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童話アパートへようこそ!  作者: しゅあ
3/4

その2、目的と現実と本来の姿

こんにちは、3日ぶりくらいに更新いたします!

今回までは前回同様の3人でお送りさせていただきます。

誤字、脱字などありましたら申し訳ありません。

「おっはよー!!!」


シャッ、とカーテンが開かれ、何者かが勢いよく腹の上にダイブをかます。

とんでもない不意打ちの激痛に、思わず死を覚悟した。


「ふぐっ!?な、な、なに、何なの!?」


「あはは、起きたね!おはよう!」


激痛を感じた腹の上には、昨日の赤ずきんが楽しそうな表情で座っている。


「いや、なんで入ってきてるの!てか、何で入れたの!何これ、新種の寝起きドッキリなの!?」


絶え間なく溢れ出てくる疑問が、次々に口に出てしまう。

カーテンが開いたことで、朝日が差し込んできていることから朝には間違いないのだろう。

……いや、問題はそこではない。

この子はなぜここにいる。

その前に…、鍵は閉めたはずなのに、どうやって入った。

そして、一体これはなんの行事なんだ。


「どうって……鍵しまってたからちょっと爪楊枝でいじくっただけだけど…」

「それピッキングだろ!?ってかピッキングに爪楊枝使うんだ!?ってかピッキング!?」

「朝から賑やかな人だなぁ」

「いやどっちが」


はぁ……と小さくため息をつく。

この時点でおそらく夢ではないんだろう。

……一夜を明かしても目が覚め無いわけだし、

…なにより…………

……痛い。


「こら赤ずきん、またルインくんを困らせて。ごめんねほんと。赤ずきん、あんたもアイドルだってんならこっちでもちゃんとしてよね」


またしても無断訪問してきたアリスに言われ、「え~でもなぁ~」と赤ずきんはぐちぐちと呟く。


……?

…………ん?


「……アイドル……?」


アリスは、知らなかったのね、といった顔をして僕を見た。

この子がアイドルとは、どうやっても理解し難い台詞だ。

「あのね。あなたきっとここの住人のこと、へんな奴らだと思ってるでしょう」

「…………すいません」

「でも、ここを出たら普通の一般人だから」

「へ?」


一般人、とはどういうことだろうか。

まさか、ここを出たらこの人達が突然平凡なサラリーマンに変わるとか……?

いやいやいやいやいや!!!

流石にそれはないよな?

そんな夢もクソも無いようなもん見たら、夢でも僕は女の子を信じられなくなる。


「……外、出てみる?」


アリスは玄関の方を向きながら、投げかけてきた。

…どうか、この想像が当たりませんように。




「外かぁ~!やったぁ!」


赤ずきんは大喜びで「支度してくるね!!」と駆け出していく。

あの格好で一体なんの支度をするというのだろうか。







「……じゃ、まず私から行くわね」


そういって、アリスはアパートの敷地から完全に出る。

……あれ?別に何も変わってないような…。


「ほら、赤ずきんも」

「うん!」


続いて赤ずきんも。

…やっぱり、特になにも変わっていない。

一般人っていって、まさかあの格好で普段過ごして…


「ルイン君も。早く」

「え?あ、……」


恐る恐るだが、自分も敷地から体を離した。

その瞬間、一瞬だけ視界がグラリと揺れる。

意識が飛びそうになるのを堪え持ち直すと、そこには見知らぬ2人の少女が立っていた。


「…………ん?」


「ルイン君、外でも中でも変わんないのね」

「ほんとだー!」


……まさか。

…まさかとは思うが。

このふたりが…………。


「……あの、2人は……赤ずきんと……」

「アリス。疑ってるってこと?」

「いっ、いいいいえ断じてそんなことは!?」

「あはは、面白いね~」


そう簡単に、信じられるようなことでもない。

僕の二つ目に映っているのは、さっきとは全く違う雰囲気の、ツインテールに制服を着た高校生くらいの少女と、髪の毛をおろし地味な服を着た少女。


「あと、アリスと赤ずきんはあっちでの名前。私はライラって言うの」

「ん?アリス?ライラ?お、おう……」

余計ややこしくなってきた。

姿は違うわ名前も違うわ、……ほんと、どうなってるって言うのだろうか。


「あのね、私はシェノっていうの!」


「シェノ……?シェノって、どこかで…」


その名前には、聞き覚えがあった。

知り合いではないだろうが、何処かで耳にしたことのある名だ。


「だから言ったでしょ、シェノはアイドルだからそりゃ知ってるだろうね」


「あっ……!」


そうだ、最近やたら世間を騒がせているという、人気急上昇中とかいう天才アイドル……シェノ。

歌もダンスも完璧で、他人への気遣いも完璧なんだとか。

……いや、さっきまでのを見る限り信じられないけどな。


「私たちはね、アリスや赤ずきん本人じゃないの。その、生まれ変わりなのよ」

「生まれ変わり……?」

「そう。本当はそんなもの必要ないんだけれど。何だかね、童話のお話をめちゃくちゃにいじる奴が現れだしたらしくて。童話の登場人物達は、その世界から消されちゃったらしいのよ。それで、私たちに生まれ変わった。生まれ変わりの私たちは、この連鎖をとめて、童話の物語を元に戻さなくちゃならない」


アリス……いや、ライラの顔つきは真剣そのものだった。

嘘ではないのだろう。

…しかし、どうしたものか。

この2人は、確かに童話のアリスと赤ずきんの生まれ変わりらしいが、僕は。

僕は別に、生まれ変わりでもない。

いや、もし仮にそうなのだとしても、そんな記憶はないし、このアパートに入っても姿が変わらなかったのなら、生まれ変わりではない、そういうことなんだろう。

……だとしたら、僕はどうしてここに呼ばれたんだ?

第一、こんな非現実的な場所に普通の人間を連れ込んだって、何ら力にもならなければ解決に向かうこともない。

いや、そもそもこのアパートとこの人たちはいつから……。


「……真剣ね、ルイン君」

「…いや別に……」

「私たちもね、最初は何にも知らなかったの。ある日突然、フードをかぶったシレーナって女の子に会って、ここの鍵と、今の話を聞かされてね」

「え?そうなのか……」


シレーナ。

彼女は一体何者なんだろうか。

どうして、僕に鍵を渡したのだろうか。

ライラの話によると、今現在このアパートには、僕ら三人を含め9人の住人がいるという。

僕以外は、全員童話の登場人物達の生まれ変わりなんだとか。


「……まぁ、あんまり深く考えなくていいわよ」


ライラがそう呟いたところで、僕はとある……というか、1番重大な疑問に達した。


「ねえ、君たち、ここにいるあいだ家の人とか生活、どうしてるわけ?」


そう。

時間の経過についてだ。

僕は家もなく、昨夜何事もなくここで夜を明かしたが、ほかの人は。

家庭を持ち、日常生活をもっているだろう。

特に聞く限り、シェノなんてアイドルだというじゃないか。

国民的なアイドルが、何日も何日もここで過ごしていたなんて言ったら、家族はおろか業界やマスコミ、警察が大騒ぎになるはずだ。

そんな疑問を打ち明けると、ライラはそれが当たり前かのように、

「だって、ここは時間なんてないもの」

と告げた。

「時間が……ない?」

そんなはずはない。

だって、現に僕らは夜をこのアパートで明かしたのだ。

確かに、時間は経っていた。

「考えてもみて。ここは童話の世界。現実に時間の経過なんて、何にも影響しないの。"ここの中の時間"は経つけど、ここでいくら時間が経とうが、現実の世界は1秒たりとも進みはしないわ。だって、"いる次元が違う"んだもの」

「…………」

ライラの話は、今の僕でなければ理解しきれていなかっただろう。

童話の世界。違う次元。それぞれでの時間の経過。頭が狂いそうだ。

「私たちは、ここでやるべき事をおえない限り…家に帰る訳にはいかないの」

「……どうして?」

「…だって、これは……私たちの、問題だから」

「ねえねえ!難しい話はよしてさ!みんなに挨拶しにいこうよ!ルイン、まだ私たちしか知らないでしょ?」

突然、さっきまで黙って話を聞いていたシェノが、そう提案した。

……たしかに。

今はどうせ、理解出来ないんだ。

これからお世話に……なるであろうここの住人達に、挨拶でもしておくのが、今の僕がやるべきことなんだ。


「よーし!!それじゃ、戻ろっか!!」

ご閲覧、ありがとうございました!

次回からはどーんとキャラが増えるので、

次回は本文投稿の後、登場人物紹介の会を作らせていただきます。

それでは、また次回!


4/22 サブタイトル脱字修正

ご迷惑をおかけしました。

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