表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私が黙ってれば毎日がもう少し穏やかになるんじゃないかと思ってきた

作者: のあたそ



なんかある。


いやなんか目の前にある。


午前9時を指す壁掛けの時計を一瞥してから、少女は朝食の時間であることを確認した。


そして視線は眼前に向かう。



なにこの黒いの。いやマジで。


「アルル~?どうしたのよ。ご飯、冷めちゃうわよ」


名前を呼ばれたアルルは台所に立つ姉、リアを虚ろな様子で眺めた。


え、これ食べ物なんですか。べちゃっとしてますけど冷めるものなんですか。もしかして食べたら私が覚めちゃう的なオチですか。


「いつもはお母さんが作ってくれるのに、どうしてお姉ちゃんがやらかしたの?」


「お母さんは毎日家事で忙しいから、たまには私が手伝ってあげなきゃ、ってね。あとお姉ちゃんに当たり強くない?え?嫌なの?」


腕を回して自慢気だったリアは言葉を紡ぐにつれて表情に不安が募る。


「ちょっとお姉ちゃん先に食べてよ」


いつかのお偉いさんは、部下に自身が食べる食事を少しだけ与えて、摂取するにあたって問題がないか確認をしていた。知らんけど。ここではやべぇ朝ごはんを作られた私は被害者だから、なんか強さ的にはあちらに毒味をさせる権利はあるでしょ。知らんけど。


「な、なによ!見た目は悪いけど、味はとってもいいんだから!」


私の言い方から、自分の作った食事に難を付けられたと察したリアは、憤然たる態度で自分のスプーンを取り出す。


「上手に出来たのに、このパンケーキ!」


あっこれパンケーキだったんですね。てっきり泥団子かと思ってました。あと私の記憶だとパンケーキってフォークとナイフで食べるものなんですけど、どうしてスプーンなんですか?パンケーキ汁なんですか?形状間違えてますよ?


見てなさい、と言わんばかりにパンケーキ(汁)をすくいとったリアは、それ(汁)を口に運ぶ。


「お姉ちゃんが食べれたら、アルルもきちんと食べるのよ」


いやアンタ確証ねーのかよ。もっと自分の料理に自信を持てよ。つーかそんなん(汁)しか作れないなら最初から控えとけよ。お母さん助けて私を苦しめるのかよ。


「ほら、いい匂いだし。いただきまーす」


リアは泥団子(汁)、じゃねーやパンケーキ(汁)を口に流し込んだ。




初めてだった。救急車を呼んだのは。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ