー副所長がそう問いかけるとマンバは嬉々とした表情を浮かべていた。


「嬉しいのさ。アンタに出会えた事が」


 そう言ってマンバはリストキー副所長に耳打ちをするなり、リストキー副所長は「お前の通信相手は誰だ!?」と剣幕な表情を見せて問いかけていた。


「それはノーコメントだ。いずれまた会う事になるだろう。今度は全力で愉しい戦いにしよう」


「待て! 逃がすか!」


 私はセレネを構えてマンバに一発入れようと思った時だった。マンバは何かを取り出して地面に強く叩きつけた。その瞬間、激しい閃光がユーロ大聖堂の周囲を包み込んだ。眩しくて目なんて開けることができない。


 十秒程で視力は回復した。そしてマンバは消えていた――。


 これが私の初任務だった。

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