「二人の黒い医者」 手塚治虫 作 ブラックジャックより 安楽死は許されるのだろうか?my manga review
さて、、、、、、、、、、、、今回の主役は?
ドクターキリコである。
漫画、ブラックジャックの「二人の黒い医者」という漫画
に登場するのが、安楽死を「是」とするドクター・キリコである。
白い長髪をなびかせて、、いかにも悪徳医者っぽい?風貌で
安楽死を請け負うという設定ですね。
安楽死を真正面から取り上げた作品として日本では嚆矢だと思われます
日本では
タブーだった安楽死を、漫画とはいえ一つの選択肢として提示した手塚さんの勇気には敬服する。
ご存じのように手塚治虫は医師の免状も持っていますし。
こういうブラックジャックのような「医者物漫画」も先駆者です。
さて今回
「二人の黒い医者」に
登場するのはブラックジャックの
ライバル?というか
仇敵?というか
どんな命も助けるというブラックジャックとは、真逆の
安楽死請負の
闇医者の「ドクターキリコ」である。
キリコは元・軍医で、戦場で、兵士の死をさんざん見てきた。
そこでは治療しても無駄な兵士に受動的な?安楽死をさせた経験もあるだろう。
そういう過酷な生と死の究極の選択、
そこから得られた死生観。
そして死を与えるというのも
治る見込みのない患者に
無意味な闘病を
無意味な苦痛を
無意味な絶望を、、、、、、、、、、、、消し去って?
それらから「救命」?するために
死を与えるということも「医療」なのではないか
という「真実」?に目覚めたのだった。
さて。今回のこの漫画では、、、、、、、、、
ある日、、、、、、、、、、、、、、
ブラックジャックは、
交通事故で重傷を負い、、、背骨骨折で
一生体を動かすことはできないと宣告された女性の子供から依頼を受けます。
瀕死で全身まひで、寝たきりの母親は絶望し
安楽死を望んだ女性は
ひそかに
キリコに安楽死を依頼していたのです。
ある日、自然死装置?をキリコに取り付けてもらいますが、、、
こどもの必死の願いを聞き届けて、
急遽、
駆け付けたブラックジャックは
自然死装置?をとり外して
神の手のブラックジャックにしかできない「難手術」を開始します。
そして、、、見事に成功、、母親は助かるのです。
歓びに包まれる母と子。
術後の経過も良くて、、
動けるようになり、
歩けるようになり、、、
いよいよ、
退院の日が来ました、
タクシーを呼んで、、歓びの母子は、、病院の玄関を後にします
だが?
そのタクシーは、、、なんと、交通事故にあってしまい
乗り合わせていた
母親と子供までもが、、、全員即死してしまうのである
なんという運命の残酷さでしょうか
なんという人生の不条理でしょうか
まさか?こんな非業な結末になるなんて、、、、、、、、、、、、、、、
あのブラックジャックの手術とは、、
では?
なんだったのでしょうか?
何の意味があったのでしょうか?
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
それを聞いた、安楽死請負の闇医者のドクター・キリコは、、大笑いする。
「どうだ 所詮、死ぬ運命だったのさ、そんなもんなんだよ わっはっは」
ブラックジャックは
でも
こう言うのである。
「それでもわたし人を治すんだ、、自分が生きるために、、」
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
治る見込みもなく、毎日激痛にさいなまれる、、、、、、、、、、、、、
体中を点滴管でつながれて身動きのできない
ベッドに縛り付けられている患者、、
そういう患者が自死をのぞんではいけないのだろうか?
そういう死を望む患者に
安楽死させるドクター・キリコの存在をあなたは、
「全否定」できるだろうか?
死はいついかなる時も悪なのだろうか??
そして、、、、、、
いついかなる時も「生は善」?なのだろうか?
そして、、いついかなる時でも「死は悪」なのだろうか?
難病で治療法もなく
苦痛が毎日襲う
点滴と呼吸器と、胃婁と、排尿器でつながれ
体はマヒで動かない、寝たきりで、、、、ベッドに一生縛り付けられて
これが何年も、つづくのだ、いいえ、、何10年も続くのだ。
それでも生きたい、という人もいるだろう
その意志は尊重するべきだ。命ある限りドンな植物状態でも生きる権利はあるのだ、
だが、、、、中には「もういいよ、死にたいよ」という人だっているだろう。
「もうこれくらいでいいよ。この苦痛と闘病から解放してくれよ」という人だっているんだろう
そういう意思に対してどうできるのだろうか?
そういう死にたいという人に医療は、、医師は、何ができるだろうか?
実は
現状、、何もできません。
というか「なにかしたら」それは殺人罪となります。
だが?
そういう治らないという病気の苦痛に対して
死しか選択がない?
死によって治る見込みのない苦痛から逃れたい
そういう絶望に対しては
死だけが、救いになることもあるのではないだろうか。
そういうタブーを臆せず主張したキリコも医者の一つの「典型」「良心」なのではないだろうか?
ただし、、
キリコは、ただ、意味もなく死にたい、死にたいというものは断っている
治療可能なものも断っている。
一般には、安楽死の要件としては、、、、、、、、、、、
「安楽死の処置をする条件として「回復の見込みがない事」「生きているのが苦痛である事」「本人が死を望んでいる事」の3つをもうけており、このすべてを満たさない限りは断固として処置を断っている」という三原則があります、
あの
座間「首吊士」事件とは次元が違うのである。これは自殺詐欺?ですからね。
自殺請け負いますと、おびき寄せて、殺して金品を奪う、自殺詐欺です?
さて、、、
ドクター・キリコは、、
ブラック・ジャックの「裏返し」「対極点」ともいえる存在なのであろうか?。
あるいは北極と南極?
そして極左と極右を足すと? プラス マイナス ゼロで、、
表がブラックジャック イコール 裏がキリコ、という
まさに
同じコインの裏表
裏と表が合わさって一つのコイン、、という。
そういえるのではないだろうか?。
正に表裏一体?なのではないか?
コインに表だけで、、裏がなかったら?ダメでしょう?
ゴッドハンドで、、神の手術で難病を、大けがを治す、ブラックジャック
そして、、なおる可能性ゼロの患者の無意味な苦痛と闘病を終わらせてくれるキリコ。
ドッチモ、患者を「救っている」という点では全く同一なのではないのか?
同じ目的の 表と裏?
手塚治虫はタブーとされたこのテーマをま正面から提起して見せているのである。
安楽死という重いテーマを考える人は
ぜひ
この漫画、を、、お読みくださいませ、
☆付記
終末期緩和ケアについて
ターミナルケアとも言いますが
患者の終末期に、無用な痛みや苦痛を取り除く(緩和)ためのケアをする医療行為です。
例えば末期のがん患者の痛みは通常の鎮痛剤では緩和できず、そのためにモルヒネで緩和するなどの医療を施すことです。これで治癒はしませんが苦痛は除去できますから。
治す医療ではなく、直せないが。苦痛を除去して安らかな自然死を?迎えられるようにすることです。
じゃあ安楽死ではなくってもターミナルケアでいいじゃないか?
でも、終末期ではないという、難病で苦痛はあるがそれで死ぬことはないという患者には
こういう方法はあくまでも、臨時的?なものとなるでしょうね。
そもそもターミナルケアとは、
数か月後に死ぬだろうという終末が見えている患者の苦痛を除去するという行為ですから。
安楽死とは次元が異なるのです
「難病で治療法もなく苦痛が毎日襲う。点滴と呼吸器と、胃婁と、気管切開と、
排尿器でつながれ体はマヒで動かない、寝たきり、、、、だが患者はまだ20代」
こうした症例ではターミナルケアは適用されませんからね。
、
注意。
漫画の説明・あらすじは、あくまでも私の「記憶」のみに、よっていますので
記憶違いや、誤記憶がありましたら、、ご容赦下さい、
この「二人の黒い医者」はテレビアニメにも、なっていますよ
付記
手塚真監督の
「劇場版、二人の黒い医者」は、
またこの漫画とはまったく「別の内容」になっています。