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De-Intellectualization (知性化解体) シリーズ

サルとヒトとブライトと (「進化の渦の中で」外伝? もちろん遊び)

作者: 宮沢弘

 ここではホモ・サピエンスを3つに分類を試みてみます。ですので、サルというのは猿の意味ではありません。ブライトについては「進化の渦の中で」の「31年め」[*1]あたりをご覧ください。


 もしあなたが、「1年後、私はどうなるだろう」と考えるのであれば、あなたはサルだとしましょう。

 もしあなたが、「10年後、私たちはどうなるだろう」と考えるのであれば、あなたはヒトだとしましょう。

 もしあなたが、「100年後、人類はどうなるだろう」と考えるのであれば、あなたはブライトだとしましょう。


 この三者は実際には何が違うのでしょうか。

 一つには「1年」、「10年」、「100年」という違いがあります。

 もう一つは「私」、「私たち」、「人類」という違いがあります。

 もちろん、これらは便宜的に設けた区別です。例えば「10年」ではなく「30年」かもしれません。ですが、そのオーダの違いは無視しています。また「私たち」も、家族と友人くらいとしておきます。また常にそうだということでもなく、考える際の基点がどこかという話でもあります。

 問題は、それらの個別の表現ではなく、オーダです。個別の表現の間の違い以上にオーダとして違いがあるでしょう。10年は1年が10個集まったものではありません。1年めが2年めに影響を与え、1年めと2年めが3年めに影響を与えとなるからです。

 また、この三つには書いてはいませんが、あなたにとっての「世界」も問題となります。「私」-「1年」、「私たち」-「10年」、「人類」-「100年」と「世界」の広さはおそらく相関するであろうと思います。「世界」という言葉を使いましたが、これはその人にとっての「社会」と言っても、ひとまずはかまいません。ただし、それはわかりやすさとして「社会」と言ってもかまわないということであって、実際には異なります。というのも、想像の世界、可能世界も含むものと考えて欲しいからです。ホモ・サピエンスの脳の大きさからは、150人くらいからなる社会が、個人が把握できる世界の大きさと言われています。なので試しに、ヒトの世界は「150人」-「現実」としてみましょう。これに想像の世界や可能世界を入れると、やはりオーダが異なってきます。

 「私たち」を「150人」-「現実」と分解してみたので、それに沿って少し書き換えてみます。


 「私」-「1年」-「目の前」を基点に考えるのがサル。

 「私の周囲の150人」-「10年」-「現実」を基点に考えるのがヒト。

 「人類」-「100年」-「数多くの世界」を基点に考えるのがブライト。


 例えば、地球温暖化にしても、原子力にしても、他の何でもかまいませんが、「孫に地球を残せるか」的な言われ方がすることもあります。孫は2世代後。今の私も入れると3世代。大まかにそれで100年程度になります。[*2]

 では、これはブライト枠に入るのでしょうか。明らかに入りません。というのも100年を基点にしているのではなく、100年が想像の行き着く先だからです。


 このサル、ヒト、ブライトは優劣ではありません。優劣を越えた先において到達する違いにしかならないでしょう。


 では、なろう的に活字を基にしてサル、ヒト、ブライトを考えてみようと思います。それぞれの基点から主に何を読むのかに注目すると、次のように言い換えることができるかもしれません。


 新聞、週刊誌を読むのがサル

 文学、恋愛、学園などなどを読むのがヒト

 SF、ファンタジー、風刺小説、つまりは逃避文学を読むのがブライト

  + もちろん逃避文学と言ってもハードな逃避文学が対象ですが。


 ちなみに、アシモフは、もちろんジョークとしてですがエッセイの1巻め(だったと思う)で、英才教育を施す対象として「SFを読む子供」を提案しています。


 このような違いは多くの方が薄々自覚しているのではないかと思います。そこで、それに対してうまい言い方をしています。


  「目の前の現実を見ろ」


 これはブライトをヒトに、ヒトをサルに引き摺り下そうという言葉です。なぜなら、自分が理解できる範疇に落し込まないと、理解の範疇外だから。


人間はいまどこにいて、どこを見ているのでしょうか。

*1: 進化の渦の中で:31年め, http://ncode.syosetu.com/n7129cn/11/

*2: 宮沢弘の科学エッセイ:「世代」について ――あるいは慣習的な数字――, http://ncode.syosetu.com/n9931cp/22/

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