その3、住人の皆さんに会いに行こう!前編
お久しぶりです。
前回から更新が少し遅れてしまいました。
にもかかわらず、
今回は少し前回に比べ短めとなっております。
あとがきにてちょっとしたお知らせがあるので、目を通して頂ければと思います!
それでは本編へ!
アパートに戻ると、二階廊下に人影が見えた。
「あら、あいつ珍しいわね。外でてるなんて」
ライラ……いやもうアリスか。
アリスは意外そうに呟く。
外に出るのが驚くほど珍しいなんて、どんなニートだってんだ。
「……おーい!狼さーん!!」
「狼!?」
赤ずきんが笑顔で手を振る。
狼?
いや、僕が見たのは確かに人影。
狼なんかではなかったはずなんだけど…。
…と、その人影がむくりと起き上がり、手すりに手をかけた……かと思うと。
「飛び……おりたぁ!?」
飛び降りた。
そして着地した。
……まるで獣のように綺麗に、そして静かに着地したその人影は、近づくにつれて姿があらわになっていく。
フードをかぶった……人間、だよな。
「赤ずきん!お前また外に出たな!?危ないから俺を呼べって言ってるだろ!?」
その人物は、どうやら男のようだ。
僕らの目の前にやってきたかと思うと、赤ずきんに向かって説教を始めた。
……赤ずきんと、仲いいのだろうか。
「でも今日は2人もいたから~」
「あ?……なんだこの弱そうなの……こんなんがいたところで変わんねぇだろうが!アリスだって力あるわけじゃねぇし!」
「弱っ……!?!?」
突然ふりかけられた見下しの言葉に、思わず大きなリアクション。
大分…、毒舌で当たりの強い人のようだ。
そして、赤ずきんに過保護。
「…あのねぇ。ごめんねルイン君。こいつは気にしないで、悪口しか言えないの」
「あ、あぁ…別にいいよ、僕は気にしてないし……」
「ただ……ここに住むってことは、…ある程度覚悟した方が……いいかもね」
アリスはチラッと深刻そうな顔をした。
しかし、さほど気にするな、といった口調で
「さ!次いこっか」
と向き直す。
「つぎはここね。」
先ほど狼、とやらがいた場所の横の扉へと、アリスが進む。
そして優しくドアを叩いた。
キィ……
と、遠慮気味にドアが開き、中から綺麗なウェーブのかかったボブヘアの少女が現れた。
「……あっ、アリス!」
「どうも、グレーテル。元気してた?」
グレーテル……?
今度はヘンゼルとグレーテルの話の子か。
髪の色は淡い黄緑だが、服装から何までらしさを引き出している。
「うん、……あれ?その人…だれ?」
少し怯えたような声で、僕を呼び指す。
……まぁそりゃ、突然家に知らないやつが来たら怯えるよな。
「彼はルインというの。新しいここの住人よ」
「新しいひと…!久しぶりだね!」
「えぇ、そうね。ヘンゼルは?」
アリスの問いに、グレーテルはあっと声を上げた。
「山に木の実取りに行ってるの!今日の夜ご飯に使うんだって。私もあとから行くの、すっかり忘れてた……」
またやってしまった、と言わんばかりに舌を出す少女。
私行くね~、と小さなポシェットを持ち、部屋をあとにした。
そして僕は、率直な疑問を口にした。
「……ここに山ってあるの?」
部屋の外を見てみる。
僕らが入ってきたアパートの入り口。
無論その先には、いつもの街が広がっているわけだが、僕が住む街に山なんてないし、まず緑が少ない。
木の実が取れるような木が生えているなんてことは無いだろう。
ならばアパートの裏は、とベランダの端に身を乗り出してみる。
しかしそこには小さな公園のような場所があるのみで、まず第1に山なんて大きなものが入るほどの土地がない。
……そして、先ほどの少女は既にどこにも見当たらなかった。
「……ルインくん?」
どうしたの?と、アリスがこちらにやってくる。
アリスは何でも知っている。
わけのわからない場所で、何もかも分からないままでは気がすまない。
「あの、ここって、さ……その、なんか、魔法扉的なな何かとか……あるの?ドラ〇もんのどこ〇もドアみたいな……あ、いや、あの、そ、そういうんじゃないからね!?僕の趣味とかじゃなくて!」
「…あはは、ルインくん面白いね。そんなこと思いもしなかったわ」
「……と、いうと…?」
アリスは人差し指をまっすぐ伸ばすと、アパートの階段を指さした。
何の変哲もない、しかし言ってみればところどころ傷ついていて古びた感じが出ている。
「ルインくん、ここから走って、あの階段の横にある柵を飛び越えてみて?」
御閲覧、ありがとうございます。
今回は前編ということで、このあと後編にてまた新しいキャラクターたちが出てくるわけなのですが、その前に、前編と後編の間で登場人物紹介を行いたいと思います。(すべてのキャラクターではありません)
現時点で登場している人物+後編で登場する人物の紹介を行います。
よろしければ人物紹介もどうぞ!
(ネタバレが気になる方は、後編が投稿されてから紹介を読むことをおすすめします!)
それでは、また次回!