第07話 普通の人生・・・でも「俺」は
私は今、まさに死に瀕しています。
畳の上で死ぬことは叶わず病院のベッドの上で、ですけど
こうやって多くの子や孫に囲まれて死ねるのは幸せです。
今回の転生は、現代の日本に女性として生を受けました。
それまではずっと、元々の顔そのままだったので戸惑いもありましたが・・・
私には双子の弟がいました。
その弟が・・・今までの「俺」で、40半ばで孤独死してしまいました。
きっと、生まれる時に何を間違えたのか、「俺」が双子の姉となり
「他の誰か」が双子の弟になったのかと思います。
幸い私は良き伴侶に恵まれましたが、実のところ「女友達」がいません。
弟の人生を実体験として知っている私は、学生時代から友達に弟を紹介していったのです。
でも、弟を紹介する度に、私は友達を失っていきました。
考えてみれば当たり前で、残酷なことです。
私自身、弟の顔を見る度に背筋が凍り付き、正視できないのに
そんな顔を押し付けられるのです。
・・・・・・
そろそろ私にもお迎えが来ます。
弟には申し訳ないですが、普通に鏡を見れて、普通に結婚して、普通に暮らせた人生は幸せでした。
次また転生することがあれば、今回と同じように普通の人生を歩みたい。