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#1 年下

「・・・・ごめん・・・もう別れよう――・・」



あたしの返事なんか聞かないで、去って行ったあいつ。

すごくすごくムカついたけど、



それ以上に




悲しかった―――・・・






〜年下〜


「・・・・ふあぁ・・・」




休日の朝。




彼氏に振られたことが昨日のように思える。



もう1週間は経つっていうのに・・・・


(どこまで引きずる気だ・・・あたしは・・・)


「・・・・もう昼近いじゃん・・・」


(休みの日だからって寝過ぎたなぁ・・


早く着替えなきゃ・・・)


あたしは適当に洋服を選んで、さっさと着替えた。


2階の自分の部屋から1階の居間に降りていくと、話声が聞こえた。


(お母さんのお客さんでも来てるのかな?)


あまり足音が聞こえないようにそっと階段を降りて、居間に向かう。


居間に入るために、ドアを開けると、やっぱり親戚のおばさんがお母さんと楽しそうに話していた。


おばさんはあたしに気が付くと、


「あらあら、優ちゃん、大きくなっちゃってぇ」


「休みの日だからって寝過ぎよ優。」


「・・・・こんにちはぁ、おばさん・・・」


お母さんの愚痴は無視しておばさんに挨拶する。


・・・・居間でテレビでも見ようと思ってたんだけど・・・


邪魔になるか・・・


(何してようかな・・・)


あたしが居間の入口で数秒立ち止まって、考えているとき、背後からいきなり声が聞こえた。


「あ、優さんッ?」


「・・・ん?」


あたしが多少びっくりしながら、後ろを振り返ると、そこには1人の少年が立っていた。


(・・・・・誰だっけ・・・?)


見たことのあるような無いような・・・


こんな少年、親戚にいたっけ?


「・・・あのー・・」


あたしが言葉に詰まっていると、少年は勝手に話し出した。


「僕だよ。忘れちゃった?皐月。押村皐月。」


「・・・・んー・・」


名前を言われても微妙な反応しか返せないあたし・・・


なんか・・ピンと来ないんだなぁ・・・


あたしが記憶を呼び起こすのに熱心になっていると、居間のおばさんが口を開いた。


「優ちゃんが小学生の時に遊んでもらっただけだからねぇ。優ちゃんの方は覚えてないかもしれないねぇ。」


「・・・・小学生の時・・・?」


・・・・・覚えてない・・・・


大体この少年は今何歳なんだ?


見た目からして、中高生なのは間違いないけど・・・


小学生の頃遊んだといえば・・・・すごいちっちゃい子と何回か遊んだようなないような記憶はあるけれど・・・


やっぱり思い出せない・・・


「何だよ。優さん覚えてないの?」


少年が少しだけふくれっ面でこっちを見てくる。


茶色の瞳が大きくてなんだか可愛い。


「んー・・・ごめんねぇ。よくわかんないや。」


「えー。」


不機嫌そうな顔で少年は答える。


「あ、皐月。せっかく優ちゃんの家に来たんだから、勉強教えてもらいなさいよ。優ちゃん頭良いんですって!」


「・・・勉強?」


「あーらやだ。全然そんなことないわよッ!ウチの子の成績なんて中の中なんだから!」


お母さんが照れくさそうにおばさんに言う。


「でも聖南女子に通ってるんでしょ?それだけですごいじゃない〜。」


・・・・・あぁ・・・おば様方の会話が始まってしまった・・・


あたしと少年はポツンと居間のドアに取り残される。


数秒の沈黙で気まずくなったので、あたしはとりあえず少年に話しかけた。


「どうすんの?ホントに勉強でもする?」


あたしがそう声をかけると、少年はすぐに反応を示し、


「えっ!良いの?」


「・・・ぅ・・うん。大したことは教えらんないけど・・・あたしも宿題あったし・・・・」


なんだこのキラキラおめめは・・・・


そんなに勉強が良いの?


「やるっ!僕ちゃんとドリル持ってきたんだよ。」


「・・・・そう。居間が空いてないから・・・どっか別室で・・・」


「優さんの部屋でやりたい!」


「あたしの部屋は汚いから無理!」


「大丈夫。僕の部屋も汚いから慣れてる。」


「そういう問題じゃ・・・」


「優さんの部屋ってどこ?早く行こ。」


あたしはされるがままに再び階段を上っていく。




何なんだ・・・この少年は・・・





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