戦いの始まり
一方、カイトにもスズノと同じ箱が贈られて来ていた。そしてスズノとおなじ謎の装置が入っていた。
「なんだ?これ、 」
と押そうとした瞬間、一瞬揺れが起こった。
「なんだ!? 何が起こった!? 」
カイトは母の元に走った。
「お母さ… おい嘘だろ… 」
まさかの時間が止まってしまったのだ。母を揺さぶっても動かない。カイトは時計をみた。時計も止まっている。そう、時間だけでなく地球の回転も止まってしまったのである。この時期は夏。暑さにさらされながら止まったままになると死んでしまう。そのことをまだ知らないカイトはスズノの家へ走り出した。だがインターホンを押してもでない。
「参ったな… ん?ドアが空いてる」
カイトはゆっくりと玄関のドアを開けた。周りは静か。聞こえるのは滴る水の音のみ。カイトは家の中に入り、スズノの部屋へ行った。
「おーい、スズ… 」
カイトは、スズノの姿を見て声も出せなくなった。スズノも止まっていたのだ。カイトは思わず、
「う、うわああああああああ!」
と叫び逃げた。道をしばらく走って、カイトは途中で転んだ。そして泣きわめいた。
「うわああああああああ! 」
助けてくれ、助けてくれと何度も思った。
その様子をある人がモニターで見ていた。
「なんだあの姿! アハハハハハハハハ!」
泣いているカイトを見て笑っていた。すると、ボスが入ってきた。
「そう笑うな。 あいつは悲しいという感情を出しているんだ。」
すると、モニターを見ていた人も笑うのをやめた。
「へーい。」
「さぁ、コードネーム シーク あいつを捕まえて来い。牢獄のやつも可哀想だからな。 」
一方カイトは、しばらくして立ち上がった。
「こんなことしてちゃダメだ。はやく時間を戻さないと。」
と言うのと同時に疑問に思ったことがある。
(なぜ俺は時間に逆らうことができたのか? 前にも同じ経験したっけな。)
カイトは一本道を歩き始めた。すると、後ろから猛スピードで車が突っ込んできた。カイトは避けたが、誰かに掴まれて車に無理やり乗らされた。そして、睡眠薬を飲まされ、気絶した。
「ん… ん?」
カイトが気がついた。
「ここは…どこ…?」
すると、シークが寄ってきた。
「ここは我々のアジト。 君は生き残りだからしばらく捕まってもらう。」
とカイトに説明した。しかしカイトは怒鳴る。
「みんなに何した! 」
するとシークは口を開けた。
「何も生き残りは君だけじゃない。隣を見てみろ。」
と言われるがままに隣をみた。すると、そこにいたのは遊園地のキャストだった。
「装置を送ったのもそいつだ。」
とシークは話す。カイトは驚いた。
「何でそんなことを… 」
すると、そのキャストが泣き始めた。
「ごめんなさい… 本当にごめんなさい… 」
「こうするしかなかったの… 」
この言葉を聞いて、カイトはシークに再び怒鳴った。
「おい! 何この人にやらせてんだよ! お前らクズかよ! 」
シークはふふっと笑った。
「クズで良い。 では、牢獄の中でいい生活をおくれ。」
と言い、シークは去った。カイトは仕切りを前後に揺らした。だが硬い。
「くそ、開かねぇ。」
すると、隣のキャストが紙をカイトに渡した。
「それがこのアジトのマップよ」
「この地獄を終わらせられるのは私とあなたしかいない。私とこの世界をおわらせましょう」
カイトは反対しなかった。
「もちろんだ! まずここから脱出だな。あいつらぶっ潰してやる。」