第06話 さらに転生・・・三度目のなんとか
俺は今、まさに死に瀕している。
魔物の巣食うダンジョンに閉じ込められ、巨大な蜘蛛のような魔物相手に致命傷を受けた。
もはや何も見えぬ眼で天井を見上げ、人生を振り返る。
この世界に転生して25年
元の世界で言うところの剣と魔法のファンタジー世界。
よくあるなろう系と同じように俺もまた、死んで転生を果たすことができた。
ただ、転生して愕然としたことがある。
それは、元の世界での俺と、全く同じ顔だったからだ。
それでも何とか、前の世界のように40過ぎて人生終了のお知らせを自覚する前に
若いうちに普通に結婚して、普通に暮らすことを目標に頑張ってきた。
ファンタジー世界で稼ぎ、生き残る為に弓術を身につけ
冒険者として、それなりの信頼を得ることに成功もしていた。
そして今回の冒険。
パーティリーダー格、イケメンウィザードの判断ミスにより
巨大な蜘蛛のような魔物を相手にしなければならなくなった。
今の俺たちではどうにもならない相手。
イケメンウィザード、女の子の戦士とシーフ
俺以外の3人で一瞬、顔を見合わせ頷くと同時に
俺は魔物の前に蹴り出され、3人は一目散に逃げていった。
巨大な蜘蛛の魔物は、前脚で俺を切り裂くや否や
逃げるウィザードに向け、口から粘糸を吐き出した。
粘糸に足を絡まれ釣り上げられるウィザード。
倒れる俺に重なるように落下し、巨大な蜘蛛はウィザードと俺をまとめて串刺しにした。
・・・・・・
そろそろ俺は死ぬ。
もし俺がまた転生できたら、鏡くらい普通に見れる顔になって、普通に結婚して、普通に暮らしたい。