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chapter2-19

「さて…、どうしようか…」


「あぁ?そんなの俺がやるに決まってンだろーが。オメェは周りの雑魚をやれよ」


「いやいや雑魚って、ほとんど小夜叉倒してない?多少はいるけどさ…」


そう言って遼太郎は周りを確認する。本丸に来た時には数えるのを諦めるほどにいた鬼が、今やちらほらのレベルになっているのだ。これならば、目の前の歪な鬼をメインで戦闘しても恐らく支障はないだろう。



「はぁ?…確かにそうだな…。体感で百以上は殺っただろうが、まだまだいるはずなのにな。まぁとにかく、正面のコイツに集中出来るってんならいいか!」



小夜叉も遼太郎に言われて確認したが、自分が倒した鬼の数と目測でいた数が合っていないようである。しかし、目の前の的に対しては好機でもあるので、その事は一旦頭の端に追いやる。



「まずは小手調べといく…ぜっ!」


「こっ小夜叉っ!?」



突如として小夜叉が遼太郎の隣から消え、銀閃のごとくその鬼へと迫る。そして、その手に持つ槍を大きく振りかぶり鬼左肩から切り下ろす。


「オラッッ!!」



「ヴヴァァッ!」



切られた鬼が痛みからか、呻き声を発するが…



「硬ぇ…」


「全然効いてない…のか?」



普通の鬼レベルならば今攻撃で即死なのだが、その奇形鬼は一瞬怯んだものの、全くとして倒れない。いや、痛みで怯んだように見えたが、その見た目からはダメージが入ったかどうかすら怪しいのだ。



「一発で殺れないなら、何度もやるだけだ!」


小夜叉はそう言って再び突進して攻撃を仕掛けるが…



もちろん、その奇形鬼もただ硬いサンドバッグではない。


「ヴヴヴヲヲヲヲ!!!!」


"ブンッブンッブンッ!!"



その細く長くしなやかな右腕を振るい、攻撃してきた小夜叉に襲いかかる。


「クソッ!これじゃさすがに近づけねぇ!」



長い鞭のような形状の右腕だが、それを振るうのは勿論怪力の鬼である。人間には真似できないような速度で振るうため、これでは小夜叉ですら近づくことが出来ない。



「俺のハンドガンなら、あの腕の射程外から攻撃できるけど…」


遼太郎がそう言って続きがないのは、その硬さゆえだ。小夜叉の一撃は通常の鬼ならほぼ一撃なのだ。対して、遼太郎のハンドガンは頭部を狙わない限り、一発で致命打にはならないという威力差がある。




(何か、こいつにも何か攻略方があるはずなんだ…)


手持ちの武器で正面からやるには圧倒的に火力不足である。しかし、ゲーマーとしての本能で遼太郎は何か見落としてないか、状況を分析する。




「クソがッ!!!死ねぇ!」



奇形鬼の鞭攻撃の合間をついて小夜叉はとにかく攻撃を仕掛けているが、どれも有効打にはなっていない。



(硬い…、硬すぎる。あれじゃ正面からのやりあいじゃ絶対に無理だ。しかも奴の視界に入れば、あの鞭攻撃が止まらない…)



思考を続けつつ、遼太郎は周りの通常鬼を排除していく。余裕があれば、小夜叉と奇形鬼の戦闘を視界の端で追う。


(視界…正面…待てよ?)


ここで遼太郎はあることを思い付く。


(あの鬼、もといた場所から全然動いてないよな…。常に小夜叉を視界に入れて、攻撃に対して正面を向いて…)


確かに、奇形鬼は小夜叉の攻撃を体の正面で受けている。そして奇形鬼は右腕が特徴的であるので注目してしまうが、その脚も隠れながらも特徴があり、左脚が発達して太く、両足のバランスが悪そうであるのだ。


戦闘スタイル的には腕力にものを言わせて鞭攻撃する感じなので、無駄に移動する必要は確かにないのだが…。


(それにしても動かずに、天守閣そのものを背後に取っている…。まるで何かを庇うように…)



そして、遼太郎が行動を起こす。


「小夜叉っ!!一旦こっちに来てくれ!」



遼太郎が奇形鬼と戦闘を続ける小夜叉を呼び戻す。



「あぁ?……ハッなるほどな、テメェなんか思い付いたみてぇだな」


「ああ、試してみる価値はありそうなんだ。さっきからの戦闘で動きから、あいつの背後が気になるんだ」



「あぁ、それは俺も気になってんだ。そりゃ最初は落下地点が、元々あそこだから気にしなかったけどな。ここまで動かねぇってなるとよ」



さすがに小夜叉も何度も攻撃を仕掛ける中で違和感を感じていたようだ。



「だが、背後に接近どころか、正面すら近づくのに苦労してんだ。どうすんだよ?」


「あの巨体だからね、あの場所から動かすのは多分無理。けど小夜叉があの鬼と天守閣の間から、背後を攻撃できる位の隙なら作れると思うんだ。こうやって……」


遼太郎が自身の持つ武器を説明し、策を小夜叉に伝える。



「まぁ、テメェの持ってるそれが何なのかはいまいちわかんねーが、策通りなら殺れんだろ?」


「殺れるレベルかは分かんないけど、突破口にはなりそう。けど、かなりタイミング…機会が一瞬なんだ。合わせられるか?」


「俺がしくじると思うか?誰だと思ってやがんだか。ハッ!」



遼太郎の心配を小夜叉は鼻で笑う。だが、そこに流れる雰囲気は全く嫌なものではなく、お互いがお互いを戦友として認め、信頼した仲間との空気。そして、お互いが並んでもう一度奇形鬼と対峙する。



「じゃあ、やろうか」


「ああ、殺ってやるか」



小夜叉の言った漢字が違うように思えるが、今はそれが頼もしく感じる遼太郎。その秘策を持ってして、決着を付けに行く…。







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