↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/41

Chapter1-11

和奏との手合わせが終わり、久遠が遼太郎に声を掛ける。  


「な、言ったであろう。和奏は正直過ぎると。普段はあの鉄砲槍は槍として使っていざというときにしか鉄砲としては使わないのだかな。和奏のことである。お前を驚かせたかったのであろう」


「それならそうと最初から言ってくれればあんなにびびらなくて済むのによ」

だいぶ、久遠の性格がわかってきた遼太郎であったが命を掛けた嫌がらせは勘弁であると思うのである。



その後は三若と呼ばれる残り二人の雛、犬子を順当に打ち破る。銃器ほど馴染むことはなかったがそれでも、日本刀をそこそこ上手く扱う遼太郎であった。


(犬子はともかく、あの雛って言う子の御家流?必殺技みたいのは焦ったけどな)


そう、この世界には武将クラスの者が扱える御家流と呼ばれる技が存在したのだ。


「頑張って足を早く動かせば早く移動できるの術~」

などと雛が言って発動させたこの技、確かに視線では追いかけるのが困難であったが、そこはこちらもバイオ仕様のコマンドによるカウンターで一発であった。遼太郎的には内心、ズルをしているようで良心が痛む感じがするが、自身の衣食住のためであるので、仕方ないと割り切る。


「ともかく、これで三連勝だな。一応これなら認めてくれるだろう」


「あらあら、確かにそうではあるのですが、できれば全力で手合わせしてほしいですね」


遼太郎の独り言に、次の対戦相手の麦穂が答える。


「いや、勿論そのつもりなんですけどね。ただこの先のお二人は格が違うって言うのがビリビリ伝わって来るんですよ」


評定の間まで案内をしてもらったときと変わらない表情や、お姉さん雰囲気の仕草は変わらないが、遼太郎はどこか背中がじっとりと嫌な汗をかくような感覚に襲われているのだ。


それはそのはず、遼太郎が未だに恐怖する鬼柴田こと壬月と、勝ち越さずとも麦穂は五分の対戦成績であるのだ。


遼太郎はその事は教わってはないが、麦穂から感じるオーラから危機感を募らせる。


「それでは、四戦目を行うぞ!」


久遠からの言葉に遼太郎と麦穂は立ち位置に立ち向かい合う。


ここまで和奏、雛、犬子の得物は槍、小太刀二刀流、槍と、サバイバルゲーム慣れした遼太郎にとってはやりにくい相手であったが、今度の麦穂は遼太郎が構える物と同じ刀である。遼太郎がやり込んだシューティングゲームには、武器のジャンルの大半が銃火器占めるなか、物好きのために用意されたのか刀、剣の項目も存在した。得物としては、練度は無視したとして五分である。


「それでは、始め!」

壬月から開始の合図が送られる。


ここまで三戦後手に回ってきた遼太郎が初めて先手をとって攻撃を仕掛ける。


しかし、


「その一手は読んでいましたよ!遼太郎さん!」


まるで最初から仕掛けることを分かっていたかのように、遼太郎は攻撃をいなされてしまう。


「なっ!?」


今まで手合わせ、一戦目はともかく残り二戦は相手の攻めをみてからカウンターで返してきた遼太郎。今回それを逆手にとって先手を打ち怯ませでもできれば、と考えていた遼太郎にとっての奇襲を麦穂は易々といなしてしまう。


怯ますどころかこちらが動揺させられてしまう遼太郎。


それを見た麦穂は、さらに追撃に出る。


「来ないようでしたら、こちらからいきます!」


そういうや否や、遼太郎に攻めかかる。突破的アクションに応じるため身に付いた反射神経でどうにか受けるも、徐々に押されていく。一見隙のようにみえる瞬間に遼太郎は反撃に出るも、そのすべてがまるで知っていたかのように、いなされてしまう。


(これはまずい。こうなったらあれを使うしか…ないか)


ギリギリの戦闘の中、四の五の言っている場合ではないと覚悟を決める。


そして、麦穂の攻撃の一呼吸の間の瞬間に遼太郎は刀から手を離し、麦穂目の前に放り出す。


「なっ!?」


さすがの麦穂もこれには驚いたのか一瞬の隙を作る。遼太郎はその瞬間に右手でレッグホルスターからハンドガンを抜き、麦穂に向けて構える。


一瞬の動揺後、きっちりと遼太郎の刀を打ち捨てた麦穂は遼太郎が黒い銃を構えていることに気が付く。麦穂はこれが銃であることを、昨日の一件で知っている。今まで三若相手には使えなかったとっておきである。麦穂がさすがに危険だと感じて距離をとろうとして、重心を後ろに傾けようとしたときである。


(それを待っていたんだ!)


遼太郎は空いていた左手で強引に背中に備えたサバイバルナイフを抜いて、麦穂との間を一気に詰める。


「ハァッ!」


麦穂は、接近する遼太郎に対処しようとするも、銃口がこちらを向いていることから上手く対応出来ていない。


遼太郎のナイフの切っ先が麦穂の首元で止まる。


「……私の…負けですね」


遼太郎が刀を投げ捨てから僅か三、四秒の出来事であった。


この高度なやり取りに、会場となった屋敷の庭先が静まり返る。


「勝者、及川遼太郎!」

そんな中、第一声を放ったのは立ち会いの壬月であった。


これ皮切りに、この手合わせを見ていた者たちの歓声が辺りから沸き上がり、騒がしくなる。


「見事だ!遼太郎!まさか麦穂まで打ち負かしてしまうとは」


そういった久遠が笑顔で近づいてくる。


「本当に上手くいって良かったよ。少しでも食い違えば俺の負けだったし」


実際にギリギリであった遼太郎が一勝負終えて安堵するように言う。


「まさか、二度も武器を囮にするとは思いませんでしたよ」


寸前まで、接戦を繰り広げた麦穂からも賞賛の言葉がかけられる。


「本当は使うつもりなかったんですけどね。ただ、あんまりにも一方的に追い込まれてしまったもので、少しはやれるとこを見せたいなって思ったからでしょうかね」


「いや、見事見事。三若のみならず麦穂を破るとは。これはこの先が楽しくなるな」


照れ笑いを浮かべる遼太郎に、先ほどまで立ち会いをしていた壬月がやって来て声をかける。


「では小僧、次は私とだ。麦穂を破ったのだ久しぶりに本気を出してやろう」


浮かれている遼太郎に、まさかの死刑宣告も同義な事を言われる。遼太郎は一瞬で我に帰る。


「え…?冗談…ですよね…?」


遼太郎が冷や汗をかきながら壬月に尋ねるも、


「時間が惜しい。すぐに始めるぞ小僧!誰か!あれを持ってこい!」


壬月は遼太郎を気にすることなく、準備に行ってしまうのであった。




感想、評価、ブックマークいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。