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トウモロコシの神様

作者: gin

 白い部屋。そこに数人の人影がある。正確には人ではないのだが、彼らが神である以上それに適する言葉が見つからないのである。神影とでも言えばいいのだろうか。

 ひとまずそれは置いておくとして、何故神がわざわざ一つの所に集まっているのか。そもそも、神は全国各地に散らばっているイメージが強い物だ。実際の所もそうであった。 だが、一人の神の一言によって集まることとなってしまったのだ・・・

 それは、たわいもない会話の中で暇つぶし程度に言ったことだった。そもそも、何故、神同士で他愛もない会話をしているのかと言うと、平和なこの世界で神はすることがなく、他の神を訪ねることがあるのだ。

「なあ、アスクレーピオス。神の中で一番なのって誰だと思う?」

「さあ、どうだろうか。オーディンとかが無難じゃないかな。後はガイアとか。」

 オーディンとは神々の王と呼ばれるような偉大なる存在である。そして、ガイアは母なる大地の神である。

「そういう、格が違うのと比べてもしかたないじゃないか。」

「じゃあ、モンチュお前は誰だと思うんだ?」

「もちろん、俺だろ。なんたって戦争の神だぜ?」

「それはない。医神である僕が忙しくなるだけだ。」

 実際そうである。戦争の神であるモンチュが戦争を起こせば医神であるアスクレーピオスが忙しくなるのは火を見るよりも明らかだ。ならば、

「えー。じゃあ、あんまりすごすぎない程度に神を集めて誰が一番か決めようぜ。B級グルメの一番みたいに。」

 神のB級とはどのようなものかと、アスクレーピオスは思ったがそこはあえて触れないことにした。

「はいはい、任せるよ。」

 そうこう話している内に本当にモンチュは神を集めてしまったのだ。

 あまり、人数はいない。いても9人程度である。彼らは皆、モンチュによってB級として集められたわけである。何とも失礼な話だろうか。

 9人程度の神が集まったところでモンチュは丸い形をした机に円を作るような形で座らせた。

「それでは、これから誰が一番なのかを決めたいと思います。司会は私、戦争の神モンチュが務めさせて頂きます。」

「こんなの話す必要もない。オーディンの息子である僕に決まっているだろう。」

 口を開いたのはオーディンの息子であるヴァーリである。

「確かに、オーディンは偉大な神の王だが、お前はどうだ。知識のために自分の体を捧げることができるのか?」

 モンチュの言うことはもっともである。オーディンは眼や体の一部を捧げて知識や力を得た。それが息子のヴァーリにできるとは思えない。

「では、月・星の神の意見をそれぞれ聞きたい。まずは、月の神メツトリから聞かせてくれ。」

「僕は、別に自分を特別だとも一番だとも思ってないよ。」

「次は星の神コヨルシャウキ。」

「僕も月と一緒だよ。月や空と一緒にいるから僕には意味があるんだ。だから、僕は一番じゃないよ。」

「そうか。なかなか謙虚な奴等だな。」

 モンチュの言い方は自然ではあったが、少し見下しているような気もする。

「では、クロノス意見を聞かせてくれ。なんと言っても時を司る神だからな。俺の強敵だ。」

 クロノスとはギリシャ神話に出てくる時を司る神である。そんな神が何故、B級野中に選ばれたのかはモンチュにしか分からないのだろう。

「ああ、分かった。私は私が一番だと思っている。例えば戦争ならば、時間があれば傷は癒える。豊作であれば時があればいくらでも、することができる。医療などは一時しのぎであり、本来は時間をかけて自分の力で直す物だ。」

「ああ、そうだな。何も反論は思いつかないな・・・最後にトウモロコシの神ヤムカッシュ。」

 クロノスの言っていることは完璧だ。もう、最後の意見を聞いて終わりにしよう。どうせ、トウモロコシの神だ。大したことはない。

「えーと僕は、クロノスさんが一番だとは思いません。」

「えっ・・・」

 モンチュは驚いた。トウモロコシが時に刃向かうとは思わなかった。

「なぜなら、クロノスさんには人を笑わせることができないからです。」

「私がいればトウモロコシくらい、何度でも豊作にすることができる。」

「たしかにそうです。でも、それは時を与えてあとは人間任せじゃないですか。僕は一緒に苦労をして一緒に笑える方がいいと思います。」

「だが、時がなければトウモロコシなど実らぬではないか。なのに、お前が一番だというのか?」

「僕は僕が一番だなんて言っていません。」

「それは、どういうことだ?」

 話しについていけなくなりそうになったモンチュがたまらなくなって口を出した。

「ですから、時があり、戦いがあり、医療があり、自然がある。だからこそ、一つ一つに価値が生まれるのだと思います。違いますか?」「たしかに、そうだが・・・」

「ならば、大切なのは一番を決めるのではなく皆で手を取り合うことではないでしょうか?」

「まあ、そうだな。」

 それからも、トウモロコシは神がどうあるべきかを語った。それに対して皆、真剣に聞いていた。そして、自分の意見を言った。

 誰が一番か決める会がこれから、神がどうあるべきかの語り合う会になってしまったが、それも終わり、一段落付いた。モンチュはアスクレーピオスに今回の感想を聞いてみることにした。

「なあ、今回の会どうだった?」

「すごくこれからのためになるいい会だったと思うよ。」

「しかし、トウモロコシの奴意外とすごかったな。見直したぜ。」

「僕は彼には元々何かあると思っていたよ。辛いことや苦しいことを知っている奴ってのは強いからね。神にはなかなかいないよ。」

「そうだったのか。俺も少しは戦争のつらさや苦しさを理解するべきなのかもしれないな・・・。」

「ああ、そうだな。」

 きっと、人間の周りにはトウモロコシの神のような神が見守っていてくれるのだろう。そう考えれば辛いことも少し楽になる気がする。あるいは、人間の中にトウモロコシの神のような人がいるのかもしれない。

すみません。

ヘタです。

意味がわかりません。

神様の知識が全くありません。

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