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銃器使いの追放者  作者: 天樹一翔
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エリーの初陣Ⅲ

 私は執行官(デリーター)では無い。それを前提に考えると、致命傷になるところを避けなければいけないので、腕や足といった部位を狙う必要がある。まずは、私が視認できる一番奥の敵を狙う。このストレートの場所で一番奥にいるのは40m程先。敵には気付かれていないのでゆっくと照準を――。


「動きすぎよ」


 それもそうだ。敵はリストキー副所長を狙う為、手すりを駆使しながら頭を出しては屈む。頭を出しては屈むを繰り返している。


「仕方ない」


 私は一番近い敵の左足を撃った。異変に気付いた敵勢力は全員私の方へ向かって銃を撃ってきた。全員ハンドガンでまだ助かったわ。リストキー副所長のところなんて、サブマシンガンやらアサルトライフルを持っている敵がいるもん。


 私はセレネの銃撃で牽制しながら敵を近づけさせないでいた。ただ、牽制はできるけど射撃訓練場のように思ったところに当たらない。ゆっくり狙おうものなら、弾丸の餌食になってしまう――。どうしたものか――。


 そう考えていると、私の前にいる敵が次々と倒れていった。


「エリー! ナイス囮だ!」


 そう言って身を乗り出してサムズアップをしているリストキー副所長。目の前にいる敵を倒してくれたのはありがたいけど――。


 向かい側の奥にいる人間が一人、リストキー副所長を狙っている!


「リストキー副所長! 危ないです!」


 すると、リストキー副所長は「ん?」と言って私が指した方向を見た瞬間だった。ダン! という音と共に、リストキー副所長の頭が後ろへグイっと持っていかれた。


「リストキー副所長!」


 私は自分でも驚くくらいの声量でそう叫んだ。確かに頭に当たった――。


 そう思っていると、リストキー副所長がその敵に対して撃ち返していた。その異常な光景に敵の人間はさらに奥の方へと逃げていく。


「化け物だ!」


「確かに頭に当たっていたぞ!」


「ああ。悪い。お前ら程度の武氣(ぶき)じゃ、俺の頭を弾を通すことはできないぜ。それどころか血も拝めないぞ?」


 リストキー副所長が不敵な笑みを浮かべてそう言うと、一人の男が錯乱状態になり身を丸出しでアサルトライフルを放ち始めた。


 リストキー副所長にアサルトライフルの弾が何発か当たっていたけど血すら出ていなかった。


「ど……どうなっているの――副所長あんなに強いの」


 もう私いらないじゃん。リストキー副所長の戦闘見ておきたいんだけど――。一気にそう思えた。


「コイツ! 武氣(ぶき)を全く感じないのにどうなっていやがる!」


「さっきリストキーって言っていなかったか!? オリュンポス十二武(ドゥオデキム)抹殺官(デリーター)じゃないのか!?」


「リストキー!? 馬鹿な! 奴は死んだ筈だぞ!?」


「じゃああの化け物みたいな耐久力はどう説明するんだよ!? 武氣(ぶき)を全く感じないのに武氣(ぶき)で全部弾が通らないんだぞ!?」


 と、もう敵勢力はリストキー副所長の化け物みたいな耐久力に大慌て。お兄さんが抹殺官(デリーター)だったもんね。強いに決まっているけど、あの強さは別次元ね。それに一瞬の隙しかない筈なのに、敵は全員急所を外しているもの。これがベンチャー民間軍事事務所の副所長。ガレス・リストキー副所長の底力――。


「私も負けていられない」


 そう思うと私は敵にセレネを構えた。


「そっちばかり見ていていいの?」


 私がそう声をかけると、私がいる右側の通路の敵勢力が私の方を向いてきた。


「階段を制圧しろ!」


 一人の男がそう言うと、私の一番近くにいた最前線の男が、保安局の人間を盾にしながら詰め寄ってきた。


「そんなの反則よ!」


 私がそう言うと、保安局の人間を盾にしていた男が「うあああ!」と悲痛の叫びを上げながら横たわった。私がマズいと思ったときに必ずリストキー副所長の援護が入るの凄すぎる。


「くそ! どこを見ればいいんだ!」


「とりあえず奥へ下がれ!」


 と、敵は大混乱。私がいた通路に敵は一人もいなくなった。敵がいるのは右側と左側の通路からの攻撃を防げることができる奥の中央の通路だった。屈んで手すりを盾にすれば私とリストキー副所長の銃弾は通らない。


「いい加減投降しろよ。俺が来たからにはアンタ等に勝ち目はないって」


 リストキー副所長はそう言ってジリジリと敵に詰め寄っていた。


「う――うるさい! 投降なんてしてみろ! 俺達はあいつに殺される!」


「あいつ?」


 リストキー副所長と敵の会話が妙に気になる。他に誰かいるのだろうか? そう思っていた時だ。奥側の通路から突如として現れた身の毛がよだつような禍々しい武氣(ぶき)を感じ取ることができた。思わず背筋が凍り、セレネを持っている私の手は震えていた。


「アイツとは人聞き悪いじゃねえか」


 その声と共に敵勢力の一人が鮮血を散らしながら倒れこんだ。その異常な光景に敵は完全に恐怖で体が硬直していた。


「テメエ等みたいな雑魚に協力要請した俺が馬鹿だったぜ。そう思うだろ?」


 そう言って現れたのは右目に眼帯をした黒いターバンを巻いた男だった。赤い着物の上には黒い外套を羽織っており、鮫のように鋭い目と背中に一本の剣と左右に四本ずつ脇差を備えているのが特徴的だ。


「お前――ただ者じゃないな……」


 さっきまで余裕の表情を浮かべていたリストキー副所長は神妙な目つきへと変化していた。


「まさかアンタみたいな強敵と会えるとは思ってもみなかった。愉しくなりそうだ」


 その男は舌なめずりをしてリストキー副所長を睨めつけた。


「お前――名前は?」


「俺か? 俺の名前はそうだな――マンバとでも言っておくか。貴様はさっき叫んでいるあそこの女が言っていたな。ガレス・リストキー。最近話題の民間軍事事務所の副所長だったな。そうじゃなくても数年前に聞いたことがあるが――それは思い出した時でいい。どうだ? 俺と遊ぼうじゃねえか」


「断れそうにないな」


 リストキー副所長がそう言うと「ご名答!」と言って、マンバは背中の剣を抜いて、リストキー副所長に振りかざした。



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