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1-6 石持ち

「ぃよっと」


 ザシュッーー。


 俺は今日も今日とて、森でレベリングに勤しんでいた。

 たった今俺に真っ二つにされたのは、ミミズ型の『ワーム』と呼ばれる魔物だ。

 五メートルはあろうかと言う巨大ミミズ。

 頭部?には、大きく開けた口があり、そこには鋭く尖ったギザギザの歯が、粘液を滴らせながら自己主張をしていた。


「こいつは特に、保管(・・)しとく必要はないよな?」


 いつもなら、倒した魔物は俺の〈異空間収納〉に放り込んでおくんだが(後々、有効活用出来るかもしれないし)。

 〈異空間収納〉とは、読んで字の如く、異空間内に物を収めておくものだ。

 生きたままは無理だが、時間経過もしないので、いつ取り出しても温かいものは温かいまま。冷たいものは冷たいまま。

 なので、作った料理をすぐに〈異空間収納〉に入れれば、いつでも温かいまま食べられると言う優れものである。


 閑話休題。


 俺が、必要でないワームを燃やそうと手を翳したら、そこに待ったが掛かった。


 [お待ち下さい、トーヤ様。ワームの歯は、それなりの強度があるので、武具などに加工される事も出来ます]

「あ、そうなの?」

 [はい。ですから、念の為歯は所持しておいて損は無いかと]


 成程。

 本当、有能な相棒が居てくれて助かるよ。

 それじゃ、アシスのアドバイス通りに、ワームの歯だけ頂きますか。


 俺は、歯を切り取ると、ワームの死骸を、今度こそ〈火魔法〉で燃やした。


 さて、この後どうしようか。

 一応今日のノルマ(一日魔物を最低でも十体。気分が乗ればそれ以上を狩る)は達成したし、それなりにいい時間だし、そろそろ帰るかな。


 俺はそう思い立って踵を返すとーー立ち止まる。


「…………今、何か聞こえた?」

 [はい。確かに聞こえました]


 何かが聞こえた様な気がしてアシスに確認すれば、やはり何か聞こえたと、返答が来た。

 俺は、耳に魔力を通して聴力を上げて耳を澄ましてみる。

 すると、


 …………ーーミー。


 間違いない。

 とてもか細く、注意しないと聞き取れないくらい弱々しかったが、確かに何かの鳴き声が聞こえる。


 しかも複数……。


 動物か魔物か。

 何かは分からないが、その声があまりにも哀しそうに聞こえたので、気になった俺はそちらに足を向けてみる事にした。


 木の間を縫い、草をかき分けて、歩く事十分。

 少し開けた場所で目にしたのはーー横たわった一匹の獣と、そこに寄り添う様に傍に居た、五匹の小獣だった。


 ただの しかばね のようだ。


 つーか、大きい方は、確実に死んでる。

 横たわった獣の腹は大きく裂け、そこからは夥しい血が溢れだしていた。

 流れた血が草にこびり付き、所々変色し固まってる所を見ると、死んでそれなりに時間は経っていそうだ。

 そして、俺はその獣に視線を向けると、


「……石持ちか」


 額に嵌められた(・・・・・・・)()』を見て、俺はボソリと呟く。

 その額には、赤々と煌めく【宝石】が嵌め込まれていた。


 ここで一つ説明すると、魔物には、大まかに三パターン存在する。


 集団戦を得意とし、人間の様に二足歩行で武器を使ったり、物を作ったりとした、そこそこ知恵のある魔物。

 例えば、ゴブリンやオークなどだ。

 そいつらは、使う武器によって呼び名が変わる。

 剣を使うなら『ゴブリン・ソード』とか、弓を使うなら『オーク・アーチャー』だとか、種族名の後に○○と付けたりする。

 中には魔法まで使ってくる個体までいる始末だ。

 そして、その中にはキングと呼ばれる者が希に生まれる。

 こいつは通常の個体よりも一ランク、或いは二ランク強さが上がるので、脅威とされている。

 集団戦を得意とする魔物は、総じて個体数が多い。

 そうなると、必然的に集団を指揮する者が現れると言う話だ。

 なので、ゴブリンなどは、見つけ次第、極力間引く必要性があるのだとか。


 続いて、見た目は動物(または昆虫)まんまの魔物。別名、『魔獣』とも呼ばれる。

 これらは、【種族特性】があり、魔力がある。

 知恵は低く、物を使ってくる事は無いが、動物的本能が全面的に表に出ている感じがする。

 例えば狼型は、集団戦(四~五匹)で獲物(人間)を狩るし、猪型は単体でも突っ込んで来たりする(猪突猛進とは良く言ったものだ(笑))などだ。

 こう言った魔物は、その特性が種族名の前に付く。

 狼なら『○○・ウルフ』。蝙蝠なら『○○・バッド』となるわけだ。


 そして最後に、今目の前で横たわっているーー額に宝石を嵌め込んだ獣。

 この宝石を、【精霊石】と呼ぶ。

 その精霊石を持っている魔物は、何と〈精霊魔法〉が使えるのだ。

 そんな魔物を、別名【精霊獣】(または『石持ち』)と呼称するのだが、こいつらは、非常に個体数が少ない。

 と言うよりも、どう言った経緯(・・)で精霊獣になるのか、未だに良く分かっていないらしい。

 別にこいつらは、初めから精霊獣だった訳じゃない。

 ある日突然精霊獣になるそうなのだ。

 ただ分かってる事と言えば、動物のみ(・・・・)に精霊石が宿るとされている。


 一説によれば、通常の魔物は、既に『魔力』を用いた『魔物』としての『個』が出来上がっている為、まだ何者にも染まっていない、まっ皿で素質のある動物に、精霊が加護を与えているのではないか、と言う話だが、真偽は定かではない。

 そして、生まれてくる子供は、一般の動物だ。

 あくまで、精霊石を宿すのは、宿した単体であり、必ずしもそれが子供に継承される訳では無い。

 現に、母親?の傍に居る五匹の小獣の額には、精霊石は嵌ってないのだから。

 その為、精霊獣はとても希少価値が高く、その額に嵌め込まれた精霊石は、高額の値段で売買される。

 人間が精霊石を手に入れたからと言って、別に精霊魔法が使えるわけじゃない。

 それはあくまでも、精霊の加護を受けたもののみの特権だから。

 但し、精霊石は魔石同様に武具などにも用いられるが、基本的に普通(・・)のアクセサリーに使用する事が多い。

 精霊石は、純度の高い『宝石』でもあるからだ。

 なので、上流階級のご婦人方には、偉く人気があるらしい。

 そんな理由から、精霊獣の名称は、頭に『ジュエリー』が付き、『ジュエリー・○○』と呼んだりする。


 今目の前に居るのは、『ジュエリー・ホワイトタイガー』だ。


 これらを人間で置き換えるなら、ゴブリンなどは人族。

 獣などの魔物は獣人族。

 精霊獣はエルフ族と言った所か。


 因みに、『個』としての『質』が高い魔物が居る。

 例えば、武器は使うけど、単体で脅威とされる『ミノタウロス』。

 先程、俺が倒した『ワーム』。

 上半身は裸で下半身は蜘蛛の姿をした『アラクネ』。

 竜の劣化種とされる『ワイバーン』などは、別称は存在しない。

 これらは、『個』として既に完成されてるとされ、存在そのものが災厄級以上とされているからだ。


 見つけたとしても、戦いを挑むなど愚の骨頂。

 それなりの人数で、ちゃんと準備を調えてから挑むのが定石である。


 余談だが、変異体の『亜種』とされるものや、人語を解する【守護獣】なんてのも居たりするが、それはまた別のお話。


 閑話休題②


 さて、これ(・・)をどうするか……。

 俺は、死んだ母親に寄り添う仔虎達を見て、頭を掻いて悩むのだった。


因みに、『スライム』なんかだと【魔獣】の部類に入ります。一応……(笑)

名前が『○○スライム』ってなるので…………無理ありますかね?(爆)


この説明が不評だった場合、説明を変更します(←おい!)

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