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宗教の話

作者: DJ克明

 実は私の妻は創価学会員である。それは妻と結婚する際に(妻の)お父さんと「条件」として約束したことであった。

 お父さん「仏壇も二人の家には置かないし、活動もさせない。ただ、『入っておくだけ』そうさせてほしい。これはうちの家の代々にまつわることだから」という約束をお父さんとした。

 そして、私はというと「自分の考え方を持っていたい(その宗教の考え方に委ねたくない)」という安直な理由で、その宗教にはいまだに入っていない。それは彼女も彼女の両親も了解済みではあるが、やっぱり彼女には申し訳ないというか、気持ちを考えると不憫なんだろうなあと思うこともあるし、あるいは、私はある種の罪を犯しているのかもしれない、入るだけでよいのにそれさえしない裏切者かなどと考えることが多々あり、それでもやはり(嫁には悪いけど)創価学会に入ることがどうしてもできないでいる。


 だからと言って、私は宗教学そのものに対して無頓着というわけでもなくて、キリスト教や日蓮宗の法華経というものに関してはそれなりに勉強も積んだし、それなりに信じてはいる。例えば、僕の文学の主張である『正義』という概念は聖書の一節ですべて説明が済んでしまうほどである。法華経は宮沢賢治から学び、法華経三原則のうちの「権力に近づいてはならない」というのには感銘を受け、今でも守り続けている。しかし、そのことが妻への罪の償いになるかどうかと言えばならない。それはもう後生であると言わねばならない。私という人間性はこんなであるからしてしょうがないと言えばしょうがないのだが、入信しないということも嫁も承知して結婚したのだ。


 ちなみに創価学会員(以下、学会と略します)というものはいろいろ人生に特典があって、例えば、同じ団地に同志(同じ学会員どうしのことをこう呼ぶ)がかなりたくさんいて、何かと相談も乗る人が多いし、なにか体の具合が悪くなると、心配して見舞いに来てくれたりする。しかし、それよりも何よりもSNSのつながりの効率の良さが群を抜いていて、同じ宗教コミュニティーで検索して、書き込みなどをするとすぐ相互同士のフォロワーができあがる。SNSの宗教版みたいな感じである。なんしか信者同志のつながりが本当に多い。ここが入ってない者(僕)から客観的に視て、お得な点であると思われる。


 しかし、個人的に一つ問題があるとすれば、人によって入信させようと「誘ってくる」人がいるということで、私も妻も知っているある友人に学会に入るよう強要されて、ストレスから紫斑病(やや危険な病気)を患い、てんてこまいにあった経験があった。まあ、入信している者からすれば、「こんないい宗教はないのだから、誘った方が相手が幸せになって、断然良い」という思想からなのだろうが、入信していない者からすれば、「話を聞いているくらいがちょうどいいのに誘うのは卑怯じゃないか。断りづらいから迷惑なんだけど」ということになる。

 たぶん両者の思いは正解が半分半分なんだろうと思う。この問題は、今現在の時点では「非常に難しい問題で、解き得ない問題である」としてしかいうことができないであろうと思うのだ。その宗教に入っている者と、入っていない者とでは立場というか、考える環境が違いすぎるのだ。


 そういう経験から、なおさら僕は嫁の宗教に入信することができなくなっていった。でも、最近はもう嫁もそのことはなんとも思っていないらしく、私のことを信じてくれている。その代わり、私も彼女のことを信じているし、そこには宗教の「壁」など微塵も感じられないくらいになっている。私は嫁を愛している。それはこんな僕なんかの面倒をわざわざ見てくれているから。これはありがたいことだ。私たち二人の愛についてはどんな神をも介入することは許されぬのだ。たぶん、これは嫁も同じ思いだと思うが、あまりおのろけになってしまっても、まずい気がするので、これで退散するべきだと思う。皆様、これからもこんな偏屈な僕をお許しくださいませ。宗教については、科学も信じるかどうかだし、また宗教も信じるかどうかだと思います。「信じる」も「科学」も考える時は必ず観念におおわれているものです。しかし、その観念こそが「真理」をも導くであろうとも思われます。そのかわり、一心に勉強をするのです。そうなったら、もう一歩世界は平和に近づくだろうと思われます。とにかく、どこまでも真っ当な人間になれるよう精進してまいります。それでは失礼します。

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