第二十三話 卒業
笑う伊吹の後ろで、もう一体のガーゴイルが砕け散る。
張られていた結界が消失し、向こう側の二人と繋がった。
「なんとかなってよかったー」
「一歩、遅かったようね」
「えへへ! 私たちの勝ちー」
伊吹と俺でピースする。
「あっ、そうだ。穂人くん」
「ん?」
「今の私って可愛い?」
そう訪ねられて、鏡魔法を使う。
手の平サイズの鏡を持って、伊吹に見せた。
「見ての通り、可愛いよ」
「よかったぁ! あ、ハートマーク!」
「ハート?」
伊吹の側によって鏡を確認すると、たしかにハートマークが浮かんでいる。
伊吹の周りに現れては消えていく。
「それってミラーダンジョンの?」
「みたいだな。鏡の道化師も気に入ったみたいだ」
鏡を見て笑顔になる伊吹は、間違いなく可愛かった。
§
ボス部屋に現れた魔法陣によってダンジョンの外へと帰還する。
地に足をつければ、俺たちはもう立派な冒険者だ。
「初心者卒業だね!」
「ようやくね」
「いえーい!」
喜びを噛み締め、一皮むけたような清々しい気分がする。
俺たちはようやく初心者を脱し、これから更に難易度の高いダンジョンへと挑戦していく。
思えば、よくここまでこれたもんだ。
最初はコピー機と同じことしかできなかったのに。
今じゃ立派な冒険者だ。
これからもこのスキルで、上を目指して行こう。
「穂人くん! どうしたの?」
「上の空だねぇ」
「置いてくわよ」
みんなで。
「あぁ」
止めていた足を動かし、仲間たちと合流した。
お疲れ様でした。
新作を書いたのでよければ下から読んでいただけると幸いです。
ありがとうございました。




