彼女がいつもと違うから【始まりと出会い…】
前作[プロローグ]より約3ヶ月前のお話です。
大人になりきれないシャイな二人が送る非日常を綴った社会人ラブコメ登場?!
どこにでもあるようで、どこにもない? そんな彼氏と彼女
ショートストーリー第2弾!
ぜひ暖かく見守ってやってください!
side A
〜3ヶ月前〜
「よし! 終了!」
最後のダンボールを片付け、何気なく時計を見ると午後6時をまわっている
(あれ? ちょっとアイツ帰ってくるの遅くないか?)
薄汚れた軍手を外し、額の汗を首から吊るしたタオルで拭う
(まったく、ジュース買いに行くのにどこまで行ってんだ? アイツは…)
そう思うと、作業終了の達成感もあってか無性に喉が渇いてくるものである、しかし冷蔵庫にはまだ何も入っちゃいない…
「たっだいま〜! いやぁ〜暑い暑い… ごめんね、ちょっと遅くなってしまった!」
勢いよく玄関を開けて入ってきたその少女…いや、この春から社会人になった訳だから…何ていえばいいのかな?
まあ、とにかく元気いっぱいなアイツは、満面の笑みでぶら下げたビニール袋をブンブンと振り回しながら帰ってきた。
「おいおい、なにやってたんだよ? 自動販売機くらいその辺にあっただろ?」
「ゴメンゴメン、ちょっとお散歩しながらって感じで歩いてたらさぁコンビニ発見!ってことで、さっそく物色して参りましたぁ!」
気を付けの姿勢で敬礼の真似事をしながらの報告…やれやれコイツの放浪癖は今に始まったことではないが…
「だからって、あんまり知らない地域でうろうろして迷子にでもなったらどうすんだ?」
「その時はその時! 大体ケータイがあるじゃん! いざとなったらピピッと救援ってね! ハイ! これ」
一応、年長者っぽく注意をしてみたところで、全く悪びれた様子のないこの小悪魔にときたら…
とりあえず、差し出されたビニール袋を受け取りながら、今ここにある事実を突きつけてみる
「ほっほ〜 これはまた自信満々のご様子ですけど、ほら!そこにある立派な『社会人らしくない物体』は何だい?」
イヤミたっぷりにオレは、小さいながらもちゃんとした台所のシンクを指差した
そこには、本体よりも面積が多いストラップ群に取り付けられたケータイがチカチカとそのランプを点滅させて主人の帰りを待ちわびていた
「あっ! しまった、今日ハルカ達と集まる約束してたんだ!」
少しヒールの付いたサンダルを脱ぎ捨て、手に取ってメール確認をするやいなや、ものすごい指さばきで返信をしはじめる元女子高生…
そのまま部屋の奥にある、たった今セットしたばかりのオレのベットへ何の遠慮もなく腰掛ける
「まったく…その『ケータイを忘れてました』って部分は完全にスルーかよっ…!? ちょ! 国子! なんだ?これは!?」
ため息をつきながら、手渡されたコンビニの袋を覗き込んだオレは声を上げた
その中には、ジュース等の飲み物系は一切見当たらず、ケーキやらプリンにアイスクリームがきれいに並んでいた
「ん? あぁ…それ?、新作の…スイーツとかお菓子があったから…買っておいた…よっと!」
オレの話には全く上の空の国子はケータイの送信ボタンを押しながら答える
「おいっ オレが頼んだのは飲み物! だいたい『喉が渇いた!』って言い出したのはお前だろ?」
とにかく、どこから怒っていいやら…ことの始まりはというと…
まず、人の部屋の冷蔵庫を覗き込んで『なにこれ? 何にも入ってないじゃない?』…
続いて『え〜浄水器ついてないの? そんな水よく飲めるね!?』…
とどめは『ちょっと! なに? コップも無い? サイテー!』…
仕方がないから、千円札持たして買出しに行かせたわけだが…
………
……
…
「ん? 私? 私は途中で買って飲んだから…もういらないよ…」
相変わらず、ケータイをいじりながら、上の空の返答
ほとほと、自分勝手なヤツである
「あっ! ヤバイ もう集まってるって!! ごめんお兄ちゃん! 鏡借りるね!」
返信メールを見るなり、脇に置いてあったバックを引っつかんで洗面所に飛び込む
「おいっ! これはどうすんだよ! お前が食べるんじゃないのか?」
鏡の前で、なにやらお化粧の真似事をしている国子に突きつける
「う〜ん… やっぱりいらない! もともとお兄ちゃんのお金だし… お兄ちゃん食べといて、引越しそばの代わりにどう?」
生意気にも、リップを引きながらまたしても勝手なことを口走る
「はあ? いくらなんでもそれは違いすぎるだろ? でも…まあ、ありがたく食べておいてやるよ」
実はまんざらでもなかったりする気持ちを隠しながら、とりあえず一つ一つ手に取って確認しながら冷凍庫と冷蔵室に振り分けていく。
「それじゃあ行ってくるね!」
さっき脱いだばかりのサンダルを足に引っ掛けながら国子が振り返った
「あっ! そうそう、ベットの脇に私からの引っ越し祝い置いておいたから使ってね!
まあ、あれでも起きてこれないでしょうけど、無いよりましでしょ?オニイサマ?
それじゃあねー」
さっと玄関から飛び出し、瞬く間に階段を駆け降りていく…
「おいっ! 気をつけて行って来いよ!」
慌ててオレも飛び出し、廊下の柵越しに今まさに愛用の自転車にまたがろうとしている国子に声をかけた
「うん! ありがとう! じゃーねー! たまには帰ってきてお父さんたちに顔みせてね〜」
パタパタと手を振りながら、駅前の方へ遠ざかっていく…
すっかり姿が見えなくなってから完全に一人になってしまった部屋へ戻った…
…
……
………
25年間住み慣れた実家から少し離れた場所に、自分の部屋を借りた。
大学は地方だったので正確に言うと4年は差し引かなければならないが、その間もオレの部屋はそのままだったし、卒業すれば実家へ戻るのが当然と信じて疑わなかったオレにとって、今回の引越しがはじめての『一人暮らし』となるわけで…
………
……
…
「さて、オレも買出しに行きますか…」
誰もいない部屋で独り言を言いながら、玄関先にまとめて出してあったダンボールを持ち上げ、まだ不動産会社の管理札が付いたままの鍵でドアを閉める。
階段を下りると右手に自転車置き場があるが、オレは今自転車を持っていないから用は無く…そのまま、左へ曲がり、裏手にある住人専用の駐車場へ向かう。
そこには、3年前に新車で購入した愛車を停めてある。今の会社は通勤手段が非常に悪く、その最寄の駅から歩くにしてもかなりな大回りのルートを選択せざるおえず、実家から通うにはかなり不便な地理であったため就職が決定した時に購入した車だ。そのときなんと親父が購入資金の半分を負担してくれた。
今の部屋からもその通勤環境は変わらないため、選択条件として駐車場が近所にあることが一番の優先事項だった…
(あっ! しまった…)
ポケットから車のキーを取り出そうとするがどこにもない…
それもそのはず、玄関を入ったところの小さなシューズボックスの上に専用のフックを設置し、いましがたそこに鍵を並べて悦に入っていたところであった。
何かと買い込もうと思っていたのだが、まぁ仕方がない天気もいいし散歩がてらにご近所散策といたしますか…
そのまま、アパートの前の道へ出て、さっき国子が下っていった坂道を背中にしながら山手へ上がる。
(たしか、この先にあるのがコンビニだよな…)
…
……
………
…………Go to [α]side
[α]side
…………
………
……
…
この坂道は、そのまま駅前の大きな交差点まで続いているわけだが、そんなに幅が広くない上に歩道が設置されていないので歩くには少々気をつけなければならない。
実家から近いとはいえ、そんなに慣れ親しんだ地域ではないのでどの風景も結構新鮮だ。
特にこの坂道を見下ろした駅前の風景は絶品で、そつなく発展した駅前とその高架の後方にはまだ自然が残る大型河川が見える。
この眺めがおれのお気に入りだ。
不動産会社の営業マンとここへ初めて訪れたときも今みたいな時間で、それは見事な夕焼けに染りまるで絵画のようなパノラマがそこにあった…
近づく夏の気配を感じ取れる山肌を眺めながらゆっくりと坂道を登る。
しばらく歩くと、少し開けた場所になり初めて信号機がある角地にそのコンビニはあった。
交通量も今歩いてきた道よりはかなり多く、結構繁盛している様子だ。
(結構近かったんだな…)
横断歩道の少し手前で自分の今来た道を振り返ってみる…
(さて、弁当でも買って帰るか…)
その時度派手な真っ赤な車が目の前に止まった…
(ん?)
スモークの効いた車の窓が音も無く開き、見覚えのある顔が現れた…
「おぉ真一じゃないか! こんなところでいったい何をしているんだ?」
少し芝居が掛かった話し方で『ヤツ』はその車の運転席で微笑んでやがる…
「おいおい…知ってて言ってるだろ? 今日からオレはコッチの住人だ!
それより、お前のほうこそ最近実家の方には顔を出しているのか? 全く寄り付かないって、瀬尾さんがぼやいていたぞ」
ココぞとばかりに話題を『ヤツ』にすり替えを試みるオレ
「あぁっ… 本宅の方には全く用事は無いからな、私の自室へ車ごと直接入るようにしているから顔を合わすことは無い。そうか…最近瀬尾にも逢っていなかったな…」
全くどんな家に住んでんだか…まぁ生まれたときからご近所様だから知らないわけではないが、広すぎる家も考え物だ…
「まぁ、オレとしては、やっとお前から解放されるかと思うと清々するけどな!」
幼馴染で腐れ縁の『ヤツ』にオレはイヤミ交じりの返答をした。
「はっはっはっ! それはまた大層な物言いだな? いいのかこの私にそんな口の利き方をして? ん?」
それはもう気持ちのいいほどの笑いっぷりの後、さらにその微笑に邪気を浮かべながら『ヤツ』は続けた…
「私はたった今、とても大事な友人を家まで送り届けてきた所だ…ん? 興味あるだろ?」
ニヤニヤしながらこちらを見つめるその目はいつになく邪悪だ…
「なに、私は隠し事をしない主義だからな、お前がどうしてもというならその友人の話をしてやってもいいぞ…ん?」
「別に興味ないんで…じゃあ…」
「えっ? っちょ! おい!」
オレはきびすを返し、うれしそうに話している『ヤツ』こと幸子姉さんの側から離れようと歩き始めた…
「待て待て! まぁ最後まで話を聞け! それがお前の元同級生でもか?」
とりあえず足を止めたオレは大きなため息をつきながら振り返る
「ハァ〜 オレの同級生ってことは姉さんも一緒じゃないか? 大体このあたりは中学の時の学区だからそんなの珍しくも無いだろ? なんで今さらそんな事を…」
どこに興味を持てばいいのか話の流れが全く読めない、まぁいつものことだがとりあえず話を聞いて早々に幸子姉さんには退散してもらおう…
「真一、お前は高校3年の時の文化祭を覚えているか?」
唐突に昔話を始めた幸子に少々戸惑いながら、オレは記憶を探る…
「あぁ…、アレだろクラスでやった『影絵』だろ? 結構評判になって近所の公民館でもやったやつか?」
高校の文化祭の思い出といえばアレくらいだ、連帯感のあるいいクラスだった。
「そうだ、あの時お前は私と『受付』をやったな?」
そう、幸子とは因縁のごとく同じクラス…当然そういうことも多々あった
「忘れるわけ無いだろ! あの時姉さんときたら遅れてきた挙句に『すまない、私は用事が出来た。代わりの人材を連れてきたぞ』って、ドタキャンしたじゃないか?」
そう、昔から幸子のわがままには振り回されてきたオレである…
「なら、その『代わりの人材』を覚えているか?」
幸子はオークリーのサングラスを外しオレの目を見つめる
「ん? たっ確か…隣のクラスの子だろ? そのあと何度か幸子と一緒に遊んだりしたよな?」
幸子の友人にしては珍しくおとなしい子だったのが印象的で、笑顔がカワイイ子だった…
「そうか…、ならイイ…」
改めてサングラスをかけ直すと幸子は正面に向き直し微笑んだ…
「で? それがどうかしたのか?」
いまいち話が繋がらないオレは首をかしげる
「なに、ただの昔話だ…」
始まりも唐突なら、終わりも唐突…まぁいつものことですが…
「…よしっ! 姉さんがよからぬ事を企んでいるのは良くわかった…だがそれは、大きなお世話だ! じゃあ、オレ、コンビニに行くから…」
そういってオレは、自分の計画に悦に浸っている幸子姉さんを放置し信号に向かって歩き始めた…
「やれやれ…そういう所は直らないものだな…まぁいい…いずれわかる事だ…じゃあな真一! 幸運を!」
窓から片手を出したまま姉さんは車を発進させた…
(いずれって…なんだよ?)
走りさる車を振り返りながら、どうも引っかかる幸子の捨て台詞が胸に残った…
(まぁ…ろくでもないことだろうが…気になるなぁ…)
一抹の不安を抱えながら点滅を始めた信号にせかされながら横断歩道を渡った…
…
……
…
『ぴろりろり〜ん♪ ぴろりろり〜ん♪』
「いらっしゃいませ〜」
コンビニの自動ドアが開く同時に妙に元気のいい挨拶がひびいた…
「ただいま、から揚げ増量キャンペーン中です! ご一緒にいかがですかぁ?」
(商売に熱心なのはいいが…たいへんだなぁ…ああやって人が入ってくるたびに声をかけているのか?)
そんなどうでもいいようなことを考えながら、とりあえずコンビニ定番、窓際の雑誌コーナーへ足を運ぶ…
(さて…あるかな?)
実はここ最近続けて買っているお気に入りのテレビ情報誌を探してみた。
ところが、売り切れなのか見当たらない…
(う〜ん…他のにしてみるか…)
仕方なく、他の情報誌を手に取り中身を確認していくことに
(おっ! あの映画の特集だ! なるほど新作が封切するわけね…)
久しぶりに見たその雑誌は結構内容を一新し、いつもの本とは違う方向性が見て取れる…
(えっ!? またリメイク? しかもこれって…)
ついつい記事に読みふけっていると、どこからか視線を感じる…
(ん?…)
顔を上げると本が並ぶその目の前の窓の向こう側に…
(あっ…!)
一瞬の刹那…オレの記憶を何かが再び揺さぶり始めた…………
…
…
………
……
…Go to [β]side
[β]side
…………
………
……
…
「いつもゴメンね…幸子」
助手席に座る一見少女にも見える妙齢の女性が申し訳なさそうに運転席の方へ向き直りながら声をかけた
「なに、気にすることは無いぞ涼子。私も実家に用事があるからな」
対して運転席に座るのは、その年齢以上に貫禄のある女性がハンドルを握っている。
一見仲のいい姉妹のように見える二人を乗せたスポーツカーがかなりのスピードで一路、夕暮れ時の高速道路を北上中である。
「だけど、特急よりもはるかに早くて、しかも家の前に直接到着!って本当に助かってるんだよ…」
まさか、日本の高速道路を今にも空を飛びそうなスピードで走行しているとは夢にも思っていない涼子は、無邪気に微笑む
「はっはっはっ! そいつはいい! 私もこうやってハンドルを握っている甲斐があるというものだ!」
前を向いたままの幸子が豪快に笑いながら、前方を走っていた観光バスを追い抜く
「そうそう、幸子って…もうあの実家には戻ってこないの?」
思い出したかのように涼子が口を開いた
「ん? 別に私は実家を出たつもりはないぞ? ただ『通勤ラッシュ』などというものが心底キライなのでな…」
もううんざりと言わんばかりに眉間にしわを寄せた幸子がチラリと涼子の顔を覗き込みさらに続けた…
「それに、涼子も知っての通り私はめっぽう朝に弱いだろ? 今の仕事場に近いほうが何かと都合がいいからな…」
今度ははっきりと涼子の方を向いてウインクした
「ちょ!ちょっと! ちゃんと前見て! 運転中に危ないじゃない! だいたいウインクなんて幸子には似合わないよ!」
心配性の涼子があわてて自分のシートベルトを掴み、頬を膨らましながら叫ぶ
「ん〜 全く涼子はかわいいなぁ〜 コレぐらいのことでこの私が事故を起こすわけ無いだろう? 大体だな私の涼子を危険に晒すことなんて考えられん!」
心底嬉しそうな幸子は顔をゆがませて微笑んでいる、心なしか少し頬が赤くなってもいる…
「もう〜 そうやってまた、私のことからかって! 本気にするよ!」
涼子も同じように顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにうつむく
「うむ、少し度が過ぎたな、非礼を詫びるぞ…」
今度はやさしい顔つきで、振り向かず前を見つめたまま話を繋ぐ
「ところで涼子よ、高校3年の時の文化祭を覚えているか?」
唐突に昔話を始めた幸子…
「えっ? どうしたの急に? 私たちのクラスは…自主制作のドラマ上映だったかしら? 私は実行委員が忙しくてあまり関わっていなかったから…」
唇に指をあてて、懸命に思い出そうとする涼子
「そうだったな、流行のトレンディードラマに触発された一部のお気楽グループが勝手に進めた企画だからな…
くっくっくっ…たしか、その撮影中に付き合ってた主人公役二人が、リアルの方でも、それはもう壮絶な泥沼になって
肝心のドラマ後半は代役と吹き替えでグダグダになったんじゃなかったか?」
それはもう嬉しそうに口元を緩ませ思い出し笑いを始める幸子
「そうそう! 上映する直前まで揉めてたんだったかな? 自分のクラスのことなのにあんまり印象に残ってないな…」
少し寂しそうに窓の外を眺めながら涼子はつぶやいた…
「だから、あの時暇そうだったお前を誘っただろ?」
さっきまでとは少し違う口調でまたいたずらっぽく問いかけた
「あっ! ヒドイ! 暇なんかじゃなかったんだよ! あっあの時私は実行委員としての責務を果たすために幸子の依頼を承諾したんだからね!」
バッと振り返った涼子の顔はさっき見せた寂しそうな雰囲気とは打って変わって、真っ赤になりながら叫んだ
「おっ! その反応からして『あれ』は、はっきりと覚えているようだな? ん?」
ニヤリと口の端を歪ませて笑みを作る幸子
「ベッ、別に、そんなつもりじゃなくって…その、あの時は…だから…しかたなく…」
涼子はさらに真っ赤になり、スカートを足の間に両手で押し込みながら、口を尖らせてそっぽを向いてしまった
「はっはっはっ! スマンまたやってしまったな…まぁなに、それだけだ…覚えているならそれでいい…」
幸子は豪快に笑いながら、車を高速の出口に向かわせる
「ん? 幸子? どうしたの?」
唐突に話を終わらせた幸子を怪訝そうな顔で覗き込む涼子
“ポ〜ン♪ 目的地にまもなく到着いたします…”
機械的なカーナビの声が車内に響いた
「ところで涼子、頼みがあるのだが聞いてくれるか?」
高速を降りると、話題を変えた幸子は嬉しそうに話し始める
「ん? 内容にもよるけど… いいよ?」
急に変わった話題に少し戸惑いながら答える涼子
「なに、簡単なことだ家に着いたらこの後ろにある包みを近所のコンビニから発送してほしいのだ」
顔は前を向いたまま指で後ろを差す幸子
「ちょっと急用を思い出したものでな、急いで実家に戻らねばならない…頼まれてくれるか?」
いたずらっぽく笑いながらチラリと涼子を顧みる幸子
「別に…いいけど…途中で寄り道すれば済むことじゃないの?」
キョトンとした顔で、後ろに手を伸ばしながら問い返す涼子
「おっと! まだ袋から出すんじゃないぞ!」
包みを探り当てた涼子に注意する幸子
「もう! ビックリするじゃない! ん? この中に入っているの? そんなに大きくないね?」
その袋を上にかざしたり、ひっくり返したり、取調べの如く振って音を聞いてみたりする涼子
「うむ、古くからの友人への引越し祝いだ。付き合いは長いがどうも好みが理解しがたいヤツでな、だから私の好みで2〜3体見繕ってみたものだ」
とかく、うれしそうな顔で話を続ける幸子…
「とにかくだ、コンビニに着くまで、包みはその袋から出さないでくれるか? 私にだって恥ずかしいこともあるのだよ?」
どこかの童話のごとく約束を取り付ける幸子
「うん! まかしておいて! その依頼、頼まれましょう!」
袋を膝に抱き、目を閉じ誇らしげに胸を張る涼子
「頼んだぞ、涼子…さて着いたぞ」
車のハザードランプを付けながら車を涼子の家の前につける幸子
「ほんとに今日はありがとう! この服まで借りてしまって…良かったのかな? これ新作でしょ?」
車から降りた涼子は運転席側に周り白いワンピースを翻した
「涼子の方が似合うと思ってな…気にするな、そのサイズが合わなくなるようなことがあれば、返してくれたらいいぞ」
サングラスを外し、まぶしそうに涼子を仰ぎ見る幸子
「あっ…なっなんてことを言うのよ幸子は! 言っておきますけどね…
もう…それはそれは血のにじむような厳しい管理の下、学生時代と変わらない体型を維持していますから、その点はご心配無く!」
また少し頬を赤らめながらあわてて訂正する涼子
「はっはっはっ! でも油断は禁物だぞ! ところで涼子よ、アイツのことだが…」
またしても、急に話題を変える幸子だが今回はいつもとは違った…
「その…なんだ、私からこれ以上どうのこうの出来る立場ではないからな…」
幸子にしては珍しく言葉を濁しながらつぶやく
「ありがとう幸子…でも…そう! だってよく言うじゃない『一番ではなくて、二番を選択することが最も多い』って…」
一瞬深刻そうな表情になりうつむいた涼子だったが、顔を上げ精一杯微笑みかける
「…………よし! その話は誰が言ったかはこの際横に置いておこう。涼子! その「一番」はなにを基準に『一番』なのだ?」
いきなり訳のわからないことを言い出す幸子に戸惑う涼子…
「えっ? なんのこと?」
「いいか涼子? そうやって順番をつけるからダメなんだ。だからそんな「一番」とか「二番」ではない考え方だ…
わたしが思うところそれは「零」なんだ…『一番いい人生』なんていつ判断するんだ? だったら『二番目にいい人生』とどこで比較し、誰が評価するのだ?
つまり、人は何も無いところにその生き様を刻み付けていくんだ、それが『今』つまり何も無い状態『零』だ…順番なんか最初から存在してなどいないのだよ…」
いきなり哲学的な理論をまくし立てる幸子に、目を白黒させながら聞いてはいるものの半分も理解できていない様子の涼子
「え〜っと… どういうことかな? 順番をつけてはダメってことかな?」
ちょっと引きつりながらも、おどおどと答える涼子
「まぁ、そういうことだ…この世界は平面…そう“一期一会”だ、涼子!
全く同じ出会いは二度と無いが、再びめぐり逢う機会は幾らでもあるのがこの人間界の面白いところだ」
「はっ? はぁ〜?」
まだよくわかってない様子の涼子…
「とにかく、そのワンピースはよく似合っているぞ! 惚れてしまいそうだ!」
サングラスをかけ直しながらいたずらっぽく笑う幸子
「もう〜そうやってからかうんだから! ほら! 急用があるんでしょう、行った行った! 荷物はちゃんと今から出しに行くから! ほら!」
顔をまたまた真っ赤にしながら、幸子の肩を軽くはたき追い立てる涼子
「では、行くとしよう…じゃあな涼子! 幸運を!」
手を振りながら幸子は車を発進させた…
「気をつけてね! 実家の両親によろしく言っておいてね〜」
走り去る幸子の車に向かって手を振りながら叫んだ
「さて…」
幸子が去った同じ方向へ歩き始める涼子
(なによ幸子ったら、急に彼のことを言い出すなんて…)
車内とついさっきの会話の中心であった人物を思い出し一人赤くなる涼子
(だいたい人のことより、自分はどうなの?って話は無し? まぁ本人のいないところで考えてもしょうがないしね…)
この気持ちの切り換えが素早いのが彼女のいいところである
肩から下げたトートバックを持ち直し、軽くスキップをして緩い坂道を登っていく…
…
……
………
……
…
ちょっと見晴らしのいい高台の上にそのコンビニはあった。
普段の買い物は家から少し坂を下ったところにある大型のショッピングモールを重宝しているが、涼子は時間に関係なく買い物ができるコンビニを利用することが多い。
(この信号のおかげで向こうに渡りやすくなったなぁ〜)
駅前の国道などに比べれば車の通りは格段に少ないのだが、その見晴らしのよさから結構な速度で走る車が多く、住人の要請で最近になって設置された。
歩行者用信号が青に変わると慣れた足取りで横断歩道を渡り駐車場を横切る。コンビニの窓越しに並ぶ書籍コーナーを眺めながら入り口に向かおうとしたとき…
(あっ! うそっ?)
“トクン”
心臓が高鳴った…
私はその窓の向こうに立つ一人の男性に目が釘付けになった…
…
………
……
…Go to α+β=side B
side B
…………
………
……
…
頭の中が真っ白になった…
どのくらい時間が経ったのだろう…
目の前に立つ女性に見覚えがあった…
(『あの〜、私が代わりにお手伝いしますね。幸子からはよく話を聞いてます! 私“涼子”といいます! よろしくお願いします!』)
オレの脳裏には、あの高校3年の思い出が鮮明に…まるで昨日のことのように浮かんできた…
(ふふふっ! 真一さんて、面白い! いろんなこと知ってるんですね?)
わずか、半日ほどであったが並んで座り、チケットのモギリをしながら話す内容に一喜一憂する彼女の前で得意げになった恥ずかしい自分もそこにいた…
(あっ! そういうことか……幸子のヤツ〜)
とりあえず、無視も出来ないので、引きつった笑顔で片手を挙げてみる…
「よっ!……ん?」
しかし、目の前の彼女は手に持った袋で口元を隠したまま固まっている…
(あれ?)
…
…
…
…
……
………
……
…
…
…
…
(なんで? なんで…彼がココにいるの?)
私は今にも卒倒しそうだ!
心臓は高鳴り、足が少し震えている…
(まっ幻? さっき幸子があんなこと言うから…でも)
その男性を凝視したまま動けなくなった…
すると、向こうから笑顔(?)でこちらに向かって手を挙げてくれた!
(あ〜〜〜っ! やっぱり! 真一さんだ! どうしよう! どうしよう!)
さらに体温が上がり、顔は真っ赤だろう、目からは涙があふれんばかりの状態…頭の中が真っ白になっていく…
どのくらい時間が経ったのだろう…グルグル回転していた意識が戻り、ハッと我に返った!
(いけない! ええっと! どっどぉ〜も〜!?)
あわてて、口元の袋から手を離し遠慮気味に手を振り返してコンビニの入り口に向かう…
…
……
………
……
…
『ぴろりろり〜ん♪ ぴろりろり〜ん♪』
「いらっしゃいませ〜」
コンビニの自動ドアが開く同時に妙に元気のいい例の挨拶がひびいた…
「ただいま、から揚げ増…以下略…」
入り口を入り書籍コーナーを見ると真一が軽く手を上げた
小走りに彼の元に駆け寄る涼子
「おっお久しぶりです! もぉ〜ビックリしました! まさかこんな所で再会できるなんて夢にも思っていませんでした…」
恥ずかしさと嬉しさで舞い上がった彼女は矢継ぎ早に言葉を繋ぐ…
「さっき、ちょうど幸子と別れたところで、その用事を頼まれましたので…あっ…」
聞かれてもいないのに自分の行動をしゃべり続けた自分に気づき、またまた顔を真っ赤にしてうつむいてしまった
「ほっほんとに久しぶり! 卒業以来だよね? オレもその幸子姉さんと別れたばっかりだよ。
人相の悪い車でそこに横付けされてさぁ…知らない人が見たらなんて言われるか…あっ…」
真一のほうも負けず劣らず舞い上がった状態で頭をかきながら同じく聞かれてもいないのにその感想を述べている…
「………」
「………」
二人とも引きつった笑顔のままコンビニの店内で立ち尽くしてしまった…
涼子は口を開けたまま笑顔で…
真一も同じく口を開け頭に手を上げたまま片手には読みかけの雑誌…
「………」
「………」
『ぴろりろり〜ん♪ ぴろりろり〜ん♪』
「いらっしゃいませ〜」
おっとまた あの元気のいい例の挨拶がひびいた…
「ただいま、…以下略…」
それを合図にハッと我に返った二人…
「とっとりあえず、向こうに行こうか…」
奥のドリンクコーナーを真一は指差した
「あっ!はっはい! えっあっ! わっ私は幸子の頼まれ物が…後で行きますね!」
あわててきびすを返しスカートを翻しながらパタパタとレジに涼子は向かった
「いーらっしゃいまーせ〜 宅配便のご利用ですかぁ?」
マニュアル道理であろう挨拶で用件を聞くロンゲ店員…
「はい! これなんですけど〜」
ごそごそと袋を開け中から頼まれた包みを取り出す
「はいっ! あっ伝票も付いてる! それもそうか…送り先聞いてないもんね…」
送り先の欄にはすでに住所も名前も記入してあった
「じゃあ! お願いします!」
さっと包みを店員に差し出す
「か〜しこまりましたぁ〜? あれ? お客さん? これ住所あってますかぁ?」
荷物の住所を機械に打ち込みながら、首をかしげ店員が涼子に問いかけてきた
「送り先の住〜所って、こ〜の辺りにぃ〜な〜ってるんですけどぉ〜」
店員は伝票の住所を指差しながらおずおずと包み前に出してきた…
「えっ? なに…××府××市××2丁目…あっほんとだ…私の家の近所だ…」
そのまま目をずらし送り先の名前を確認する…そこには驚愕した事実が記してあった…
「え〜〜〜!? ……しっ真一さんへの荷物なの?」
(『…うむ、古くからの友人への引越し祝いだ。付き合いは長いが…』)
車内で聞いた、幸子の台詞が記憶の中で再生されていく…
「あっ! そういうことか…幸子のヤツ〜!」
つい口から出てしまったその台詞に店員はビクっとして
「どっどうなさいますかぁ〜? いっ今からですと〜明日にはお届けできますが?」
ふざけているのか、営業熱心なのか…宅配便のマニュアルを真剣に見ながらロンゲが声をかける
「あっ! ごめんなさいっ! イイです! 結構です!!」
我に返った涼子はあわてて包みを袋に直しレジを離れた
「あ〜りがとうございま〜した〜」
またしてもこのロンゲ店員マニュアル通り…挨拶すればいいってもんじゃないだろうが!
回収した包みが入った袋を胸に抱き、そそくさと歩く涼子はまたしても頭が真っ白になっていた
(幸子〜ひどいよ〜わかってて私にこの包みをココから発送させようとしたんでしょ………?
まっまさか…ココで私たちが出遭ってしまう事も想定済み? 計画どうり?ってこと???
幸子…恐ろしい子…………)
………
……
…
「え〜〜〜!?」
レジの方から彼女の叫び声が一瞬聞こえてきた…
(なんだ?)
他のお客さんも一斉に同じ方向をみたが、その後はなにも起こらないのですぐに通常の状態に戻った
(あれって、涼子さんだよね?)
ドリンクが並んだ大きなガラス張りの冷蔵庫の前で真一は何気なく振り返った
すると、きびすを返したようにさっきの袋を抱えたままこちらに戻ってくる涼子
(ん? なんかあったのかな?)
「どうしたの? あの店員がどうかした?」
顔が真っ赤に火照っている彼女にあの怪しげなロンゲ店員が、なにか失礼なことをしたのではないかと疑いながら声をかける
「あっ! てっ店員さんなんでもないんです…むっむしろ感謝してます…」
苦笑いしながら手を振り涼子は真一を見上げた
「でも…顔が真っ赤だよ? ほんとになんにもなかったの?」
まだほんのりと赤みが残る涼子の顔を見れば何かがあったことは明白で
「えっ! そっそうですか? どうしよう? あれっ?」
さっきよりさらに赤くなり始めた頬に自分の手をあて、涼子は軽くパニック気味だ
「ちょちょっと落ち着いて…とりあえずね、しっ深呼吸しようか?
は〜い 吸って〜〜はい! 今度はゆ〜っくり吐いて〜 はい! もう一回!」
おもむろに涼子の両肩に手をかけて、何かのインストラクターのように声を出す真一
それに合わせて涼子がリズム良く深呼吸をする
「すぅ〜〜、はぁ〜〜〜〜
すぅ〜〜、はぁ〜〜〜〜」
「どぉ? 落ち着いた?」
「はい…ごっごめんなさい…おっおかげさまで、おっ落ち着きました…
そっそれより…てっ手が…この手なんですけど…」
涼子は自分の両肩に置かれた真一の手をおずおずと指差した
「あっ!ごめん…つい…いきなり大胆だったかな?」
あわてて両手を引っ込める真一の顔が今度は赤くなっている
「いえっ! そんなことないです…嬉しかったです…」
「………」
「………」
またしても沈黙…
「え〜っと!」
「あのっ!」
今度は二人の声が同時に重なった…
「ふふっ!」
「ははっ!」
二人は同時に笑い出した
「なにしてるんでしょうね? 私たちって…ふふっ!」
「ははっ!まったくだね! とりあえずドリンク買いません? おごりますよ!
それで、あっちのイートインコーナーで再会の乾杯といきませんか?」
真一にしては精一杯のキザな台詞で涼子を誘ってみる
「賛成です! ぜひご一緒させてください!」
例の袋を胸に抱きかかえ涼子は満面の笑みを浮かべた
二人とも再会したときの変な緊張から解かれてリラックスした表情になった…
真一はリプトンのミルクティー500mlパックを、涼子はノンシュガーのアイスコーヒーをそれぞれ選びレジに向かった…
…
…
…
「あ〜りがとうございま〜す! あっ! さっきの住所なんですけど〜、なんかそこの坂を下ったとこみたいですね〜」
ロンゲ店員がドリンクと雑誌をレジに通しながら、親切のつもりでご丁寧にも調べたみたいだが、おいっロンゲ!それは、服務規程違反だ!!
「あっありがとうございます… あとで、いっ行ってみますね…」
涼子はすこし口ごもりながらロンゲ店員にお礼を言った
「ん? なに?」
事情を全く知らない真一は、店員にお金を払いながら涼子を振り返った
「あ〜あのですね〜、さっきの荷受伝票にですね〜」
涼子ではなく、ロンゲがしゃべり始めた…
「ちょっ!ちょっと!ストップ!」
涼子がは例の包みが入った袋を持ったままの両手をバっと前に出し、顔を真っ赤にしながら叫んだ
「真一さん…あっちでお話しますから…」
そう言って入り口の側のイートインコーナーを指差した
「りょっ了解です…じゃっ、じゃあ行こうか…」
涼子の迫力に圧倒されながらドリンクの入った袋を持ち上げて前へ進んだ…
「すっすみません…でしゃばりました…」
かなりへこんだ様子でロンゲが小さな声で涼子に謝る…
「そんなにかしこまらなくてもいいですよ…私は気にしていませんから…」
ちょっと引きつりながらロンゲに微笑みかけ、真一の後を追う涼子
「あっ! そこ拭きますね!」
と今、まさに真一が袋を置こうとしていたテーブルを涼子はサッと備え付けの紙ナプキンで拭き上げた
「おっ! サンキュー! 気持ちよくなったね!」
思わぬ機転に顔がほころぶ真一
「いえっそんな事ないです…そっそれより座りましょう!」
意外なことで誉められて照れる涼子
「それじゃあ、はいっ涼子さんの分」
真一がテキパキとドリンクを袋から出して並べた
「では、改めて…え〜っと再会を祝して…かんぱ〜い!」
チン!とはさすが鳴らなかったが、二人の間にはいずれ大きな鐘の音となって蘇る瞬間であった…
「それで…さっきの話の続きなんだけど…」
何気なく真一は先ほどからの疑問を持ち出した…
「あっ…あのですね……………
…
…
…
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…
…
…
さて、二人の出会いの話はここまで。
この先二人は、お付き合いを始める訳ですが…そのお話は、また機会があればということで…
では、また……
…Fin……
■彼女がいつもと違うから【始まりと出会い…】by 蒔島誠人
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「ん? なんだ? おぉ! よくここを見つけたな! そんなとこに突っ立ったないで、ほら座れ座れ!
ん? なに? あの包みか? あぁ…なに、この間たまたま入った日本橋のボー●スの2階でな、
特価品だから買っておいたものだ…でも、結構かさばるし、邪魔になってきたから真一の所に送ったまでだ。
あぁ…あれか? あいつがたまたま引越しだったからこじ付けたまでだが?
はっはっはっ! そうだな…涼子が中身を見ればそれはさすがにドン引きするだろうな?
流石の私も部屋にアレは飾れんよ!
なんならお前にも一つ送ってやろうか? 男性諸君なら喜ぶと思うが? さてどうかな?」
…
…
ちゃんちゃん♪
いかがでしたか?
元々は友人から
「最近の小説って高校生というか10代ばっかりでつまらん!社会人の恋愛小説ってないのんか?」
という、経緯から生まれたお話です
実は5年前に書いた作品です
それでもお楽しみいただければ幸いです。
実は、書きかけの続編があるのですが…現在のモチベーションでは持続せず未完のまま5年が過ぎ…時代も移り変わりましたが、その友人(達)は現在も独身…
私の力不足か…それとも違う世界に目覚めたか?
色々な恋愛もあります、全ての恋人たちに祝福あれ!