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アイリス~この素敵な世界が終わらないように~  作者: 榊ナギ
第一章 悪魔の契約者
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第五話 上位天使

第五話です!

慌てて振り返るとそこには見たことのない少年が立っていた。その少年は人間のような姿をしていた。だがその背中には大きな羽が四枚、橙色の髪、血色のない真っ白な肌に赤い瞳をしていた。そう、<神の使い>天使だ。しかも更に上位の存在。


しかし天使と呼ぶにはあまりにも恐ろしい殺気と鋭い眼光をしていた。


一体いつからそこにいたのか、全く気が付かなかった。そして何よりも驚いたのは天使の存在感だった。


───これが本物の天使…!? 嘘でしょ……!? 今まで見てきたどの天使とも違う……! なんなの…!? この威圧感は……!


その瞬間、リリーネは理解した。こいつは危険だ。絶対に戦ってはいけない相手だ。

恐怖で足がすくむ。全身から汗が吹き出る。

そんな事を考えていると天使の口が開いた。


「初めまして、悪魔の契約者。僕はあなたに死を届けにきた者です」


天使は丁寧な口調で深々と頭を下げてきた。


「私に用があるのね。悪いけど、私は死ぬわけにはいかないのよ。大人しく私に帰ってくれないかしら……?」


「お断りします。僕の仕事を熟さずに帰っては最高神様がお怒りになるでしょうから」


「仕事熱心なことね。手加減はしないわよ……!!」


リリーネは天使を睨みつける。

天使はニタリとしたままリリーネを見ている。

リリーネは深呼吸をして心を落ち着かせる。


───大丈夫、勝てるわ。


自分に言い聞かせるように呟く。そして突進の一歩を踏み出した瞬間だった。

視界が大きく揺れた。そして地面に叩きつけられる。


一瞬何が起きたのか分からなかった。 起き上がろうとするも体が動かない。

自分の体を見ると腹に大きな穴が空いていた。

そこから大量の血液が流れ出ている。


───嘘……でしょ……!!


ようやく理解が追いついてきた。同時に激痛も襲ってくる。


「……ッ! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」


リリーネは声にならない叫びを上げた。全身に痛みが走る。心臓が激しく脈打つ。呼吸ができない。視界が霞み、意識が薄くなっていく。


しかし悪魔の再生能力でゆっくりと穴が塞がっていく。

その様子を見て不思議そうな声を出てきた。


「ふむ……やられたフリはいいので早く再生させてください。それくらいの時間はあげましょう」


天使は余裕な声でそう言ってきた。

リリーネは荒い呼吸をゆっくり沈めながら天使の方を向く。


───相手の行動に集中して反撃が出来れば……!


リリーネは静かに構えを取る。

次の瞬間、天使の姿は消えた。

それと同時に背中に激痛が走る。

振り向くと、背中に拳を突き刺している天使がいた。


───速い……!!

そう思った時には遅かった。

リリーネの体は宙に浮いてそのまま地面に倒れた。


「ふむ、この速度でもまだ見えていないようですね。ひょっとするとあなたはあまり上手く悪魔の力を使えないのですか?」


「……っ!!」


「では、こうしましょう。今からあなたの攻撃のターンとしましょう。それでこそ平等というものでしょう…?」


「調子に……のるな……!!」


パチンっと手を叩き提案をしてきた天使にリリーネは怒りを露わにした。


「はぁ……折角、僕が心優しい提案をしたというのに……残念です……」


「ぐぅ……!」


落胆した表情の天使が手を前に出すと、リリーネの体は何かに縛られる様に宙に浮いた。


「さぁ問題です。次はどこから攻撃が来るでしょう?」


宙に浮いたリリーネは空高く投げ飛ばされた。空中でも受け身とり、構えをとった。天使は真正面から突進してきた。今度は反撃できると思い、剣を握り込み振りかぶった。しかし天使は直前で止まり、何が背中に刺さった。


───っ!?……何で……!?


そう思い背後を見ると光の輪から細い光の帯のようなものが飛び出ていた。


「正解は後ろでした」


天使はニコリと分かり指で光の帯を操り突き刺したまま投げ飛ばし建物の壁に激突させた。壁が崩れ瓦礫の中に埋もれてしまう。意識が遠退く中、また天使に念力のようなもので拘束され宙に浮かされ引っ張られた。


「う……あ……!!」


「うーん……なんとも醜い姿ですね…」


リリーネの肩には瓦礫が貫通しており、全身から流れる血は滴り落ちる程の出血と鈍い痛みが全身を襲っていた。


「……ま……だ…!!」


リリーネは咄嵯に掴んでいた剣を天使に突き刺そうとした。

しかし剣は天使の前で弾かれた。それは何か透明な壁が存在するかの様な感触があった。


「愚かで醜い悪魔の契約者に一つ教示をしてあげましょう。我々天使には階級がある。そして僕のように高位の天使達にのみ与えられる加護がある。それがある限り君達は手も足も出ないという事だ。とは言ってもこれから死に行く者に告げても無駄な事ではありますが……」


<天盾の加護(てんじゅんのかご)>それは高位の天使に与えられる最高神の加護。呪術や邪気を弾き、悪魔からの攻撃を防ぎ逆に相手の悪魔の力を浄化し吸収する神の奇跡の力の一つである。


「くっ……! あん…たたちは……なんで人間を滅ぼす……」


「君達人間はあまりにも醜い進化を遂げた。

君達はお互いを妬み、争い、殺し、奪い合う。そして無駄に増えすぎた。

そんな事させる為にかの崇高な神々は知恵を与えられたのでは無い。君達は不要と最高神様が判断された。もっとも君の様に悪魔などに唆され、愚かにも神々に牙を向けるような者は万死に値する」


「……くっ!! あんたたちの好きには……させない……!」


リリーネ最後の力を使い剣を振り上げ抵抗の意志を見せた。

だが天使はそれを見逃さなかった。拘束の力が強まり、腕を強制的に捻らせた。音を立てて折れる骨の激痛に叫びをあげた。


「これで、終わりです」


リリーネは痛みに耐えながら必死に考えた。だが何も策は出てこない。ただ痛みだけが全身を襲っているだけだった。

リリーネは目を閉じた。




───その時だった。


「リリーネさん!!」


聞き覚えのある声にろ、

「リリーネさん!!」


「アイ……リス……?」


「大丈夫ですか!?」


そこには見慣れた少女が立っていた。アイリスはリリーネの酷い有様を見て言葉を失っている様子だった。


「ひどい怪我……! それに誰ですかあなた……!!」


「来ちゃだめっ!! 私を置いて早く逃げて! おねが───」


リリーネの言葉は止まった。いや止められたが正しい。


「貴方の声は耳障りですね。そのまま黙っていなさい」


天使は念力でリリーネの口の動きを止めていた。


「この方のご友人で間違いなさそうですね……これはこれは最後に相応しいとってきのショーになりそうですねぇ…」


「あなたが何者か知りませんけど、私の友達を傷つけた事は許しません……!!」


「ほほぉ…!なんという心意気…!僕は感服してしまいました」


パチパチと拍手しながら話す天使。ニタリと笑った天使はまた深々と頭を下げ挨拶をしてきた。


「初めまして僕は天界から最高神様のご命令によりこの地上に舞い降りた天使ガブリルでございます。

貴方のような勇気ある方は初めてです……ただお見受けしたところどうやらただの人間のようですねぇ……

貴方のご友人は悪魔の声聞き、我々神に歯向かう大罪人です。卑怯にもあなたを唆しあなたを喰らい自分の養分にするつもりでいたのです! なんと嘆かわしい!

ですから僕と共に天界に行きましょう。あなたのような方ならすぐにでも───」


「いい加減にしてください!!」


アイリスの叫びは、手を差し伸べじりじりと近寄る天使の足を止めた。


「あなたが神様でも天使様でもなんでもいいんです。

そんなことより……私の友達をいじめるあなたは許せない!!

リリーネさんの事はまだ何も知らない……でも、私の知ってるリリーネさんは優しかった……! 私を助けてくれた……! それがどんな理由でもいい……!

だから……私の大切な人をこれ以上いじめないで!!」


アイリスの咆哮は空を切るように鋭かった。その瞳は真っ直ぐガブリルを見つめていた。


リリーネは涙を流していた。

自分の為に涙を流し格上の相手、いやアイリスとっては相手が誰であっても関係はない。自身の大切な人を傷付けられる事が許せなかった。それ故か、こんなにも真っ直ぐに怒りを相手にぶつけてくれた。それが嬉しかった。


───ありがとう……アイリス……


ガブリルは呆れた表情をしていた。

そしてゆっくりと口が開いた。


「……くだらない」


そう言い放つとリリーネの拘束を解き、アイリスに向け手を素早く突き出した。

リリーネにはガブリルがこれから何をするのかなど容易に想像できた。


「 や め て……!!!! 」

読んでいただきありがとうございました!

段々と慣れては来ましたが、時々「あっ今日水曜日か!」ってなることがありますね。ほんと曜日感覚がいつまでたっても家出から帰ってきませんで困っております。


いきなり私事なんですが、小説書く意欲を沸かせるために常に新しいものやワクワクするものに触れるようにしてるのですがなかなか好みが偏っていて見つからないのが最近の悩みです。一応最近始まったオーバーロードの四期を見てオープニング曲がどんでも好きな曲でまたしばらくはこれでしのげそうです。あとは魔法少女リリカルなのはを見始めました。今は二期の最初で止めておりますがいずれ全部見させていただこうかと思っております。女の子が頑張る姿ってほんとに好きなんですよね。まぁそういった思考がありこの小説の登場人物は女の子なわけなんですが…


というわけでまた次週!お楽しみに!

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