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Chapter2-11

登場人物が新たに出てきます。新規の方は公式ホームページの登場人物を参照してみてください。


(うーん、どうしたものか…)


切り株に腰掛けた遼太郎は頭を悩ます様子を見せていると


"ダダダダダダッ"


遼太郎と詩乃がいる近くの森の闇の中から突如足音が走り迫る。


「なっ!何だっ!」


切り株に腰掛けていた遼太郎は立ち上がり、側に控えて立っていた詩乃を咄嗟に庇おうとする。


迫り来る足音の方向に目を向けると、小さな人影らしいものがぐんぐんと迫ってくる。早すぎる移動速度に顔どころか男女の判別も遼太郎にはつかない。


「遼太郎さま!!」


詩乃も迫り来る人影を目視したことにより、警戒の声をあげる。


(クソッ!まさか新手の鬼か!?)


足にくくりつけられたホルスターからハンドガンを抜こうとする遼太郎。


しかし、迫りグループ人影が手に持つ武器が遼太郎の喉元に迫り来る方が早かった。



(早すぎるだろ…)



あまりにも咄嗟のことで危機感も感じる間も無く遼太郎は死を覚悟したその時だった。



「おいっ!ガキ!!止まれ!そいつは美濃の連中じゃない!」



迫り来る人影が現れた森からやや低めの女性の声が響く。


その声に反応したのか、凄い早さで接近してきた人影が動きを止める。手にした赤黒い武器の切っ先がギリギリ遼太郎の喉元で止まる。



「あぁ!?なんだよー、母ー!もう少し早く言ってくれよー。危うくやっちまうとこだっただろー」



遼太郎に武器を突きつける人物が、やや幼めの女の子の声を発する。



「へ…?は、はぁ…」


突発的に起こった一連の出来事の処理に脳が真っ白になってしまった遼太郎は思わず息が漏れたような反応になってしまう。


遼太郎の背中に庇われた詩乃も実際の戦闘になりかけたことで身体がすくんでいる様子。



遼太郎に迫ってきた女の子は、呼び止めた大人の女性の方に駆け寄り文句を言っているようである。


どちらも女性であり、しかも金髪。先ほどの女の子が『母』と呼んだ事から、あの二人は親子なのだと遼太郎は何とか回り出した頭で状況を整理していく。


「よく見てみろガキ、あの孺子は最近殿の腰巾着になったやつだ。お前も清洲の街中で見かけただろう」


「あぁ?こんなひょろいやつのこと覚えてられるかってんだよ、母」


「最初はワシもそうだと思ったんだがな、墨俣の一件でデカイ鬼と対峙して勝ったらしくてな」


「はぁー?デカイ鬼位オレだってもう何体も倒してんだろー?けど、このひょろい奴がって考えると、まぁまぁかぁ?」


人の生死を別けるかもしれなかった場にしては思えないほど掛け合いの良い会話が聞こえてくる。


(詩乃はあの二人わかる?)


"フルフル…"


詩乃に尋ねてみるも返答は首を横に振るであった。



「…えっと、そちらのお二方は俺のことを知ってるのかな?」


近づいてきた親子に遼太郎は多少緊張しながらも質問をする。


「あぁ?そうか、貴様に主だって顔を会わせるのは初めてであるのか。ワシは森桐子可成、織田の森一家の棟梁だな」


突撃を呼び止めた方の女性が名を名乗る。かなり際どい服装をしているが、その身体や服には何故か血液がベッタリと着いていて年頃の男である遼太郎も流石に変な気になるはずもなかった。


「俺は森小夜叉長可、次の森家棟梁はオレってところだ。たく、こんなところでこそこそやってるから間違えちまっただろ。危うく殺っちまうとこだったじゃんかよ」


「ハハハ……」


間違って殺される、なんとも考えにくい小夜叉の発言に遼太郎は乾いた笑い声しか出なかった。



「ふむ、あなた達が織田家お抱えの森一家なのですか…」


遼太郎の背中から出てきた詩乃が納得したかのようにして見せる。


「あぁ!?なんだてめぇは?」


「ひっ、ひぃ!」


睨みあげるように近く小夜叉に、詩乃は堪らず再び遼太郎の後ろに隠れてしまう。


「おい孺子、ソイツは?」


桐子と名乗った女性が遼太郎に尋ねてくる。


「ああ、この子は竹中詩乃重治。最近俺の部隊に加わった軍師さんってとこだね」


遼太郎が背中に隠れた詩乃の紹介していく。


「ついでに俺の自己紹介もっとね。俺は及川遼太郎、まぁ知ってる通り久遠の夫ってなってるからよろしくってことで。桐子さんに小夜叉…でいいかな?」


「あぁ!?おい!ちょっと待てよ!何で母はさん付けでおれば呼び捨てなんだよ!」


遼太郎に呼び捨てされたことに異議を申し立てる小夜叉。


「あれ?まずかったかな?もしかして嫌だった?」


「あぁん?…別に嫌って訳じゃねーんだけどよ、まぁ鬼も倒してるってんならまあ許してやんよ」


「それじゃあよろしくな、小夜叉」


ひとまず自己紹介を済ませた会話に桐子が話題を切り出す。


「それでだ孺子、貴様こんなところで何をやっていた?仮にも殿の夫で一隊の頭ならこんな陣から離れたところにいるのはおかしいだろう」


「まぁ今陣内がゴタついているってのがあるんだけど、一番は落ち着いて考えたいってとこ。訳は話すんだけど……、その前に何で二人は血まみれなのかを聞いてもいいかな?」


桐子の問いに答えようとするも、目の前の二人が派手に血まみれなことに気が散ってしまうのでその訳を聞いてみる遼太郎。


「これか?そんなの美濃の兵を殺ったり、鬼をやったり…」


「「鬼っ!?」」


小夜叉の説明の中に鬼というワードが出てきたことで遼太郎と詩乃が同時に反応をする。


「ん?そうだよ、お前も見たこともやったこともあんだろ?まぁこの返り血はほとんど美濃の兵のやつだけどな。鬼のやつら普段と違って戦わずにまるで逃げるように散らばって行くからよ。お陰で全然殺れなかったぜ」


「確かに、今日の鬼は何か変だったのはワシも感じたな。まぁ弱過ぎることに変わりはなかったがな。ハッハッハッ!」


鬼をなんとも思わない発言をするこの親子に遼太郎は若干呆れそうになるも、何となく違和感を感じ始める。それはどうやら背中の詩乃も同じようである。


「他になんか変わったことはなかった?」


疑問を掘り下げるため遼太郎はさらに深く突っ込んでみる。


「んんー?変わったことー?オレは逃げ散ってめんどい以外何も感じなかったけど…」


「ワシもそうだと……、いや待て。そう言えば鬼どもを殺した時に死骸から何やら紙切れが落ちてきてな」


「あー、確かにそんなこともあったな」


桐子が気づいた箇所に小夜叉も頷く。


「え?それって今も持ってる?」


桐子の発言に聞き逃せない大事が出てくる。遼太郎がすかさず応答する。


「拾おうとしたんだけどな、なんか残りの鬼どもが回収しようとしてきたのかそこだけ乱戦になってな。結局破れて破片しか取れなかったけど」


小夜叉が頭の後ろ手を組ながら口を尖らせ、悔しそうにする。遼太郎と詩乃はその残された破片を吟味していく…





























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