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1-1 いきなり過去話(笑)

章のタイトルを決め兼ねています。

決め次第、タイトルを付けます。

 いきなりだが、俺の過去(前世)の話をしよう。


 俺には、両親がいない。

 いや、俺が生まれていたのだから、一応生みの親は存在した。

 けれど、父親の顔は元から知らないし、母親も今となっては、顔は朧気にしか覚えていない。


 母は、結婚もせずに俺を生んだらしい。

 どんな経緯だったのか、そこまでは俺も詳しくは知らない。

 ただ、母が良く言ってたのは、


「もっと早く気付いていれば、あんたを生まなくて良かったのに……」


 だった。

 これだけで、その後の大凡(おおよそ)の展開は予想出来るのではないだろうか。


 そう。所謂育児放棄と言うやつだ。


 食事は、良くても一日一~二食。その毎食が、コンビニ弁当だったり、スーパーでのお惣菜だったりだ。

 食事抜きなんてのもザラだった。

 お陰で、俺の体は、骨と皮だけのミイラと化していた。


 泣けば、「五月蝿い!」と怒鳴られ、殴られる。

 何か口を開けば、「黙れ!」と怒鳴られ、殴られる。

 そうして俺は、泣く事も、喋る事も無くなった。

 感情を表に出す事も無く、全てを諦め、毎日を『ただ息をしているだけ』で、蹉跎歳月(さたさいげつ)に過ごす。


 え?今と性格が違いすぎるって?

 その理由も今から説明するよ。


 俺に転機?が訪れたのは、俺が六歳位の時だった。


 その日も、いつも通り(・・・・・)母は帰って来なかった。

 男遊びの激しい母は、二~三日家を空けるのも良くある事だ。

 偶に思い出した様にフラっと帰ってきては、コンビニ袋だけ置いてまた出掛ける。

 しかし、その日は一週間経っても、中々帰って来なかった。

 流石の俺も、空腹には抗えず、冷蔵庫の中や、ゴミ箱にある残飯を漁っては食い繋いでいたが、それにも限界がある。

 (しま)いには意識が朦朧とし、俺は死が着実に近付いてきたのを実感した。

 ぼーっとした頭で、俺はベランダの扉を開けた。

 本来なら、母の言いつけで、ベランダに近付いたりしないのだが、生存本能に任せて誰かに発見されたかったのかーー理由は定かではない。

 何せ、頭が上手く働いていなかったから。

 兎に角俺は、ベランダの扉の鍵を開けベランダに出て…………そこで力を出し切ったのか、意識を手放したらしい。


 次に気が付いた時は、そこは|知らない天井(病院)だった。

 そこで知らされたのは、母の死。

 何でも、酔っ払って道路上で寝てた所、乗用車に轢かれて、ほぼ即死だったとか。

 自業自得と言うか何と言うか……その時の俺は、特に感慨も何も無かったけれど。

 それからは、あれよあれよと気付けば児童養護施設に預けられる事になったんだ。


 親戚?

 詳しくは知らないが、母は親族から破門を言い渡されていたらしい。

 そんな(ひと)の息子を、誰が好き好んで引き取ろうと思うものか。


 そんな訳で、俺は施設で過ごす訳なんだが、そこで俺は、最初(・・)の恩人とも呼べる人に会ったんだ。


 その人の名は『美波先生』ーー。


 ハッキリ言って、良い先生だったかと聞かれれば、即答し兼ねる。

 だって、まだ六歳やそこらの子供に、


「いい?常に人を意識しなさい。目や眉の動き、筋肉の強張りなど、余す所なく見なさい。全てにおいて無駄な事なんてないの。『見て』『感じて』、人の心の機微に敏感でありなさい。人なんて、思ってる以上に単純な生き物なんだから、懐に入ってしまえばこっちのもの。だから…………生きる為に自分を偽ってでも、他人に取り入りなさい」


 なんて言う人だよ?

 美波先生は、外面はとても良かった。

 笑顔も素敵な人だったし、他の子供達にも、とても優しかった。

 けれど、俺と二人っきりになると、今までのが嘘の様に、感情が抜け落ちて能面になり、そう(さと)してきたんだ。

 理由は至って単純。


 俺と美波先生が『同じ』だったから。


 だから、美波先生は良く言ってた。


「人は一人じゃ生きていけない。特に子供はね。大人だって、多少なりとも自分を偽って周りに合わせていかなきゃならないの。だけどね、私はいつか、その『嘘』が『真実』になるって信じてる。だから、私は別に無理して笑顔を振り撒いてる訳じゃないのよ?」


 美波先生からは、色々学んだ。

 先ずは喋り方。

 幼稚園も行かされず、碌に喋る事もしなかった俺は、舌足らずであまり上手く喋る事が出来なかったんだ。

 だから、滑舌や発生練習から始めた。


 次に口角の上げ方。

 つまりは、笑顔だね。

 こっちも、ずっと笑う事も泣く事もしなかったせいか、筋肉が強ばって、上手く動かせなかったんだ。

 正直、こっちの方がキツかった。


 後は人を観察する(すべ)など。

 勿論、観察すると言っても、ただ人をジッと見つめるなど、ただの怪しい人にしか見えない。

 だから、常に他人からは俺が自然体で見える(・・・)様に、工夫しながら人に接するやり口も教わった。


 それが功を奏したのか、俺は十歳で児童養護施設を出る事が出来たんだ。


 俺を引き取ってくれた養父母は、優しい人達だった。

 今思えば、俺はその人達にさえ、完全に心を許してなかったんだと思う。

 だって、二人は俺の『笑顔が好き』だと言ってたから……。

 今なら自然に笑えるだろうけど、当時の俺は、完全に『作り笑い』をしていたのだから……。

 だからこそ、尚更俺の『真実』を見せる訳には行かなかったんだ。


 それでも、養父母には感謝しているし、二人の事は俺は好きだよ。

 ここまで育てて貰った恩もあるしね。


 けど、やっぱり感謝と言うなら、あの二人(・・)には叶わないかな?

 一人は当然、美波先生。

 養父母に引き取られる事が出来たのも、美波先生が色々指導してくれたお陰だ。


 もう一人は…………ここで話すのは今は止めておこう。

 それはまだ、俺の胸の内にしまっておきたいから。

 (いず)れ機会があれば、話すのも(やぶさ)かではないけど。


 そんな訳で、過去(前世)の俺も色々あったわけですよ。

 あ、因みに、今の俺のこの性格は素だからね?

 そこは間違えない様に!

 ちょーっとばかり『黒い部分』もあるけど……そこはまあ、ご愛嬌と言う事で!(笑)


 では、俺のこれからの第二の人生(異世界生活)を、暖かい目で見守って下さいな!










 […………………………トーヤ様、一体どなたに話し掛けておられるのですか?]

「………………てへっ」


そんな訳で(どんな訳だ!(笑))、まあ、主人公にも色々あった訳ですよ。

そんな暗い過去を持った主人公でも、ちゃんと過去を乗り越えて、頑張ってるのだと伝えたかったのでふ!(笑)


因みに、これが元々の主人公の性格です。

過去の事情から、感情を抑制していましたが、それが無くなれば、明るくポジティブな性格をしています。

本編にある様に、若干『黒い部分』もありますが…………そこは、本編でご確認あれ!(笑)


それにしても、人間観察って難しい(作者は、人間じっくり見た事ないから(爆))。

どう表現すれば良いのか迷いまくった。

ネットで調べようにも、どう検索すれば良いかも分からんし…………何かアドバイスとか意見とかありませんかね?(笑)

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