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プロローグ①

※【短編版】からの【連載版】になります。

初日は、続けて三話投稿です。

 気がつけば、真っ白い世界にいた。


 …………って!何処のラノベだよ!


 と、つい内心ツッコミを入れてしまう。

 だって、実際辺り一面、真っ白い世界なのだから、他に表現のしようがないから仕方ない。

 ただし、俺が今まで読んできた異世界(転移・転生)もののラノベ(知識)とは、一風変わってる感じがする。


 周りを見渡してみると、机と椅子が並び、正面には教卓。

 そこはまるで、さながら教室の様だ。


 その椅子には、老若男女問わず、幅広い年代の人達が、行儀良く座していた。

 斯く言う俺も、その椅子に腰掛けている。

 と言うより、まるで椅子に縫い付けられてるかの様に、椅子から立ち上がる事もままならない状態となっているのだ。


 そんな状況に、大半が困惑気味な顔をしていたり、何事かを喚き散らしたりしているが、俺は自分でも驚く程落ち着いていた。

 それは、やはりラノベの恩恵?か、特に取り乱す事もなく、自分は死んだのだと、その事実をすんなり受け入れていたので、慌てずに周囲を観察出来る余裕まである程だ。


 そこで、ふとある事(・・・)を思い出し、俺はもう一度周りを見渡す。

 目に映る範囲だけでも、ざっと千人はいるだろうか。

 俺の席の後ろにも人が座っているから、正確な人数は測れないが、少なくとも、俺の視界には彼女(・・)は見当たらなさそうだ。

 その事に、少しだけ安堵の息を吐く。


 どうか、彼女(・・)は無事でありますようにーー。


 俺がそんな事を考えてると、どこからともなく足音が近づいてくるのに気付く。


 俺はそれに反応し、顔を正面に向ける。

 この場に居る全員は、席に着き立ち上がれない状態。

 となれば、今立って歩ける人物が居るとするなら、それはーー。


 視線の先には、正面にある教卓に近付く、一人の青年の姿があった。

 白いスーツに身を包み、猫背で黒紫の髪が目元まで隠れた、何処か陰鬱とした青年。

 他の人達も、突然現れた彼を、戸惑いながらも目で追っていた。

 イメージしてたのとは、少々違ったが(普通、来るのはロリ美少女女神じゃないのかな?)、まあ今はそんな事を気にする場面ではないだろうと、改めて気を引き締める。


 彼が、教卓の所まで歩くと足を止め、此方の方に体を向ける。

 瞬間、


 ゾワリーー。


 鳥肌が一気に立つのが分かった。

 俺は自慢ではないが、人の顔色を伺う(・・・・・・・)のが昔から得意だった。

 人の僅かな感情の変化なども、機敏に感じ取れた。

 だからだろうか?

 時々『感』などが冴え渡る時が、良くあるのだ。


 この人と接する時はこうしよう。

 これをすれば、この人は喜ぶ。

 これをすれば、この人は怒る。

 これをすれば、この人は傷付く。

 自分と相性の悪そうな相手でも、相手のご機嫌を取るのもお手の物だった。


 上司の受けも、それなりに良く、しかし、そんなんだから、俺は周囲から『八方美人』などと言われてるのも知っていた。

 けれど、そのお陰で、俺は人と衝突らしい衝突は一度もした事がない。


 だからこそ言えるのだ。

 今目の前に居る相手は、俺が今まで見てきた中で、一番『ヤバい』相手だと。


 青年が、ゆっくりと口を開けた。


「……初めまして、皆さん。私は、今回の『試験官』を務めさせていただきます、リュシエクスと言うものです」


 その声は、お世辞にも大きい声ではなかったと思う。

 それでも不思議な事に、その声は、すんなりと俺の耳にまで届いた。


「さて、皆さんは何故自分達がこの様な場所に居るのかと疑問に思われてるかと思いますが、単刀直入に言います。貴方方は…………お亡くなりになりました」

「「「「「ッ?!」」」」」


 自分は試験官だと名乗った男の告げた言葉に、息を呑む者、唾を撒き散らして罵声を浴びせる者、涙を流す者、愕然とする者、俺と同様に、薄々現状に気付いていて比較的落ち着いてる者。

 皆が各々の反応を示す中、試験官のリュシエクスと言う男は、気にもとめた様子もなく続けた。


「皆さんの死因は、皆さんが一番良くお分かりでしょう。皆さんの県を中心に、震度七強の地震が発生しました。その為、家屋が倒壊して押し潰されたり、火事に見舞われたり……まあ、様々な要因で、今皆さんはここに居るわけですね。ですが、皆さんはある意味運がいい。もう、お気づきの方もいるかと思いますが、今回貴方方にはチャンスが与えられました」


 そう言って、リュシエクスは手をひと振りしてみせた。

 すると、今まで机の上に何も無かったと言うのに、突如ボールペンと紙が現出する。

 紙には、こう書かれていた。


 ーー『転生テスト』ーー。


 最初の一問には、


 “Q1.転生出来るとしたら、次の内何処に転生したいですか?”


 と記されており、それが片面十問の裏表あり、五枚の問題?用紙だ。


「普段でしたら、死者には問答無用で、【輪廻転生の(はかり)】に掛けられて、転生者を選別すると共に、容赦なく記憶を消去して現世に送り返すのですが……如何せん、今回の様に人数が多いですと、此方の都合上、時間も手間もかかって、少々面倒なんですよね」


 リュシエクスが、苦笑混じりに告げる。


「これだけの大災害ですと、皆さんの地区以外にも死者は多数おります。それらを、我々が分担してこの様な形を取らせて頂きました。その問いに素直にお答え下されば、転生する方とそうでない方を分ける事が出来る仕様となっております。あまつさえ、記憶を保持したまま転生出来るかもしれませんよ?では、お書き下さい」


 つまりは、これの回答如何によっては、転生出来ないかもしれないと……。

 そっちの方がシビアだな。

 何せ、自分次第で転生出来るか出来ないかが決まって来るのだから……。


 リュシエクスは、最後にそう締め括ると、今だにギャーギャー喚いている受験者?の言葉を何処吹く風で聞き流し、椅子に座って雑誌を広げ始めた。


 神様(でいいのか?)でも、雑誌なんて読むんだな。


 そんなどうでも良い事を考えつつも、俺は問題用紙に視線を移し、ペンを取る。


 さて、俺も真面目に書くとしますか。


 “『質問には、どれか一つお答え下さい。理由もありましたら、お書き下さい。』


 “Q1.転生出来るとしたら、次の内何処に転生したいですか?

 1.現世界

 2.異世界

 3.どちらでも良い


 A.3

(理由︰転生させてくれるなら、どちらでも構いません。)


 Q2.転生出来るとしたら、性別は次の内どれですか?

 1.男

 2.女

 3.どちらでも良い


 A.1

(理由︰出来ればで構いません。ラノベの様に、もしも前世の記憶を持って産まれるとしたら、男なのに体が女だったら困るので。あ、でも記憶を消すなら、3のどちらでも構いません)


 Q3.試験官の第一印象は?

 1.イケメンでカッコイイ

 2.陰湿で根暗そう

 3.どちらとも思わない”


 これには、少し考えてから……


 “A.3

(理由︰見た目は陰湿で根暗そうに見えますが、何処か違和感を感じたので。理由は分かりません。)


『Q1で、2と3を選んだ方はお答え下さい。』


 Q4.転生出来るとしたら、記憶を維持したままが良いですか?

 1.あり

 2.なし

 3.どちらでも良い


 A.3

(理由︰Q2の理由でも書いた理由と同じ感じで、正直どちらでも良いと考えています。)


『Q1で、2と3を選んだ方はお答え下さい。』


 Q5.転生出来るとしたら、次の内どれを望みますか?

 1.人間

 2.亜人(エルフや獣人など)

 3.その他(動物or虫or植物)


 A.1

(理由︰人間と亜人、どちらでも構いませんが、流石に虫とか植物はちょっと……汗)


『Q1で、2と3を選んだ方はお答え下さい。』


 Q6.特別な能力を得るとしたら、どれを選びますか?


 1.戦闘系(剣士や魔法使いなど)

 2.生産系(錬金術師や鍛冶師など)

 3.その他


 A.3

(理由︰能力を頂けるなら、何でも構いません。その能力で、ただ精一杯の努力をするだけです。)”


 こんな感じで、初めは転生するならどんな感じが良いかの問題が続き、


 “Q23.崖に吊るされている人が居ます。助けられるのは一人だけ。貴方ならどちらを助けますか?

 1.家族(父・母・姉(妹)・兄(弟))

 2.恋人(或いは夫(妻))”


 …………………………


 “A.2

(理由︰俺には家族が居ないので、正直分かりません。なので、2を選びました。)


 Q24.銀行強盗が、人質を取って立て籠っています。しかし、誰かが身代わりになれば、その人質を解放すると言っています。貴方ならどうしますか?

 1.身代わりに立候補する

 2.身代わりに立候補しない


 A.2

(知り合いや大切な人、自分にとって益になる人なら考えますが、それが全くの赤の他人なら、少々躊躇われます。)”


 まるで、某ニュース番組の『究○クエス○ョン』の様な問題だったり。


 一風変わったものとなると、


 “Q58.貴方は犬派?猫派?”


 え?それ転生に何か関係あんの?みたいな問題まであった。


 一通り書き終わると、書き忘れがないかどうか見直し、ふぅと息を吐き出した俺はペンを置く。

 すると、恰もそれが合図だったかの様に、唐突に俺の意識は暗闇に閉ざされていった。


【短編】より


『究極クエスチョン』→『究○クエス○ョン』に修正。

伏せ様と思って忘れてたんですよ(汗)

なので、此方では伏せさせていただきました!(笑)


後、リュシエクスの髪色を、『黒』から『黒紫』に変更しました。

細かいですが、何となくです。すみません(笑)

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