飴が溶けきっても
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15ではありませんが、間接キスすれすれ描写はあります。
苦手な方はご注意ください。
「君、死にたいって思った事ない?」
いつも元気で明るくて、他愛のない冗談が大好きな彼女からの一言だった。彼女はさして変わらなぬ柔らかい笑顔を浮かべ、そっと俺の頭を撫でながら言った。
事の発端は俺がある一言を問いかけたからだ。『なんだか疲れてません?』と。
「特にありませんけど」
ぶっきらぼうで、気の利かない応えだと思う。せめて、何かあったんですか? ぐらい聞けば良かったのかも知れない。そうした方が……きっと相手も喜びそうなのに。
しかし彼女は変わらぬ笑顔のままに、俺の頬を撫でた。空いている手をポケットに突っ込んで、飴を取り出す。両端をねじった、皆が想像するタイプの飴だった。
「ん。それはとても幸せな事だ。そんな幸せな君の明日が、もっともっと幸せになるように、飴ちゃん、あげようね。ふふふ。なんだかとっても、からかいたくなって来たなぁ」
彼女は口先で飴袋を咥えると、そのまま手で引っ張って、器用に剥きにかかる。剥き出しになった飴玉を俺の口元まで持っていくと、こてんと首を折った。
「ちょっと今、君に惚れそうなんだ。だから……気を紛らわしたくてね。一緒に帰ってくれないかい? もしくは、間接キスすれすれの飴ちゃん、口に入れられるか?」
「俺は……」
という訳で、俺は彼女の隣を歩きながら、帰宅を共にしていた。口には飴玉。まだ溶けきってはおらず、玉のままに口腔を転がり回る。甘くて、落ち着きがなくて、彼女の様だった。
彼女ははにかんだ笑顔で俺の隣を歩き、同じように飴玉を舐めていた。
「ふふふ。君、モテるでしょう? 女の子はみーんな、察しの良い子が大好きだからね」
「モテませんよ。でも、貴方に好いてもらえれば、モテなかろうが関係ありません」
さっきの答えはこうだ。
貴方に惚れてるので、何方も下さい。一緒に帰るのも、間接キスすれすれの飴も。両方。
それを聞いた彼女は、少しだけ困った顔を浮かべて、飴玉を口に放り込んだ。俺の抱き着いて、今度は全身を撫でてくれた。
「貴方はさっき、察しが良いと仰いました。けど毎日観察していれば、そりゃ分かりますよ。惚れてるんですから、小さな変化でも」
「そっか。なんかどうでも良くなった。君と付き合えた事でチャラにしましょう」
そう言って、口内を晒して笑った。舌の上には飴玉一つ。この飴が溶けきっても、この甘ったるい関係は末永く。
所謂、センシティブな話題です。
でも人類の半数を締める、結構大切なお話。
最初、鬱々とした小説にしようと思ったんですよ。
この時はね、死にたくなるんだって。
今は月の物。人にもよりますけど、彼女の場合は精神的には軽いパラノイア。
誰も何もしてないのに、迫害されてる気分になって、自分の首を絞めてしまう状態。鬱鬱気分って奴です。
まぁ、世の中の女性の方々はおくびにも出さないと思っているので。
でも『幸せで良いわね』で終わってしまったら、彼氏さんだけではなくて、私も悲しくなってしまうので。
皮肉を交えない様に、飴ちゃん渡すって話。
前から浮かんでましたよ。
『それはとっても幸せな事だって』
でも『からかいたい』なんて言うんで恋愛です。なりました。
好きな人だからこそ、ずっと見ちゃう。
だから小さな変化にも気がつく。
今日、元気ないな。大丈夫かなって。
でも好きな子限定だから、モテないんだろうなって。
可愛い彼氏さんですね。私もバウムクーヘンあげたいですよ。