登場人物紹介
天文20年(1551年)——物語開始から一年が経った頃。
橘 灯真
29歳 主人公
現代のエネルギー研究者。深夜の実験中に炎の中へ消え、気づけば戦国の越後に立っていた。
熱力学と燃焼工学を専門とし、炉の改良・硝石の精製・塩田の設計など、現代の知識を武器に越後の役に立とうとしている。感情表現が不器用で、自分の気持ちを分析しようとしてうまくいかないことが多い。
「俺」と言う。
長尾 景虎
20歳 越後の主
越後長尾家の当主。灯真より九歳下。
幼い頃から毘沙門天の加護を受け、戦場では神がかり的な判断力を発揮する。感情を表に出さず、言葉が少なく、笑うことをほとんどしない。しかし炎の前では、少しだけ違う顔を見せることがある。
後に「上杉謙信」として歴史に名を残す人物——とだけ、ここでは書いておく。
「儂」と言う。
直江 実綱
41歳 筆頭家老
景虎より二十一歳上。春日山城を実務で支える、硬骨の家老。
※直江兼続とは別人です。
兼続は実綱の娘婿にあたる人物で、この物語の時代にはまだ生まれていません。「直江」といえば後世では兼続が有名ですが、本作に登場するのは実綱です。景虎に対する忠義は絶対的で、秘密を守るためなら鬼の顔にもなれる。灯真のことを最初から警戒している。
「某」と言う。
宇佐美 定満
57〜61歳 軍師
老練な軍師。還暦前後にして、城内でいちばん灯真に興味を持っている人物。
将棋盤を前に人を試す癖があり、灯真には最初から「化け物か、本当に神の使いか」と言いながら、面白がって協力してくれた。笑い飛ばしながら、しかし何一つ見落とさない。
「儂」と言う。
才助
30代前半 鍛冶職人
灯真の相棒的存在。城下の鍛冶師で、炉場の仕事を手伝っている。
城中の噂を毎朝持ってくる。なぜか全部耳に入ってくるらしい。情報収集の才能を本人は自覚していない。城下の染物師・お糸さんのことが好きだが、言えずにいる。
三郎
50がらみ 鋳物師
無口な職人。灯真の実験に協力している。「川の流れと同じか」と本質を一言で掴む人物で、灯真が密かに尊敬している。
仙桃院
27〜28歳 景虎の姉
景虎の姉で、長尾政景の妻。坂戸城に住んでいる。
景虎よりずっと柔らかい目をしているが、見ているものは鋭い。灯真に「景虎をよろしく」と言って行ってしまえる人。
長尾 政景
26歳 景虎の義兄
坂戸城主。仙桃院の夫。景虎とほぼ同世代の義兄で、扱いにくい人物と城内では思われている。酒で暴れることがある。実力はある。
斎藤 朝信
18歳前後 智将
景虎の家臣。猛将型ではなく、冷静な観察眼を持つ知略の人。灯真の知識を最も早く正確に評価できるタイプ。城下の医師の娘・千代と出会い、それ以来、言葉数が減っている。
本庄 繁長
12歳 反骨の少年
この時点ではまだ少年。プライドが高く、よそ者の灯真を快く思っていない。しかし城下に、遠くから見ている娘がいる。
このほかにも、物語が進むにつれて新しい顔が現れます。




